代表への扉を閉ざされたテベス=バティスタがアルゼンチン代表に招集しない本当の理由
連絡を取り合うことすらなくなった
プレミアリーグで得点王にも輝いたテベス(中央)だが、代表監督との関係は良くない 【写真:ロイター/アフロ】
先日ウェンブリー・スタジアムで母国アルゼンチンの国旗をまとい、FAカップを掲げる姿を世界中に示したマンチェスター・シティ(マンC)のFWは、プレミアリーグにおけるシーズン最優秀選手にノミネートされるとともに、ベストイレブンに選出された。また、マンチェスター・ユナイテッドのブルガリア人FWディミタール・ベルバトフと並んで得点王(20ゴール)にも輝いた。
にもかかわらず、テベスは7月に母国で行われるコパ・アメリカ(南米選手権)を前にしたアルゼンチン代表で定位置を確保できないだけでなく、すでに半年ほど前からセルヒオ・バティスタ監督の構想から外されている。
彼のような世界有数のFWが母国の代表監督から無視され続け、連絡を取り合うことすら全くなくなった原因は何なのか。先日、バティスタはコパ・アメリカに招集する可能性がある選手たちと会談を行うべく、ヨーロッパの各国を回った。そのリストにはテベスのチームメートであるマンCのパブロ・サバレタも含まれていたのだが、マンチェスターに滞在する間も彼がテベスとコンタクトを取ることはなかった。
バティスタがテベスを招集しない本当の理由は、彼が公に説明しているものとは別のところにある。
マラドーナとバティスタの関係
当時マラドーナは代表監督の続投にこだわり、W杯・南アフリカ大会の準々決勝ドイツ戦で0−4と大敗した直後に「グロンドーナが続投を保証した」と主張していた。この発言を否定したグロンドーナは、自身が望んでいるのは「マラドーナ1人の続投であり、ほかのアシスタントコーチらは一新することが条件だ」と返答。この間接的なやり方でグロンドーナは自らマラドーナをクビにすることなく、続投をあきらめさせるという目的を成し遂げたのだった。
ダブリンでの親善試合が行われた際、マラドーナとバティスタの関係は最悪な状況にあった。同じブエノスアイレスのクラブ(アルヘンティノス・ジュニアーズ)の出身である2人はもともと非常に仲が良く、年も1つしか離れていない。だがマラドーナは、自分よりも代表のマネジャーであるカルロス・ビラルドを選び、マラドーナが去った後も代表チームに残ったバティスタに対して(それまではユース代表の監督だった)、不誠実な男であるとして嫌悪感を示した。
バティスタが代表監督としての未来を懸けて挑んだ試合で、テベスはマラドーナが代表監督を続けるべきとの考えを示した。誰よりも前監督への支持をはっきり口にしたテベスは、間もなくグロンドーナから呼び出されて話し合いを行う。以降、テベスが口を開くことはなくなったものの、すでに問題は生じていた。