アルゼンチン代表はマラドーナ色を排除?=コパ・アメリカに向けてチーム作りは最終段階に

テベスやアグエロが入る可能性はほとんどない

前線はメッシを軸に、ディ・マリア、ラベッシ(写真)が有力。テベス、アグエロがメンバー入りする可能性は低い 【Getty Images】

 これらの起用法はすべて、バティスタ監督がすでにコパ・アメリカに出場するメンバーをほとんど決めていることを示している。ふがいないプレーを続けているGKマリアーノ・アンドゥハルが今後も招集され続けるのは難しいだろう。逆に、昨年のW杯で正GKを務めたセルヒオ・ロメロは相変わらず信頼されており、ヨーロッパから帰国してリーベル・プレートへ加入したフアン・パブロ・カリーソにチャンスが与えられるかもしれない。

 ディフェンス陣では先日の2試合で先発した4人(ベテランのサネッティ、ブルディッソ、ガブリエル・ミリート、ロホ)に加え、恐らくガライとラシン・クラブのサイドバック、ピジュが入るだろう。
 中盤はマスチェラーノ、カンビアッソ、ビリア、バネガがほぼ確定しており、エストゥディアンテスのエンツォ・ペレスも呼ばれる可能性が高い。アタッカーではディ・マリア、当然メッシ、ラベッシ、そしてべレスのFWフアン・マヌエル・マルティネスが確定組だ。

 このように見ると、残る枠はわずかか6つしかなく、そこにテベスやアグエロといったビッグネームが入る可能性はほとんどない。2人が呼ばれない理由はすべて明らかになっているわけではない。テベスについては昨年11月にカタールで行われたブラジル戦(1−0でアルゼンチンが勝利)に招集された際、前後のプレミアリーグでは普通にプレーしていたにもかかわらず、けがを理由に辞退したことが監督の怒りを買ったのかもしれないが、理由はそれだけではなさそうだ。

 ディエゴ・マラドーナ前監督との関係が良くないバティスタ監督は、まるで前任者の名残をすべて消し去ろうとしているかのように思える。
 まだバティスタが暫定監督だった時、テベスはマラドーナが続投すべきだと発言した(そのためテベスはAFAのグロンドーナ会長との直接会談にて発言を控えるよう指示されている)。そして誰もが知っている通り、アグエロはマラドーナの娘婿である。

 マラドーナと親しい関係にあるデミチェリスとエインセ(エインセの兄弟はマラドーナのマネジャーを務めていることも有名だ)についても、バティスタ監督は戦力とみなしていない。こうした現実から結論を導くのは難しいことではないだろう。もしかしたら、すべて奇妙な偶然なのかもしれないが……。

<了>

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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