最強はヒルノダムール! 伝統の春の盾制し頂点へ=天皇賞・春

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“最強世代の一角”から並ぶもののいない“最強”へ

最強世代の一角に肩を並べたヒルノダムール、今度はただ1頭の最強馬へとひた走る 【スポーツナビ】

 「ヒルノダムールは毎回惜しい競馬が続いていたけど、自分はこの馬の評価を1度も下げたことはなかった。このメンバーでも十分やれると思っていましたから。これでこの馬の能力を分かってもらえたと思いますし、あとはこのまま無事にいって、また次のレースで頑張っていきたいですね」(藤田)

 ヴィクトワールピサ、ローズキングダム、エイシンフラッシュら3歳時にすでにGIホースとなっていたライバルたちに加え、トゥザグローリーの急上昇などもあり、実力はありながらも最強4歳世代の中でどことなく地味なポジションに追いやられていた。それが大阪杯を制しながら7番人気に甘んじる今回の評価にもつながっていたわけだが、これで堂々、最強の一角に名乗り。昆調教師は言う。
 「大阪杯を勝ったことで馬に自信がついたのか、この中間はすごい迫力が出ていた。これだけのメンバーがそろった中でGI馬になれたんですから、4歳の最強世代の上位に肩を並べられたかなと思います。これからは追われる立場にもなりますけど、負けないように今後も仕上げていきたい」

 3200メートルの激しいレースを走った後なので今後は馬の状態を見て、とトレーナーは次走について明言こそしなかったものの、順調に行けば上半期を締めくくるグランプリ・GI宝塚記念(6月26日、阪神2200メートル芝)になるだろう。大阪杯での重賞初勝利を機に真の力を目覚めさせたヒルノダムール。“最強世代の一角”から並ぶもののいない“最強”へ、この春一気に駆け上がるか。

「悔しいね」エイシンフラッシュ惜敗2着も底力見せた

差し切る勢いも見せたエイシンフラッシュ(右)だったが一歩届かず……しかし、ダービー馬の完全復活は近い 【スポーツナビ】

 一方、3番人気に支持された同期のダービー馬エイシンフラッシュは、外から激しく追い込むも半馬身及ばず2着惜敗。春の盾で完全復活Vとはならなかった。

 「悔しいね」。レース後、内田博が悔しさをにじませて語った。上がり3ハロンのタイムはヒルノダムールを0秒1上回る35秒2。最後の直線、勢いは外のエイシンフラッシュにあり、内田も「かわせると思ったけど……」と振り返ったほど。しかし、ヒルノダムールも脚色は最後まで衰えず、半馬身まで詰め寄ったところが無念のゴールだった。

 「枠順の内・外の差は大きいね。なかなか前に壁を作ることができなくて手間取ってしまいました」

 道中は先頭がめまぐるしく入れ替わる乱ペースの展開。内枠スタートを利して馬群の中ですんなり折り合いをつけられたヒルノダムールに対し、外枠発走のエイシンフラッシュは周囲に馬が少なく、流れに乗るまでが難しかった。

 だが、「ダービーでもそうだったけど、今回も引っ掛かるくらいの気持ちで、その方がいいタイプ。出来は良くなっている」とジョッキーが語ったように、昨秋の菊花賞前の筋肉痛を境としたスランプは脱出。ダービー馬の底力は十分に見せた。3歳に続き古馬でも頂点へ立つチャンスは、すぐにでもやって来るはずだ。

人気2頭がまさかの沈没……敗因は折り合い

折り合いに苦労し自滅した1番人気トゥザグローリー、まさかの大敗だった 【スポーツナビ】

 また、1番人気の支持を集めた四位洋文騎乗のトゥザグローリーは13着、武豊騎乗の2番人気ローズキングダムは11着と、それぞれ大敗した。

 伝統の淀長距離戦は、やはり何といっても折り合いが大事。人気2頭はいずれも折り合いに苦しみ、馬群に沈む形となった。
 トゥザグローリーの四位は「スタートはポンと出て、どれかが行って壁ができればと思っていたけど、壁ができないままケンカする形になってしまいました」。2周目の向こう正面で思い切って行ったシーンを「中団のあの位置で我慢してもケンカしたままの形になるだけだから、ある程度行かせて、ハナに立ったら息も入って“ヨシ、ヨシ”と思ったけど」と振り返ったが、「すぐに和田君の馬(ナムラクレセント)も来て、出入りが激しくて……」と、思いがけない展開を悔やんだ。
 「3200メートルが長いとは思わないけど、折り合いを考えると前走のような2400メートルくらいがベストだと思う」とも語った四位だったが、「でも、人気していましたから」と、1番人気での惨敗に表情は沈んだまま。同馬を管理する池江泰寿調教師は「これからの馬。また出直します」と反撃を誓った。

 一方、ローズキングダムの武豊も「折り合いを欠いてしまいました。返し馬から元気が良すぎる感じで、道中もピリピリしていた。ゴチャゴチャした競馬になり、途中で燃えてしまった」と、トゥザグローリー同様に折り合いに苦しんだと敗戦の弁。ワンツーを決めた4歳同期のライバル、ヒルノダムール、エイシンフラッシュとは対照的な競馬となってしまった。

 2頭とも上半期の総決算グランプリ・GI宝塚記念(6月26日、阪神2200メートル芝)に駒を進めるのならば、折り合いに苦労しない中距離戦で巻き返したいところだが……。

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