『30歳の成長株』――パナソニック・木下博之=バスケ
オールジャパンでパナソニックを準優勝まで導いたPG・木下博之 【写真:AZUL/アフロ】
だが、大会を通じて強く印象に残った選手を1人挙げるとするなら、パナソニックの#1木下博之を選びたい。最後は力尽きたといえども8年ぶりの決勝の舞台にチームをけん引したのは紛れもなくこの木下だと思うからだ。
ベンチウォーマーの試練を乗り越え大きく飛躍
「試合に出られる外国人選手が1人になったことで、チームの得点力はどうしても落ちる。それならば自分が積極的に得点に絡んでいこうと考えた」(木下)と、自ら定めたスタイルがPGとして一皮むけるきっかけとなった。
もともとスピードと突破力には自信がある。アウトサイドシュートの確率も高い。木下が攻めることで、センターの#31青野文彦が生き、シューターの#6永山誠が生き、パナソニックの戦力は確実に厚みを増した。昨シーズンのJBLでは40分フル出場の試合も珍しくなく、部門別ランキングではアシスト1位、フリースロー2位、得点3位、3ポイント成功率3位という見事な活躍ぶり。
30歳にして初の日本代表にも選ばれ、昨年11月のアジア競技大会(中国・広州)にも出場した。メダルにはあと一歩手が届かなかったが、アジアの強豪チームを相手に連日1点を争う白熱戦を演じ16年ぶりのベスト4入りを果たしたことは「すごく刺激になったし、勉強にもなった」そして、何よりも「(この経験を通して)プレーに余裕が出てきたように思う」。
木下にとって『高いレベルの中でまだまだ成長できる自分を実感できた』意義ある大会となったのは間違いない。