大混戦の前半戦 団子状態から抜け出すのはどこか=bjリーグ前半戦総括

柴田愛子

大混戦のウエスタン、福岡の動向に注目

 ウエスタン・カンファレンスで今後注目なのはライジング福岡だ。現在(12月27日時点)は5位だが、後半に入って一気に順位を上げてくる可能性は高い。今季の福岡の強さを支えるのはケビン・パルマー。得点はもちろんポイントガードも出来るオールラウンドなプレーヤーだ。昨季まで所属していた得点王マイケル・パーカー(現・島根スサノオマジック)は、自分で走って得点を稼ぐタイプだが、パルマーは自分で得点を取りつつ周りも生かせる選手だ。状況を見て調子のいい選手にパスを配給し、点を取るタイプといえる。
 彼の加入によって2ガードの仲西淳と竹野明倫が生き生きとプレーしているのが印象的だ。昨季に比べてメンバーの1試合平均得点が上がっているのも、パルマー効果だろう。後半戦は疲れも出てくるので、エース頼みのチームより全員バスケのチームが有利。だからこそ福岡の後半戦の動向に注目している。台風の目として大いに暴れてもらいたい。

 そして今後、大化けしそうなのが大分ヒートデビルズだ。現在(12月27日時点)4勝18敗でウエスタン8位の大分だが、スターティング5は上位チームとなんら遜色のないメンバーだ。それだけのメンバーをそろえているのに大きく負け越しているのは、プレーングタイムが大きく偏っているため。つまりスタメン5人が試合に出続けていることで、後半の勝負どころで疲れが出てしまい、ターンオーバーが増えてシュートの確率が大幅に下がってしまうのだ。
 上位チームに勝てていないのは、接戦になった時に集中力がついていかないからだろう。試合終盤に戦力を落とさないためにも、要所で主力を休ませることのできる選手層を作っていくことが必要だ。昨季で選手を引退し、今季から指揮をとる鈴木裕紀HCの力量が試されることとなる。

連敗記録をようやく止めた高松。今後の浮上はあるのか

 高松ファイブアローズは今季のエースとして期待していたケヴィン・スミスがプレシーズンマッチでケガをしてしまい、開幕直前にして大きくプランが狂ってしまった。彼を中心にチームを組み立てていたこともあり、選手も大きく動揺したことだろう。転機となったのは12月24日の宮崎戦でのスミスの復帰だった。この試合でようやく開幕からの連敗を「20」でストップ。今後、スミスのプレータイムが伸びることで、負の連鎖から抜け出す可能性が高くなった。

プレーオフ常連チームは今季も健在

 ウエスタンをけん引するのは今季も大阪エヴェッサと琉球ゴールデンキングスとなりそうだ。大阪はポイントガードに青木康平を迎えて、攻撃に厚みが増した。青木の加入によってリン・ワシントンへのマークが分散し、彼もプレーしやすくなったことだろう。
 非常にバランスのよいチーム編成に見えるが、大阪の最大の弱点はエースの存在。首位を走っていた大阪が順位を落とした原因は、ワシントンがけがにより離脱したこと。エースが抜けると足もとをすくわれる危うさを露呈することとなった。ワシントンが抜けたときの戦い方が、大阪にとって重要になるだろう。

 現在首位の琉球も、今季は並里成の加入でさらに選手層が厚くなった。ベンチを含め、どのメンバーが出ても戦力がダウンしないのは、両カンファレンス通じて琉球ぐらいだろう。それだけメンバーがそろいつつも、他を大きく引き離せないのは、琉球が受け身の試合をしているからだ。
 彼らが負けるパターンは相手がゾーンディフェンスをしてきたときにある。相手に合わせてゾーンオフェンスをやってしまうので、自分たちの得意パターンに持っていけない。相手の対応に回るのではなく、自分たちからどんどん仕掛けてペースを作っていく強引さが沖縄には必要だ。

 イースタン、ウエスタンともに今季は大混戦となっている。団子状態なだけに後半戦も順位の入れ替わりは激しいだろう。どのチームが躍進するのか、今後の戦いにも目が離せない。

<了>

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