“エース”の仕事をやり遂げた小林可夢偉=F1フル参戦2年目の軌跡

田口朋典

レッドブル1−2で終えたブラジルGP

ブラジルGPで優勝したウェバー(右)と2位のベッテル(左)。レッドブルが最終戦でも強さを見せつけた 【Getty Images】

 2011年のF1シーズンを締めくくる、最終戦ブラジルGPが終わった。優勝は今季のコンストラクターズタイトルを手中にしているレッドブル。しかし、勝者は連覇を決めているセバスチャン・ベッテルではなく、これが今季初優勝となるマーク・ウェバーだった。
 天気は下り坂という予報もあったブラジルGP決勝。だが日曜のインテルラゴスに雨は降ったものの、それは決勝の1時間ほど前。しかし大崩れすることはなく、今季最終戦はドライコンディションでの71周の戦いに。

 今シーズンを圧倒したベッテルは、最終戦でナイジェル・マンセルの年間最多PP獲得記録を抜き15回目のポールシッターとなった。スタートから飛び出してレース序盤をリードも、ギヤボックスのトラブルでペースダウン。やむなくウェーバーに屈することとなったが、ギヤをいたわるためショートシフトを強いられながらもウェーバー以外のライバル勢の先行を許さず、見事なリカバリーで2位を獲得し、レッドブルの1−2を演出したあたり、さすがという戦いぶりであった。

可夢偉の走りでザウバーは7位死守

 また、同じくこのブラジルGPで“さすが”と思わせたのは、ザウバーの小林可夢偉だった。
 コンストラクターズランキング争いで、可夢偉とセルジオ・ペレスのザウバーは「42」トロ・ロッソは「41」と、とのわずか1ポイント差で最終戦を迎えた。前戦アブダビGPで久々にポイントを獲得した可夢偉だったが、そこまでは7戦連続でノーポイントに終わるなど決して流れは良くなかった。だが、ブラジルGPでトロ・ロッソにポイントで逆転されてしまうと、ザウバーにとっては分配金の額が大きく減少するだけに、流れうんぬん言っていられない状況――。

 そんな中迎えたブラジルGPで、可夢偉とペレスのザウバー2台は、予選でトロ・ロッソの後塵を拝してしまう。しかし、決勝がスタートするや、可夢偉はスタートで出遅れたハイミ・アルグエルスアリをかわすとセバスチャン・ブエミも序盤で退けポイント圏内へ。ペレスがレース中盤にスピンを喫し、アルグエルスアリに先行を許したのとは対照的に、可夢偉はブエミの攻勢をしのぎつつ着実なレースを戦い最終的に9位でフィニッシュして2ポイントを追加。見事ザウバーのランキング7位を死守してみせた。紛うことなき“エース”の仕事であった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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