最強はヒルノダムール! 伝統の春の盾制し頂点へ=天皇賞・春

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ヒルノダムールが待望の初GI制覇、同期4歳のライバルを蹴散らし春の最強馬に 【スポーツナビ】

 JRA春の最強古馬決定戦、第143回GI天皇賞・春が5月1日、伝統の京都競馬場3200メートル芝を舞台に争われ、藤田伸二騎乗の7番人気ヒルノダムール(牡4=昆厩舎、父マンハッタンカフェ)が優勝した。折り合いピッタリに中団のインを追走すると、最後の直線を力強く抜け出し、同期のライバルであるダービー馬エイシンフラッシュ(牡4=藤原英厩舎)を振り切って待望のGI初勝利。“最強4歳世代”と呼ばれる2007年生まれ世代の頂点に立つとともに、春の最強馬の座を手にした。やや重馬場の勝ちタイムは3分20秒6。

 ヒルノダムールはこれでJRA通算14戦4勝、重賞は前走のGII大阪杯に続き2勝目。父マンハッタンカフェに続く天皇賞・春勝利となり、春の盾父子制覇は1948年シーマー・1955年タカオー父子以来、56年ぶり2組目の快挙となった。また、騎乗した藤田、同馬を管理する昆貢調教師ともに同レース初勝利。

 一方、内田博幸騎乗の3番人気エイシンフラッシュは半馬身差及ばず悔しい2着。さらに1馬身半差の3着には和田竜二騎乗の5番人気ナムラクレセント(牡6=福島信厩舎)が入線。なお、1番人気の支持を集めた四位洋文騎乗のトゥザグローリー(牡4=池江厩舎)は13着、武豊騎乗の2番人気ローズキングダム(牡4=橋口厩舎)は11着と、それぞれ大敗した。

この馬をGI馬にできたことが最高にうれしい

昨年クラシック戦線での悔しい敗戦を糧に、ついにつかんだ頂点 【スポーツナビ】

 「自分のことは後でいいです。自分のことよりも、この馬でGIを勝てたこと、この馬をGI馬にできたことが本当にうれしいですね」

 藤田が喜びを噛みしめるように、静かに第一声を語った。自分自身が天皇賞ジョッキーになった喜びよりも、09年11月のデビュー戦から苦楽をともにしたヒルノダムールとのコンビでついにビッグタイトルを手にしたこと、そして最愛の相棒をGI馬に導いたことが何より最高にうれしい。

 「やっぱり、3歳のクラシック三冠レースはすべてがうまく行かなかったからね。これ以上は迷惑はかけられない。自分がミスさえしなければ、と思っていました」

 昨年の三冠レースは皐月賞で2着と好走したものの、続くダービーは3番人気9着、秋の菊花賞も3番人気で7着と惨敗。「馬の力を過信しすぎて、消極的な騎乗になっていた」と藤田。その反省をもとに、この日のレースは「自分でレースを作るという気持ちで」勝負をかけた。また、昆調教師から騎乗に対して特別な注文がなかった点も、「信頼に応えるためにも、なおさら自分が何とかしないと」と、藤田の気持ちを奮い立たせていた。

出入りの激しい乱ペースの中で徹した自分たちの競馬

目まぐるしく隊列が入れ替わる厳しい展開の中、藤田&ヒルノダムールはじっと我慢し自分たちに競馬に徹していた 【スポーツナビ】

 道中はちょうど中団インのポジション。
 「願ってもない内枠を引いたし、いつもより前々で競馬をしようと思っていた。他の馬は気にせず、とにかく自分の馬の競馬をしようと」

 藤田がこう振り返ったように、向こう正面からトゥザグローリー、ナムラクレセントらがハナを取り合う出入りの激しい競馬となったが、藤田&ヒルノダムールはまるで別のレースを走っているかのように静かにラップを刻む。スローペースの中、ローズキングダムのように折り合いに苦労する馬もいたが、それも「いつも折り合いはつく馬で、自由自在に操れる馬だから」と、まったく問題なし。ライバル馬が道中からめまぐるしくポジションを入れ替える中、ジッと息を潜めて脚をタメにタメていた。

 「ずっと我慢していけば、4コーナーから直線で馬群は扇形に広がっていくだろうし、直線勝負で伸び負けたら、それは力負けということだから」

 腹をくくって相棒にすべてを託した藤田の気持ちに、ヒルノダムールも最高の脚でもって応える。ジョッキーの読みどおり、直線入り口で馬群が横に広がると、そこをスムーズにさばいて一気の伸び。早め先行のナムラクレセントを残り1ハロンで競り負かすと、外から飛んできた同期のライバル・エイシンフラッシュの追撃も半馬身抑えての完封。3歳時に届きそうで遠かったGIタイトル、そして頂点の座をついにつかんだ瞬間だった。

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