女子ジャンプ・ソチ五輪期待の星=高梨沙羅インタビュー

高野祐太

14歳ジャンパーの素顔は“天然系”

高梨のジャンプは空中姿勢の美しさなど、ボディーバランスの良さに定評がある 【写真:アフロ】

――ジャンプ以外にも小さいころからやっていることはあるんですか

 「2歳くらいからピアノを習い始めて、続いてバレエも始めました。ピアノはもう習っていないけど、バレエは今も週2回くらい教室に通っています。『白鳥の湖』はやったことないけど、最近は『祭り』という和にアレンジしたモダンな演目をやりました。バレエも楽しい。完ぺきに踊れたときはうれしいです」

――そのなかから、ジャンプを選んだ感じですか?

 「はい。でもジャンプをやりながらバレエもできるんですよね。シューズを持ち歩けばどこでもできるので。バレエをやっていることで、体が柔らかいし、バランスも取れるんですよね。それもジャンプにつながっているんじゃないかなって思います」

――まだ中学生です。ジャンプ以外の将来の夢はありますか

 「中学校の先生になりたいです。子供に教えるのが好きなので」

――勉強も頑張っていると聞きました。先生になるなら大学に行って、教職課程を取らなければなりませんね

 「はい。そういうことも考えながら、勉強をしています」

――たくさんの取材が殺到するようになりましたが、14歳の女の子としては戸惑ったり驚いたりはしないですか

 「気にならないです。いつも通りにしています」

――お母さんが「沙羅は“天然系”なので、そういうこと気にならないんです」とおっしゃっていました。“天然系”というのは当たっていますか

 「どうなんだろう。A型に似合わず、そんな感じです。ちょっと抜けているとは言われます。AB型っぽいです。お母さんがAB型なので」

――お母さんの個性を受け継いでいるということかも

 「しれないですね」

小柄な体格、自分に合ったジャンプを生かす

――身長が高い方が浮力をたくさんもらえるジャンプにおいて、高梨さんは身長の低い不利を補うボディーバランスの良さがあると評価されています

 「不利なんですかね。その分軽いので、そこはあまり関係ないんじゃないかと思います。体重が軽いと風を受けたときに有利だと思うので」

――小柄なことを不利とはとらえていないと


 「はい」

――体重が重いほどスピードの出やすいアプローチ(助走)でも、そん色ないスピードを出せるバランスの良さがあるとも言われますが

 「私、思ったんですけど、体が小さいから滑っている間に抵抗を受けていないんじゃないかなって。大きい人は抵抗を受ける。そこら辺はちょっと分からないです。でもアベレージ(の助走スピード)にいれればいいかなと思う。アプローチでは、ポジションを前とか後ろとか何も意識していません。自然にやっているだけです」

――空中姿勢もバランスが良いと言われますが、いかがですか

 「空中でも何も。ただ板が開き過ぎないようにと気をつけているくらいです。空中で例えばバタついたりする原因は、その前の飛び出しにあると思っています」

――その飛び出し(サッツ)で空気抵抗による減速を生まない的確な動作が高梨さんのアドバンテージのように思いますが、そこを意識している訳ですか

 「はい。(アプローチ姿勢の)ひざの角度そのままに飛ぶことはできないんですけど、それに近い角度で行けているかなと思います。体を起こすことは空気抵抗を受けるのでせずに、ただ足を伸ばして、頭と腰を一定の位置にと。本当にノーマルなジャンプだと思います。頭と腰をある程度の位置まで突き上げるのも普通だし、教科書通りのジャンプだと思う。いろんなジャンプがあって、その人に合ったジャンプがあります。例えば真上に突き上げて高い位置からの選手とか、伸び切る速さを速くして押さえて飛んでいく選手もいる。こんなジャンプでもあそこまでとべるんだなという外国人選手もいたので。本当に形じゃないと思います。その中で、私に合ったジャンプがひざの角度に飛び出すジャンプなんです」

――今までで一番印象に残っている大会はどれですか?

「やっぱり初めて出た世界選手権です。悪い条件を経験したと言う意味で。次につながると思います」

――ジャンプの魅力はどこにありますか?

 「やっぱり空中ですね。飛び出した時の楽しさ、気持ちよさです。風を切る感じが楽しいです」

<了>

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著者プロフィール

1969年北海道生まれ。業界紙記者などを経てフリーライター。ノンジャンルのテーマに当たっている。スポーツでは陸上競技やテニスなど一般スポーツを中心に取材し、五輪は北京大会から。著書に、『カーリングガールズ―2010年バンクーバーへ、新生チーム青森の第一歩―』(エムジーコーポレーション)、『〈10秒00の壁〉を破れ!陸上男子100m 若きアスリートたちの挑戦(世の中への扉)』(講談社)。

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