WECが最後の大会、メインで驚愕の三角飛びハイキック炸裂

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衝撃の三角蹴りを炸裂させたペティスがWEC最後のライト級王者、そしてUFC王座挑戦権を獲得 【ZUFFA】

 12月16日(木・現地時間)、米国アリゾナ州フェニックスのジョビング・ドットコム・アリーナでは、今大会をもってUFCに統合されるWorld Extreme Cagefighting(WEC)最後のイベント、WEC53「Henderson vs Pettis」が開催された。

 勝者がUFCライト級王座(フランク・エドガーとグレイ・メイナードの勝者)挑戦が決まっているWEC世界同級王座戦=王者ベン・ヘンダーソン×挑戦者アンソニー・ペティス、そして、勝者が初代UFC世界バンタム級王者に認定されるWEC世界同級王座戦=王者ドミニク・クルーズ×スコット・ヨルゲンセンというニ大タイトルマッチが用意された今大会。WECの名とともに語り継がれる最後の王者として、歴史に名を残すのは……。

 メインイベントでは、組みからテイクダウンを狙っていくベン・ヘンに対し、勢いのある打撃を放っていくペティスという構図に。1Rと4Rがベン・ヘン、2Rと3Rがペティスという見方もできる五分の攻防となったが、最終ラウンドにまさかの一撃が放たれた。

 ベン・ヘンが後方に距離を取ろうとした瞬間、追いかけるように突進したペティスは、なんとケージを蹴って向きを変えると、そのまま返す刀でジャンピングハイキック。これがベン・ヘンのアゴを捉え、ダウンを奪うインパクト大の攻撃となり、判定の結果は、48−47、48−47、49−46でペティスに軍配が挙がった。

 また、セミファイナルで行われたクルーズ×ヨルゲンセンの一戦は、クルーズが目まぐるしいスイッチからの打撃に加え、得意のテイクダウンを連発。5Rを戦い抜くと、ジャッジ3人が50−45のポイントをつける完勝で、オクタゴンアナ=ブルース・バッファーから「ファースト・エバーUFC世界バンタム級チャンピオン」とコールを受けた。WEC&UFCの両ベルトを手にしたクルーズ、次なる挑戦者にはユライア・フェイバーを指名した。

新王者ペティス、衝撃のマトリックスキックでV

これが金網を使った驚愕のマトリックスキックだ! 【ZUFFA】

<第11試合 WEC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]●ベン・ヘンダーソン(米国)
(Def.5R終了/判定)
[挑戦者]○アンソニー・ペティス(米国)

 勝者がUFC世界ライト級王座挑戦権を得ることができる、WEC世界ライト級選手権試合。王者ベン・ヘンがテコンドー流の蹴りのコンビネーションを見せると、ペティスは距離を詰めてローを放っていく。
 さらにジャンピングハイを見せたペティス。地元の声援を背に受けたベン・ヘンだが、ペティスの右ハイにテイクダウン狙いを阻まれる。と、一気に距離を詰め左右のフックから組みついて腰をコントロールすると、ヒザを顔面に突き上げていく。
 ペティスが差し替えようとした瞬間、テイクダウンに成功したベン・ヘン。ペティスの腕十字狙いを察知し、腕を引き抜き、パウンドを落としていく。ペティスのボディへの蹴り上げで、スタンドへ戻った両者。ここで挑戦者のハイキックが王者の顔面をかすめる。残り1分を切り、スタンド戦でペティスがやや攻勢に出るが、ベン・ヘンはテイクダウンでスコアを纏めて初回を終える。

 2R、ベン・ヘンの左ミドルとペティスの右ストレートが交錯する。すると、ペティスの右がベン・ヘンを捉える。組みついたベン・ヘンのバックに回り込んだペティスが、後方から顔面へ足を振り上げ、テイクダウンへ。すぐに立ち上がった王者は、距離を取り直しパンチを繰り出すが、ペティスのパンチの方が勢いがある。
 ならばとパンチのフェイントから組み付いたベン・ヘンだが、ケージに押し込むだけでテイクダウンには至らない。距離を取った王者に右を放っていくペティスは、ジャンピングニーをキャッチされてしまう。再び組みつかれると、首相撲からヒザを入れ、距離を取ったベン・ヘンだったが、その急所にペティスのローが直撃する。
 一瞬のインターバルの後、試合が再開すると、ペティスがローでプレッシャーを与えていく。ペティスが2Rを奪い、試合は中盤3ラウンドへ。

 3R、ペティスの前蹴り、ローに王者がハイ、ミドルを見せるが、やはり打撃の勢いは挑戦者が上だ。ベン・ヘンの右クロールフックにテイクダウンを合わせたペティスは、ここで一気にバックマウントを奪取する。
 四の字フックで絞めつけ、脇をさす挑戦者。ベン・ヘンは前方にペディスを落すこともままならない。観客が必至にベン・ヘンへへ声援を送るが、右腕を掴んで立ち上がったまま、ベン・ヘンはディフェンス一辺倒に。
 四の字フックは、ペティスも他の技に移行できないまま、時間だけが過ぎていく。左のパンチを見せる挑戦者に、王者は左のエルボーを右腿に落としていくと、そのまま3Rが終了した。

 4R、ミドルキックを放つベン・ヘンは、ペティスにパンチの連打を入れながらテイクダウンへ。ギロチンで受け止めたペティスだが、ベン・ヘンはトップをキープすると、三角狙いを担いでパス狙い。このままバックを奪い、3Rとは逆に四の字フックでバックマウントの状態になった王者が、リアネイキドチョークの機会をうかがう。
 しかし、ここでペティスは胸を合わせながらスイープ、またもバックへ飛び乗っていく。体力の消耗を恐れてか、すぐに足をキャンバスにつけたペティスに、王者がヒザ蹴りをボディへ。しかし、左フックでケージに吹き飛ばされた王者は、苦し紛れのテイクダウン狙い。再びギロチンで受け止めたペティスは、そのまま首をホールドして時間が過ぎるのを待った。

 最終回、1Rと4Rが王者、2Rと3Rが挑戦者という見方もできる中、王者のミドルキックに挑戦者が右を合わせる。真っ直ぐ下がるなど、印象の悪いベン・ヘンは、ステップを踏んだときにバランスを崩し、しゃがみ込んでしまう。バックに固執しなかったペティスは王者のシングルにジャンピングニーを合わせた。
 ベン・ヘンは執拗に組み続け、ダブルレッグでテイクダウンを奪う。両足担ぎからバックに回り込んだ王者に、ペティスは一回転してトップを奪い返すとスタンドへ戻る。
 すると、ベン・ヘンが後方に距離を取ろうとした刹那、ペティスは突進してケージを蹴り上げると、そのまま返す刀でジャンピングハイキックを繰り出した。
 この一撃が王者のアゴ先を捉えると、後方に倒れ込んだベン・ヘンは必至の形相で、組みついてテイクダウンを狙うが、マトリックスキックとでもいうべき、MMA史上の例を見ない三角蹴りのインパクトを払拭できないままタイムアップを迎えた。

 ジャッジの裁定は48−47、48−47、49−46でペティスに。ペティスが防衛されることのない最後のWEC世界ライト級王者となり、UFC世界ライト級挑戦権を手に入れた。

完勝のクルーズ、次なる挑戦者にユライアを指名

強さを見せつけた王者クルーズ、次なる挑戦者にユライアを指名 【ZUFFA】

<第10試合 WEC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]○ドミニク・クルーズ(米国)
(Def.5R終了/判定)
[挑戦者]●スコット・ヨルゲンセン(米国)

 まずはオーソドックスの構えをとる王者クルーズは、シングルレッグ、右ハイのフェイントを見せると、サウスポーから左を伸ばしていく。
 さらに、ヨルゲンセンの左へ回りながら、スイッチを繰り返すクルーズは右ストレートをヒットさせると、パンチを放って、そのままスイッチして裏側へと走り抜けるように左右のフックからハイキックを見せる。追いかけても攻撃を仕掛けられないヨルゲンセンだったが、ボディにヒザを受けながら、ようやく組みつき、バックへ回ることに成功した。
 王者は胸を合わせ距離をとると、右アッパーから右ローを蹴り込む。オーソから右ロー、左ストレート。サウスポーから左ストレート、右ミドルと、まさに変幻自在のクルーズは、オーソから左アッパーを見せると、細かいフックを連打する。前蹴りから、右ロー、組まれてなお右ヒザを突き上げる王者に対し、ヨルゲンセンは組みついても押し返されてしまう。右ハイにテイクダウンを合わせると、テイクダウンに成功したヨルゲンセンがバックに回り込むが、前方に振り落され、下になったところで初回が終了した。

 2R、ローを掴んで組みついたクルーズは、距離を取られても落ち着いて左ハイ、左ローを見せる。思うように攻めることができないヨルゲンセンにアッパーを打ち込む王者は、さらに左アッパーから右フック、右ローを放つ。飛び込みながら左フック、距離をとってロー、ヨルゲンセンのパンチはダッキングでかわし、直後にダブルレッグでテイクダウン。クルーズはインサイドからパウンドを落し、勢いのある左右のエルボーを見舞う。
 ケージまで下がり立ち上がろうとした挑戦者の足&腰をコントロールし、さらに左エルボーを落としたクルーズは、ハーフからパウンド、残り1分を切って足を戻されても、バックに回り、立ち上がって自ら距離を取る。さらに、ジャンピングニーを蹴り上げると、2Rも挑戦者を圧倒した。

 3R、右ストレートでフラッシュダウンを奪ったクルーズは、さらにスピードを上げて上下左右から攻撃を仕掛ける。右ハイで動きが止まったヨルゲンセンは、右ローで体が寄れる。呼吸を取り直したクルーズは、下がりながら左を伸ばし、飛び込んでテンカオを見せる。ややペースを落とした王者は、ペースをコントロールしながら、スーパーマンパンチ、ヒザ、さらにローにつなげると、残り90秒を切り、差し上げからテイクダウンに成功する。
 インサイドから右エルボー、さらに左エルボーを見舞うが、ここでヨルゲンセンがスイープに成功したが、一瞬下になったクルーズは、すぐに立ち上がり、攻撃は受けないまま3Rを終える。

 4R、いきなり右ストレートを打ち込んだクルーズは、ヨルゲンセンが前に出てくるところでテイクダウン。クルーズは時間を掛けて、ケージ際まで移動しパンチを顔面に連続で見舞っていく。立ちあがったヨルゲンセンのバックを取りながら、初めて距離を取られたクルーズ。口をあけ、ややスタミナをロスしているようだ。
 左ローを蹴り込んだ王者に、挑戦者はハイを返す。再び差し上げテイクダウンに成功したクルーズはパスにいくが、ヨルゲンセンがシングルへ。立ち上がった両者。クルーズがテンカオからパンチにつなげるが、空振りの数も増えてきた。ならあと、ダブルレッグでグラウンド戦に移行した王者は、エルボーを連打し、試合は最終ラウンドへ。

 最終回、あと5分でUF世界バンタム級王者となるドミニク・クルーズは、右ストレートから左ハイを蹴り上げる。序盤の2Rのようなスピードと手数を取り戻した王者は、ヨルゲンセンのパンチをスウェイ&ダッキングでかわし、左ハイから左右のフックをヒットさせる。
 ヨルゲンセンが下がると、左ミドルを見せ、前に出てくると右フックで待ち受けた王者は、攻防の最後でローを叩きこむ。ここでヨルゲンセンが組みつき、ついにテイクダウンするが、王者が苦も無く立ち上がる。残り2分、仕上げのテイクダウンを奪ったヨルゲンセンは、ブーイングを受けながらエルボーを落とす。
 立ち上がることができないヨルゲンセンだったが、残り20秒で王者は自ら立ち上がり、最後は打撃戦で5Rの戦いを締めた。ジャッジ3人が50−45のポイントをつけると、ブルース・バッファーから「ファースト・エバーUFC世界バンタム級チャンピオン」とコールをされたクルーズ。その腰にUFCのベルトを巻き、そして右肩にはWECのベルトを掛け、次なる挑戦者にはユライア・フェイバーを指名した。

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