全日本女子、負けから見えた追求すべき点 残り8試合を戦うために=バレーW杯
ワールドカップで、早くも2敗を喫した全日本女子。負けパターンを露呈した 【坂本清】
「正直、厳しいとは思う。この3戦は、とにかく全部勝ちたかったです」
第3戦(6日)の中国戦後に木村沙織(東レ)が発した、率直な思い。苦しい状況になることはわかっていたし、まだ残りは8試合もあるのだから、悲観してばかりはいられない。それでも、この2敗が重くのしかかるのはなぜか。
中国を相手に、ミスによる自滅に近い展開と、2−1とリードしたところからの逆転負け。大枠だけを見れば、第1戦のイタリア戦の負け方とは違うように見える。だが、負けを招いた理由をよく見ると、敗れた2試合はこれ以上ない形で日本の負けパターンを露呈させるものであったことは否めない。
イタリアの戦略、“木村封じ”にはまった日本
木村を徹底的に封じたイタリア。ほかの選手のミスも誘発し、日本は自滅した 【坂本清】
木村本人も「自分が対戦相手なら、絶対に(自分を)サーブで狙うはず」と言うように、サーブレシーブ、攻撃の中心でもある木村を標的にするのは決して想定外ではない。だが、自国開催のワールドカップとはいえ、エースであり、若手選手をけん引する立場として重責を担う木村に、イタリアが講じた策は見事なまでに悪影響を及ぼす引き金となった。
「コンビが合わないとか、調子が悪いわけでもない。相手のブロックもレシーブも見えていたけど、『まずはサーブレシーブを返さなきゃ』と気持ちばかり先行してしまって硬くなりすぎました。上がってくるトスに対して工夫もなく、ただ打つだけ。考える余裕がありませんでした」
対角に入った江畑幸子(日立)はイタリア相手にチーム内最多の19得点を記録したが、これも江畑の調子が格別によかったからというわけではない。
「自分がバックにいる時、これまでの対戦ではバックアタックに対しても(相手が)多少はブロックに飛んできていたのに、今回は全部サオリさんについていた。そこで自分がもっと積極的に仕掛けていけばよかったけれど、そこまで持っていけないうちにミスで自滅してしまいました」
決して特別なことではない。イタリアは「苦しい時、日本は木村で得点する」という、これまでの日本の勝ちパターンを封じただけだった。