本格セットで撮影!オープニングムービー 演出担当者の狙いと挑戦 「表情、仕草にこそ底知れない魅力」

オリックス・バファローズ
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【オリックス・バファローズ】

 山崎颯一郎投手の迫力ある投球シーンと共に、疾走感あるサウンドがスタートする。鋭い眼光を放つ主力選手のカットが、曲に合わせて目まぐるしく切り替わる。高層ビルの屋上から大阪の街を見下ろす山下舜平大投手。「期待」「責任」のフレーズを背負いエースの風格を漂わせる宮城大弥投手。逆光を受けながら精悍な顔つきでバットを握る紅林弘太郎選手。怒涛の1分間が終われば自然と拍手が沸き起こる。京セラドーム大阪に集ったファンの目を釘付けにするダイナミックなオープニングムービー。試合開始に向けてスタンドのボルテージはグッと高まった。
 ムービー制作を担っているのは、11年にわたってビジョン演出を手掛けている球団イベントグループの木寺一樹。今シーズン新たな挑戦に臨んだ木寺のオープニングムービーのこだわりと思いに迫った。

写真:オープニングムービー撮影のために用意された巨大LEDスクリーン 【オリックス・バファローズ】

写真:光の筋を際立たせるために撒かれたスモーク 【オリックス・バファローズ】

◆巨大LEDスクリーン

 「3、2、1、スタート!」「はい!OKでーす」。今年1月、冷気が漂う大阪市内の駐車場。カメラマンや照明担当など10人を超えるスタッフが、選手を取り囲み撮影を行っていた。薄暗いスペースの中できらめいていたのは高さ約2.5メートル、横幅約9メートルの巨大LEDスクリーン。初めて見た西川龍馬選手が思わず「映画のセットみたい」と漏らす本格的なセットが組まれていた。

 「K-POPなどのミュージックビデオで使われるセットです。ここまで本格的にセットを組んだのは初めてですね」と木寺。スクリーンは選手に応じて映像演出を切り替えることができ、分割して形状も変えられる。山﨑投手の撮影時はネイビーをバックにピンクの「ORIX BUFFALOES」の文字を鮮やかに演出し、田嶋大樹投手の撮影時にはモノトーンで詩的なフレーズを映し出すなど、選手の個性に合わせて景色やアニメーションを変化させた。

 背景をグリーンバックによる合成映像ではなくLEDスクリーンにしたのは、光によって作られる「立体感」を追求するため。スクリーンの色彩やデザインに合わせて、選手を形づくる光と影も変化する。細かい表情や動きが一層際立ち、選手の魅力は自然と引き立つ。
 形状が異なる10台以上の照明を使い分け、白いスモークを撒いたのも、光の筋を作り出すことで映像に奥行を生むため。横長のビジョンだからこそ、選手が映っていない余白部分の生かし方にもこだわったという。

写真:真剣な表情でカメラを見つめる山崎投手 【オリックス・バファローズ】

写真:LEDスクリーンの前でたたずむ西川選手 【オリックス・バファローズ】

写真:凛々しい表情でこちらに目線を送る西川選手 【オリックス・バファローズ】

◆演技をさせない

 歩き姿や立ち姿、片膝を立てて屈んだ姿。選手のたたずまいにスポットを当てて撮影は行われた。「選手ってプレーシーンが注目されがちですが、表情とか仕草、オーラだけでも底知れない魅力があるんです」と木寺。シルエットまでもが最高の素材。ユニフォームを着ていてもわかるアスリートらしいスタイルを立体的にカメラで捉えた。

 西川選手の撮影中、スタッフがヘルメットを触る動きを細かく指示しようとすると、木寺が間に入ってスタッフにこう伝えた。「いつも通りの自然な動きを撮ってください」。なるべく選手に演技をさせない。「嘘のないありのままの姿だからこそ、ファンの皆さんに刺さる奥深いムービーになると思っています」と思いを口にする。

 長時間の撮影を終えた紅林選手は「すごいセットだったんで気合が入りました。格好いいムービーは気分も上がるんで、できあがりが楽しみです」と意気揚々と話した。宮城投手も「野球と違って慣れてないんで結構緊張しましたが、セットの雰囲気に合わせて100%やりきれたと思います」と笑顔で現場を後にした。

写真:ビルの屋上で撮影を行った山下投手 【オリックス・バファローズ】

写真:ビルの屋上から大阪の街を見下ろす山下投手 【オリックス・バファローズ】

◆大阪の街を見下ろす山下投手

 ハイライトは山下投手の撮影だった。コンセプトは「次世代」と「日本一奪還」。高さ130メートルのビルの屋上を舞台に初めてロケを行った。昨季の新人王が大阪の街を見下ろし、日本一への決意を固くする。抜けるような青空をバックにした身長190センチの右腕の姿は、言うまでもなく映えた。

 「本当に僕で良かったんですか?」という山下投手の心配をよそに、木寺は上機嫌だった。「山下投手をここに連れてこられた時点で、勝ちは見えていましたから」。最高のムービーができることを確信していた。

写真:細部にわたってこだわり抜かれたオープニングムービー 【オリックス・バファローズ】

◆ヒーローアニメのオープニング

 楽曲「Endless me」は、3ピースバンド「そこに鳴る」によってバファローズのために書き下ろされた。日本一奪還に向けて歩みを進めるチームの自信と力強さが投影された特別な1曲。「チームにバチっとハマった曲に合わせて、選手の格好良さを解き放ちました。ヒーローアニメのオープニングみたいだと思いませんか?」と木寺。納得の出来に仕上がった。

 「LEDスクリーンと高層ビルでのロケ。今回大規模に色々挑戦してみて、もっともっとやりたいことが出てきました」。にやりと笑いながら、早くも来シーズンの構想を膨らませていた。木寺の思い描く“ビジョン”には果てがない。(西田光)
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