本格セットで撮影!オープニングムービー 演出担当者の狙いと挑戦 「表情、仕草にこそ底知れない魅力」
【オリックス・バファローズ】
ムービー制作を担っているのは、11年にわたってビジョン演出を手掛けている球団イベントグループの木寺一樹。今シーズン新たな挑戦に臨んだ木寺のオープニングムービーのこだわりと思いに迫った。
写真:オープニングムービー撮影のために用意された巨大LEDスクリーン 【オリックス・バファローズ】
写真:光の筋を際立たせるために撒かれたスモーク 【オリックス・バファローズ】
◆巨大LEDスクリーン
「K-POPなどのミュージックビデオで使われるセットです。ここまで本格的にセットを組んだのは初めてですね」と木寺。スクリーンは選手に応じて映像演出を切り替えることができ、分割して形状も変えられる。山﨑投手の撮影時はネイビーをバックにピンクの「ORIX BUFFALOES」の文字を鮮やかに演出し、田嶋大樹投手の撮影時にはモノトーンで詩的なフレーズを映し出すなど、選手の個性に合わせて景色やアニメーションを変化させた。
背景をグリーンバックによる合成映像ではなくLEDスクリーンにしたのは、光によって作られる「立体感」を追求するため。スクリーンの色彩やデザインに合わせて、選手を形づくる光と影も変化する。細かい表情や動きが一層際立ち、選手の魅力は自然と引き立つ。
形状が異なる10台以上の照明を使い分け、白いスモークを撒いたのも、光の筋を作り出すことで映像に奥行を生むため。横長のビジョンだからこそ、選手が映っていない余白部分の生かし方にもこだわったという。
写真:真剣な表情でカメラを見つめる山崎投手 【オリックス・バファローズ】
写真:LEDスクリーンの前でたたずむ西川選手 【オリックス・バファローズ】
写真:凛々しい表情でこちらに目線を送る西川選手 【オリックス・バファローズ】
◆演技をさせない
西川選手の撮影中、スタッフがヘルメットを触る動きを細かく指示しようとすると、木寺が間に入ってスタッフにこう伝えた。「いつも通りの自然な動きを撮ってください」。なるべく選手に演技をさせない。「嘘のないありのままの姿だからこそ、ファンの皆さんに刺さる奥深いムービーになると思っています」と思いを口にする。
長時間の撮影を終えた紅林選手は「すごいセットだったんで気合が入りました。格好いいムービーは気分も上がるんで、できあがりが楽しみです」と意気揚々と話した。宮城投手も「野球と違って慣れてないんで結構緊張しましたが、セットの雰囲気に合わせて100%やりきれたと思います」と笑顔で現場を後にした。
写真:ビルの屋上で撮影を行った山下投手 【オリックス・バファローズ】
写真:ビルの屋上から大阪の街を見下ろす山下投手 【オリックス・バファローズ】
◆大阪の街を見下ろす山下投手
「本当に僕で良かったんですか?」という山下投手の心配をよそに、木寺は上機嫌だった。「山下投手をここに連れてこられた時点で、勝ちは見えていましたから」。最高のムービーができることを確信していた。
写真:細部にわたってこだわり抜かれたオープニングムービー 【オリックス・バファローズ】
◆ヒーローアニメのオープニング
「LEDスクリーンと高層ビルでのロケ。今回大規模に色々挑戦してみて、もっともっとやりたいことが出てきました」。にやりと笑いながら、早くも来シーズンの構想を膨らませていた。木寺の思い描く“ビジョン”には果てがない。(西田光)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ