「柏には意地でも頑張ってほしい」=福西崇史氏が語るクラブW杯の展望と意義
福西氏は柏のキープレーヤーに田中(中央)、工藤(右)、北嶋のFW3人を挙げる。ゴールでチームに勢いをもたらすことができるか 【Getty Images】
一方、相手にするのは各大陸の王者であり、さまざまなスタイルを持って臨んでくるため、「本当に集中していかないといけない」とも指摘する。柏がこの大会で見せるべき姿、勝ち進むために必要なことは何なのか。「日本のチームが勝てるというところを見せてほしい」と期待を寄せる福西氏に、大会の展望とその魅力、さらにクラブW杯が日本で開催される意義についても語ってもらった。
柏はおどおどしなくていい。そのまま行けばいい
不安のある中でJ1に来たと思います。でも、その中で選手たちが「開幕戦で勝てたことが大きかった」と言ってましたが、チームの力がどうなのかというところを開幕戦で測れた、手応えがつかめたことで、J2でやってきたことが合っていたという、チームでの自信につながったことが大きいんじゃないかなと思います。
――福西さんが現役時代に対戦した時の柏と、今の柏はどう違いますか?
今までは外国人選手に頼りすぎていた部分があったと思います。でも今回は外国人選手がいいんだけれども、そこに頼りすぎていない。自分たちでどうしようとか話し合ったりすることも昔に比べてあるし、そこが強くなったことと関係があるのかなと思います。ただ、やはりあの2人の外国人選手、レアンドロ・ドミンゲス、ジョルジ・ワグネルはいいなと思います。
――2人はJリーグの中で見てもレベルの高い助っ人ですね
相当高いと思います。時間を作ったり打開したりっていううまさと、ほかの日本人選手が(2人に)頼る時は頼るし、違う時は自分たちでやるっていうことを、しっかりと考えられていた。ネルシーニョ監督も含めてね。監督もうまく調子のいい選手を使うし、いい感じの闘争心を出させているなと思います。
――酒井宏樹、田中順也ら若手の台頭も大きかったと思います
若手は大きいと思いますよ。ベテランはベテランで北嶋や栗澤(僚一)、大谷(秀和)もそうだし、しっかりいると。その中で誰が勢いをつけるかというと若手だろうし、若手がJ2で経験を積めたというところが大きいでしょうね。
――柏は国際舞台の経験のない選手が多くいますが、勝ち抜くにはどうしたらいいでしょうか?
本当に集中していかないといけないと思いますよ。南米のチームはもちろんずる賢いし、試合の流れを変えられるチームばかりです。こうしたチームと戦うには、自分たちが集中していくべきだと思います。おどおどしなくていいと思うんですよ。J2からJ1に上がってきても、勝てる力があることを優勝という形で証明したので、(サッカーを)変える必要もないと思うし、そのまま行けばいいと思います。
その分、(相手は)日本のチームと違うという意識も持っていないと。プレーの技術を出すことはもちろんですけど、それ以外のところ、ボールのないところでぶつかってきたり蹴られたり引っ張ったりするし、そこでも自分のプレーをしなくてはいけないわけですから。
キープレーヤーを挙げるとすればFW
外国人選手2人(レアンドロ、ワグネル)はもちろんですけど、チーム全体が一番ですが………あえて言うならFWだと思います。田中、工藤(壮人)、北嶋、この3人ですかね。チームに勢いをもたらすという意味でも。ゴールが必要な時はやっぱり来ると思うんですけど、柏は全員で守る意識は強いし、そこを変えることもないし、変えられない。だからこそ、FWがどうできるか。ボールを取られたりすれば守備はきついけど、逆に守備をしてても1本パーンって思い切りよく(得点が)入ったりすれば、チームとしてはいい流れになりますし。
――田中は今季リーグ戦で13ゴールを決めて結果を残しました。福西さんが感じた彼のストロングポイントはどこでしょうか?
まずは思い切りですよね。思い切りがあるからこそ、DFはアプローチしていきますよね。それで相手は崩れるわけだし、そこで何も思い切りがなかったら、DFとしては怖くないから、怖さを持っている。技術はもっともっとうまくなると思うし、駆け引きももっともっとできると思いますけど、思い切りがあってゴールを狙えるというのは、DFとしては嫌な怖い存在になる。僕なら左足では(シュートを)打たせないですね。(田中が)ファウルをもらってもいいしね。ファウルをもらえれば、レアンドロとワグネルのFKもあるわけだから、鍵はFWが握っている気がしますね。
――J1最終節(3日、3−1で浦和レッズに勝利)もすごいプレッシャーの中で戦ったと思いますが、それを感じさせない試合でした
落ち着きは本当にあったと思います。僕が見ている限りではその前節、その前の何節かの方が(プレッシャーが)あったような気がします。それ以上にチームの力、一体感があって落ち着きを取り戻していた。相手の出方を見て入って、相手が良くなかったら自分たちが「さあ、やりましょう」というのをできているから、まとまりをすごく感じました。
もうちょっと(最終節から開幕戦まで)、時間があったらいいですね。ネルシーニョ監督は(クラブW杯の)準備をしていたって言ってますけど、1週間ないですからね。気持ちを切らさないという意味ではいいでしょう。逆に、いい方向に出るような気がしますね。
――柏は初戦でカウンターサッカーが主体とされるオークランド・シティと当たり、パワープレーを受けることが予想されます
嫌なタイプでしょうけど、技術はレイソルの方がしっかりしていますからね、問題ないと思います。高さに強い近藤(直也)もそうだし、増嶋(竜也)も強いし、そこは問題ないと思います。慌てないことですね。そういう意味では、浦和との試合は慌てずにしっかり(状況が)見えていたのは、力があるということだと思います。だから問題ないと思っています。