一発勝負で雌雄を決すファイナル4 浜松の連覇か!? 他チームが阻止するか!?=bjリーグ

柴田愛子

昨シーズンの再現を狙う浜松 【写真:Atsushi Tomura/アフロスポーツ】

 プロバスケットボール「bjリーグ」がいよいよフィナーレを迎える。今週末には「共に、乗り越えよう。東日本大震災 復興支援ゲーム 2010−2011シーズン プレイオフ ファイナル4」が東京・有明コロシアムで開催。くしくも昨シーズンと同カードとなった各カンファレンスファイナル。1年前の再現で浜松・東三河フェニックスの優勝となるのか、それとも新たな王者が誕生するのか。河内敏光bjリーグコミッショナーが、ファイナル4の見どころを語る。

司令塔の抜けた浜松、助っ人を得た新潟

<東カンファレンス ファイナル展望>

 東日本大震災の影響で東カンファレンスの仙台89ers、東京アパッチ、埼玉ブロンコスがシーズン途中で活動休止となった。そのため、秋田ノーザンハピネッツ、新潟アルビレックスBB、浜松、富山グラウジーズの4チームで争うこととなったプレーオフ。結果は昨シーズンと同様に、浜松と新潟がファイナル4の切符を手にすることとなった。

 両者の対戦成績は4勝2敗で浜松が勝ち越しているが、年明け以降の対戦は2勝2敗と五分。レギュラーシーズン最後の直接対決(4月23・24日)も1勝1敗で分け合った。震災後に主力外国籍選手が帰国するなど、チーム状況が大きく変化した両チーム。新たに外国籍選手を得た新潟に対し、浜松は既存のメンバーで戦うことを決めた。厳しい状況下で、どんな戦略をぶつけてくるのかに注目だ。

 連覇を狙う浜松は、今シーズン順調にチームを作り上げてきた。「今季は一人の外国籍選手に頼らず、チームプレーに徹したチーム作りをしてきた」と中村和雄ヘッドコーチ(HC)が言うように、コート上の5人が連動しながら相手の隙をつくスパイラル・オフェンスを採用。フリーになった選手が積極的に得点を重ねることによって、1試合平均89.1点というリーグNo1の得点力を誇っていた。その勝率は8割7分という圧巻の数字で、浜松は優勝にもっとも近いと思われた。
 しかし、震災後に状況は一変する。司令塔ジャメイン・ディクソンが帰国したことによって、持ち味であるチームバスケが上手く機能しなくなったからだ。

 抜群のキープ力と突破力を持ち合わせたディクソン。スパイラル・オフェンスを支えていたのは彼のゲームコントロールだった。司令塔が抜けた穴はあまりにも大きく、その後の浜松の試合を見ると『オフェンスが重たくなった』という印象を強く受ける。うまくパスを散らせないことで無理な体勢からのシュートも多くなり、得点が伸びない。テンポよく得点ができないこともあり、オフェンスに手づまり感が目立つ。もともと浜松はサイズが大きいチームとはいえないので、リバウンド勝負になるとますます分が悪くなるのも不安要素だ。

平面の浜松 vs. 高さの新潟

 対する新潟は震災後の選手救済制度によってジョージ・リーチを埼玉から獲得し、ゴール下の厚みが増した。ジュリアス・アシュビーとのツインタワーによって、高さを生かしたインサイド勝負では新潟に分があるだろう。

 東カンファレンスファイナルでは高さで勝る新潟が、インサイドで確実に得点またはファウルを得ることが勝敗の鍵を握る。また、インサイドにボールを集めて浜松のディフェンスを引きつけ、アウトサイドから小松秀平や池田雄一が3点シュートを沈めるというパターンも理想的。浜松のお株を奪う3点シュート攻勢で一気に引き離すことも可能だ。新潟がアドバンテージとする高さを最大限に生かすことができれば、おのずと勝負の流れは新潟に向いてくる。

 しかし、もともとオフェンス力の高い浜松だけに簡単に主導権は渡さないだろう。インサイドでもジャーフロー・ラーカイが起点となって攻撃を組み立ててくるに違いない。したがって、彼がどれだけインサイドで踏ん張れるかが重要となってくる。もし早々にファウルが重なってしまうと、浜松にとっては苦しい展開になってしまう。ラーカイやウェイン・アーノルド頼みになることなく、パスを散らして得意の3点シュートにつなげられるかが浜松の勝敗ポイントになってくる。

 カンファレンスセミファイナルから2週間の準備期間を経て行われるカンファレンス ファイナル。この間に浜松・中村HC、新潟・廣瀬昌也HCというbjリーグきっての名将同士が、どうチームを作り上げてくるか見ものだ。

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