U−22日本、五輪予選へ真価を問われるオーストラリア戦
特徴が違うクウェートとオーストラリア
選手に指示を与える関塚監督(左)。五輪予選前の最後の試合で、チームの真価が問われる 【小澤一郎】
関塚ジャパンにとって、6月はU−22クウェート代表とのロンドン五輪アジア2次予選(19日、23日)を控える重要な月。ホーム&アウエーで2試合があるとはいえ、2次予選はノックアウト方式で、負ければ即座に五輪出場への夢が絶たれることになる。そのクウェートとの大一番にどうつなげるかという意味でも、オーストラリアとの試合は重要なのだが、他方でクウェートとオーストラリアではチームの特徴もサッカーのスタイルも異なる。
そのため個人的には、関塚監督がオーストラリア戦を前にしたトレーニングやミーティングで、選手にどこまでクウェートを意識させるのかが気になっていた。31日に行われた前日練習の様子や練習後の選手のコメントを聞く限り、今回は「対オーストラリア」に集中させているようだ。ミーティングでクウェートの話やビデオが出ることもなかったという。当たり前のことかもしれないが、目の前の試合に集中させる、無駄にクウェートの情報を与えて、今から選手を力ませないという2点において、関塚監督のチームマネジメントは評価しておきたい。
オーストラリアについて、31日の練習前のミーティングでスカウティングビデオを見た選手たちからは口々に「つないでくるチーム」という印象が出ていた。大柄な選手がそろうオーストラリアだが、前線の1トップに長身FWを置く場合は、その選手をターゲットとして比較的早いタイミングでロングボールを入れてくる。ただし、最終ラインからの単純な放り込みやアーリークロスよりも一度中盤センターでためを作り、展開力のあるアンカーを経由させる形が多いようだ。
関塚監督が守備面で一番強調していた点も、アンカーへのプレッシャー。ボランチの山村和也、山口螢がプレッシャーを掛けて自由に蹴らせないよう気をつけながらも、前線の永井謙佑、東慶悟がプレスバックしてはさみ込んだり、時にアンカーへの落としのインターセプトを狙う動きが求められていた。
不安材料は鈴木が離脱したセンターバック
紅白戦を見る限り、この試合の予想スタメンはGK権田修一、DFは右から酒井宏樹、濱田水輝、村松大輔、酒井高徳、中盤ダブルボランチは山村和也と山口蛍、サイドハーフは右に清武弘嗣、左に原口元気、トップ下に東慶悟、1トップに永井謙佑という4−2−3−1。しかし権田も語るように、選手の中には「誰がスタメンで誰がサブというのはない」という。
不安材料として挙げられるのは、人材難のセンターバック。最終ラインの中心として期待され、直前のJ1リーグの浦和戦では得点を奪うなど調子を上げていた鈴木大輔がケガで離脱したことで、いつも以上にセンターバックが注目されることになる。先発はチームでの出場機会が少ない濱田と、ボランチが本職の村松のコンビになりそうだが、濱田自身は「誰と組んでもやることは変わらない」と冷静。練習での村松の動きや濱田とのコンビネーションも特に問題はなかった。
紅白戦では彼ら2人が大迫勇也に競り負ける場面もあったが、放り込まれた時に重要なのは、競り勝つこと以上にセカンドボールを拾うこと。その意識はチームに浸透しており、だからこそ、関塚監督も流通経済大ではセンターバックを務める山村をそのままボランチで起用するようだ。6人までの交代が認めれるとのことで(※GKの負傷があった場合には7名まで)、関塚監督の交代策や途中出場の選手のプレーも含めて、あくまでU−22日本代表というチームとして今日のオーストラリア戦をチェックしてみたい。
<了>
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