再び動き出した元世界王者──セルジオ・ヴィールセン

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ショウタイムの元61キロ級世界王者・ヴィールセン(右)が再び動き出す 【(c)Ben Pontier / EFN】

 61キロ級戦線が活況を呈している。

 昨年12月、ギリシャ大会で山本真弘を3RTKOで下したセルジオ・ヴィールセンが長期政権を築くかと思われたが、今年3月のベルギー大会でカリム・ベノーイを挑戦者に迎えた二度目の王座防衛戦に失敗。王座から陥落してしまった。新チャンピオンになったベノーイも安定はせず、6月のスペイン大会で組まれた初防衛戦で伏兵ハヴィエル・エルナンデスに判定負け。簡単に王座を明け渡した。
 上半期だけで2度も王者が交代したことになるが、特筆すべきは61キロ級王座が選定されるまで、日本では3名の世界王者がいずれも無名だったということだろう。中でも山本真弘からボディへのヒザでダウンを奪い、最後はクロスファイトの中、左のヒザで山本の額を切り裂いて勝利を収めたヴィールセンの動きは日本のファンの間でも注目を集めた。試合後、山本が「まるで猛獣のような動きだった」と激闘を振り返っていることもヴィールセンの強さに対する幻想に拍車をかけた。

 これまでライト級以下で強い外国人といえばタイ人と相場は決まっていたが、探せばタイ以外にも強い選手は埋もれていたわけである。歴史は動いていく。それとともに強さの価値観も変わっていく。ヴィールセンの名前が表舞台に出てきたのは、ムエタイ史上に残るハードパンチャーとして知られるアヌワット・ゲオサムリットを右ハイキック一発で沈めた一戦からだった。

日本初登場は“幻の一戦”に

待望の日本初参戦は“幻の一戦”に…… 【長谷川亮】

 9月上旬、そんなヴィールセンがカノンスック・ウィラサクレックジムとIT’S SHOWTIMEルールで闘うために初来日を果たした。カノンスックはこれまでに羅紗陀、山本元気、増田博正ら日本の実力派をことごとく打ち倒しているムエタイ戦士だ。得意技は視線を下に落して放つハイキックと一発を秘めた左右のストレート。ひじょうに魅力的なマッチメークだったが、残念ながら“幻の一戦”に終わってしまった。
 カノンスックが計量を大幅にオーバーしてしまったのだ。以前からムラッ気のある選手として知られていたが、契約体重を守れないとなると言語道断だ。主催者側はグローブハンディやカノンスック側に減点を与えてからのスタートを要望したが、ヴィールセンのマネージャーはそれを由としなかった。
 結局、試合はエキシビションマッチとして行なわれた。カノンスックが仕掛けようとする場面もあったが、最初から最後までヴィールセンは試合を流した。彼の“猛獣のような動き”を期待していた私にとっては残念としかいいようのない結末だった。

 それでも、前日計量時にヴィールセンと会話することができたのは大きな収穫だった。一番聞きたかったのは、王座を明け渡すことになってしまったベノーイ戦の敗因だ。言い訳するわけじゃないけど、と前置きしながら、ヴィールセンは口を開いた。
「試合の1週間ほど前、バイクに乗っている時に交通事故にあってしまったんだ。そのせいで両足にケガをしてしまったんだよ」

精力的に試合を消化、生まれたばかりの長男のためにも

 この話を聞いて私が抱いていた疑問は全て氷解した。ベノーイ戦でいいところなく敗れ去ったことも、その後6カ月間も試合のインターバルが空いていたことも。幻の一戦となったカノンスック戦後、ヴィール戦は精力的にリングに上がり続けている。10月22日にはモスクワで勝利を収めた。そして約3週間のインターバルを置いて、11月12日にはIT’S SHOWTIMEのスペイン大会で地元のカルロス・レイスと激突する。ヴィールセンはできるだけ多くの試合をやりたいと考えている。

 その理由を訊くと、ヴィールセンは満面の笑みを浮かべながら携帯の待ち受け画面を見せてくれた。そこには昨年11月に産まれたばかりの長男ジェレロが映っていた。
「もう少ししたらジェレロには極真空手を学ばせたい。キックボクシングやムエタイを習うのはそのあとだね」

○プロフィール
Sergio Wielzen。1987年11月1日、スリナム生まれ(24歳)。身長170センチ。通算戦績41戦34勝(18KO)4敗2分1無効試合。得意技ミドルキック。好物はタイ料理と日本料理。
■IT’S SHOWTIME番組情報■

〜最強打撃格闘技〜 IT’S SHOWTIME JAPAN 2011・11・12 テネリフェ大会(スペイン)
【生中継】 11月13日 (日) 5:55 - 8:25  J SPORTS 3
【再放送】 11月13日 (日) 20:00 - 22:00  J SPORTS 3
【再放送】 11月24日 (月) 19:00 - 21:00  J SPORTS 2
【再放送】 12月17日 (土) 19:00 - 21:00  J SPORTS 3
ゲスト解説:日菜太、 解説:布施鋼治(スポーツライター)  実況:市川勝也

12月25日(日)24:00 - 26:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIMEアーカイブ2012・1・28 バダ・ハリ ラストマッチ! countdown-1 J SPORTS 3

【再放送】12月31日(土)18:00 - 20:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIMEアーカイブ2012・1・28 バダ・ハリ ラストマッチ! countdown-1 J SPORTS 3

12月31日(土)20:00 - 22:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIMEアーカイブ2012・1・28 バダ・ハリ ラストマッチ! countdown-2 J SPORTS 3

【無料放送】12月31日(土)22:00 - 23:00 【Zone22】〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME スペシャル 欧州格闘技最前線 J SPORTS 3


◇2011年の大会再放送◇

12月03日(土)18:00 - 20:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME2011・3・6 アムステルダム大会(オランダ) J SPORTS 3

【無料放送】12月04日(日)18:00 - 20:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME2011・3・26 ブリュッセル大会(ベルギー)  J SPORTS 3

12月10日(土)17:00 - 19:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME2011・5・14 リヨン大会(フランス) J SPORTS 3

12月10日(土)19:00 - 21:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME2011・6・18 マドリード大会(スペイン)  J SPORTS 3

12月15日(木)20:00 - 22:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME JAPAN countdown-12011・7・18 ディファ有明 J SPORTS 3

12月16日(金)19:00 - 22:00 〜最強打撃格闘技〜 IT'S SHOWTIME 70kg級トーナメント2011・9・24 ブリュッセル大会(ベルギー) J SPORTS 3

●IT’S SHOWTIME 大会予定
1月28日(土)アムステルダム大会(オランダ)
※バダ・ハリのキックボクシング引退試合
ダニエル・ギタvs.ヘスディ・カラケス(ヘビー級タイトルマッチ)
ルーシン・オズグニvs.ヨハン・リドン(73kg級タイトルマッチ)
タイロン・スポーンvs.メルヴィン・マヌーフほか
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