マルキーニョス「いつかまた日本に戻りたい」=栄光の10年間と突然の悲しき別れ

大野美夏

6クラブを渡り歩いたマルキーニョス(右)だが、とりわけ鹿島では多くのタイトルに恵まれた。 【Getty Images】

 2001年の東京ヴェルディ加入以来、横浜F・マリノス、ジェフユナイテッド千葉、清水エスパルス、鹿島アントラーズ、ベガルタ仙台と10年間で6チームを渡り歩いてきたマルキーニョス。07年に移籍した鹿島ではリーグ3連覇に貢献するとともに、得点王のタイトルも獲得した。特筆すべきはその高い決定力だ。来日当初はけがで離脱することも多かったが、06年以降はコンスタントに出場し、5シーズン連続で2けたゴールを記録している。J1で積み重ねた得点数は歴代5位タイとなる109(11月3日時点)。リーグ史上最強の外国人選手の1人と言っても決して過言ではないだろう。11年には仙台に加入し、ゴール数のさらなる上積みが期待されていた。

 しかし、3月11日に東日本を襲った未曾有の大震災により、マルキーニョスの日本でのキャリアは突如として終止符が打たれてしまう。4月9日、仙台はマルキーニョスとの契約解除を発表。地震後はブラジルに帰国し、練習再開とともに一度はチームに合流したものの、相次ぐ余震と震災の甚大な被害を目の当たりにした精神的なショックは大きかったようだ。

 現在、マルキーニョスは母国ブラジルのアトレチコ・ミネイロでプレーを続けている。とはいえ、素晴らしい時間を過ごした日本を忘れることはない。「いつかまた日本に戻って何かの役に立ちたい」。これがマルキーニョスの次の目標だという。震災からの復興を目指す日本への愛情、クラブを退団するに至った苦渋の決断について、思いの丈を語ってくれた。

本当に素晴らしい10年間だった

――あなたは2001年の東京V加入以来、Jリーグの6クラブでプレーしてきた。外国人プレーヤーとして、これだけ多くのチームで、しかも長きにわたって日本に滞在した選手はいないよね

 初めて日本のクラブからオファーをもらったとき、僕はコリチーバのFWとして絶好調だった。最初は、このままブラジルで頑張っていればブラジル代表に呼ばれる可能性だってあるから、外国に行かないほうがいいと思ったんだ。でも、いろいろ考えて、この挑戦を受けようと日本に行くことにした。

――1人で? それとも家族を連れて?

 1人で行ったよ。日本に限らず、きっと外国に行ったら最初はいろいろ困ることがあると覚悟をしていたから、驚きはしなかったけど、日本の食事に慣れるのにちょっと時間がかかったね。最初は食べられるものを口にして、徐々に慣れて、最後には納豆も食べられるようになったよ。ラーメン、焼肉、刺身など日本の食べ物は本当においしかった。今でも、時々日本食が食べたくなると、日本食レストランに行くんだ。

――あなたの日本になじもうという姿勢が成功のカギだったのかな?

 そうだね。少しでも日本に近づこう、日本のことを知ろう、そして、ピッチの中では絶対に勝ちたいという闘志の姿勢が日本のみんなに受け入れられたのかもしれない。本当に素晴らしい10年間だったと思うよ。

――6つのクラブ、それもいろいろな地域でプレーした。どのクラブの思い出が印象に残ってる?

 どのクラブも、僕にとっては忘れがたい思い出の地だよ。

鹿島のナビスコカップ優勝には胸がいっぱいになった

――日本ではたくさんのタイトルも獲得してるよね。特に鹿島ではJリーグで3連覇を達成している

 鹿島では素晴らしい経験をした。僕はこれまでプレーしてきたクラブで、チーム内の得点王だったけど、鹿島では(2008年シーズンに)初めてリーグの得点王になることができたんだ。忘れられないね。

――その鹿島がナビスコカップで優勝したね

 優勝は本当にうれしいね。今でも、鹿島のオズワルド(・オリヴェイラ)監督はじめスタッフとは連絡を取っているから、お祝いの言葉を伝えたよ。一緒に戦ったメンバーのことを考えて、本当に胸がいっぱいになったんだ。

――ブラジルにいても、Jリーグは見ているの?

 こっちで放映しているNHKで時々Jリーグの試合が流れるから、見てるよ。

――鹿島と仙台、あなたにとって忘れられない2つのクラブが今回の震災、津波で大きな被害を受けた

 本当に胸が痛むよ。僕自身、3月11日は仙台にいてあの地震を体験したんだ。

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著者プロフィール

大野美夏

ブラジル・サンパウロ在住。サッカー専門誌やスポーツ総合誌などで執筆、翻訳に携わり、スポーツ新聞の通信員も務める。ブラジルのサッカー情報を日本に届けるべく、精力的に取材活動を行っている。特に最近は選手育成に注目している。忘れられない思い出は、2002年W杯でのブラジル優勝の瞬間と1999年リベルタドーレス杯決勝戦、ゴール横でパルメイラスの優勝の瞬間に立ち会ったこと。著書に「彼らのルーツ、 ブラジル・アルゼンチンのサッカー選手の少年時代」(実業之日本社/藤坂ガルシア千鶴氏との共著)がある。

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