ジュニア世代が露呈した、今後の女子バレーに迫る危機とは?
ユースでの自負を打ち砕かれる敗戦
中でも、シニア代表にも選出されたチームのエース、堀川真理(東レ)が受けたショックは大きかった。
「ユースのころと比べて、同じポジションの選手はものすごく打てるようになっているのに、私はどうやっても決まらない。もう、打ち方がわからなくなっちゃいました」
優勝したアジアユースでMVPを獲得した堀川に対して、相手国は完ぺきな対策を練ってきた。相手が変化しているのに対し、かつての残像をもとに「いける」と堀川が真っ向勝負を挑んだ結果、試合を重ねるごとに日本の被ブロック数が加算されていく。顕著だったのは、2試合目の中国戦。同じアジア勢同士の対戦で、日本は1試合で29本という屈辱的なブロック数を中国に献上した。
曖昧な戦略では、強豪国には勝てない
たとえば、シニア代表がアイパッドを導入してまでこだわった、データのフィードバックのスピード化。相手チームの戦術、戦略だけでなく自チームの戦い方を明確にするためにも不可欠であるはずのデータが、ジュニア世代ではパソコンを通してではなくアナリストがメモ書きにしてトランシーバーでコーチに指示を送る。当然、そこにはボール支配率や効果率など、現在のバレーボール界に置いて不可欠とも言える数値は反映されていない。
堀川の場合も、相手のブロックが高いという情報、どのコースが止められているという客観的な情報は得られても、それがどのコースならばどれほどのパーセンテージで止められているのか、抜けているのかという詳細は伝えられないため、最後は「アタッカー勝負」という曖昧な結論を招かざるを得ない。
国内ならば、諸外国を相手にしても技術が成熟していないユース世代から、シニア代表候補にも選出されるほどの堀川の高さを生かしたスパイクで得点を加算することは可能かもしれないが、ドミニカ、中国などシニア代表も擁するジュニア世代では同じことが通用するはずはない。