浜松vs.沖縄、一歩も引かない戦いに有明が揺れた!=bjファイナル

柴田愛子

bjファイナルは、終盤に起こった数々の問題を乗り越えた浜松が勝利し、2連覇を達成した 【加藤よしお】

「共に、乗り越えよう。東日本大震災 復興支援ゲーム 2010−2011シーズン プレイオフ ファイナル4」が東京・有明コロシアムで4月22、23日と開催された。
 初日に行われたカンファレンス ファイナルではイースタンが浜松・東三河フェニックスが新潟アルビレックスBBを、ウェスタンでは琉球ゴールデンキングスが大阪エヴェッサをそれぞれ破り、ファイナルへ進出。2連覇のかかる浜松と、2年ぶりの王座奪還に燃える沖縄の決戦となった。
 レギュラーシーズンでは、東日本大震災の翌日となる3月12、13日に対戦するはずだった両チーム。この試合が中止になったことで、ファイナルの舞台が今シーズン、最初で最後の対戦となった。

出だしでつまづくも岡田の活躍で逆転

昨年のファイナルMVPの大口(左)は、「プレッシャーが自覚している以上にのしかかっていた」と話す 【加藤よしお】

 全国から8388人の観客が集まった試合は、開始前からブースターのコール合戦に後押しされたのか、立ち上がりから攻守が激しく入れ替わるアップテンポな展開。しかし「2連覇がかかっているというプレッシャーが、自覚している以上に肩にのしかかっていたように感じる」と浜松・大口真洋がいうように、浜松のシュートはことごとくリングに嫌われ、得点が思うように伸びない。
 対する沖縄は金城茂之のドライブや与那嶺翼の3ポイントシュートで勢いを得ると、シュートミスが続く浜松を引き離しにかかる。一時は9点差まで開いたが、終盤持ち直した浜松が4点差まで詰め、17−13と沖縄リードで第1Qを終える。

 第2Qに入ってもシュートが入らない苦しい時間帯が続いた浜松。それを断ち切ったのは浜松・岡田慎吾だ。「出だしにミスから入ったので、盛り返さなきゃと必死だった」という岡田はゴール下でパスを受け、沖縄のビックマンたちをかわしてシュートをねじ込むと、一気に流れは浜松へ。得意の早いパスまわしも冴えわたり、リズムが出てきた浜松が逆転に成功するとそのまま沖縄を引き放す。31−23と浜松が8点リードをつけ試合を折り返した。

沖縄の追い上げ届かず、浜松が連覇

 第3Q、このまま離されたくない沖縄は小菅直人が奮闘。内外から得点、さらにはアシストでもチームを盛り上げる。そして残り3分。ついに小菅の3ポイントシュートで逆転に成功した沖縄。しかし、「逆転したあとに、すかさずひっくり返された。その部分が沖縄に足りなかった厳しさだ」と沖縄・桶谷大ヘッドコーチ(HC)が悔しさをにじませたように、逆転直後に浜松のウェイン・アーノルドに3ポイントシュートを許してしまった。
 これで沖縄に傾きかけた試合の流れが、再び浜松へ。昨年の王者が勝負強さをみせ主導権は渡さず、52−44と浜松の8点リードは変わらないまま勝負は最終Qへ突入した。
 第4Qも緊迫した展開は続く。一進一退の攻防に会場の熱気は最高潮に。震災後の選手救済制度で仙台から移籍した沖縄・志村雄彦がオールコートで気迫のディフェンスを見せると、キングスブースターのみならず、会場に駆け付けた仙台89ersブースターからも大声援が飛ぶ。その声援に後押しされた志村選手が3ポイントシュートを決め、残り5分で4点差まで追い上げた沖縄。
 しかしここでまたも沖縄の前に立ちはだかったのが浜松・アーノルド。インサイドでファウルを誘うと着実にフリースローを沈め、沖縄の追い上げムードを断ち切る。残り1分を切って沖縄はファウルゲームに持ち込むも、それで得たフリースローを確実に決めた浜松が、82−68で白熱した熱戦を制し見事2連覇を成し遂げた。

 MVPはシーズンMVPに次いで、浜松のジェフリー・パーマーが獲得。「チームが勝利したことが本当にうれしいし、とてもいい気持ちだ」とW受賞に喜びを爆発させた。

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