“1強”ローズキングダム奪冠の時、来たる=菊花賞展望

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王座奪還、一族悲願のクラシック制覇へローズキングダムが淀三千を駆ける! 【スポーツナビ】

 JRA3歳クラシック三冠レースの最終戦・第71回GI菊花賞が24日、京都競馬場3000メートル芝で開催される。
 『最も強い馬が勝つ』とも言われている淀の3歳長距離決戦に今年もフルゲート18頭がエントリー。しかしながら、春の第一冠・GI皐月賞を快勝したヴィクトワールピサはGI凱旋門賞出走のため回避、また、史上最高メンバーとうたわれた今年のGI日本ダービーを勝ったエイシンフラッシュも、最終追い切り後に歩様の乱れがあり無念の回避となった。

 春の二冠を分け合った2頭の不在により、空前の盛り上がりを展開したダービーと比べてやや寂しい顔ぶれとなったことは否めない。が、だからこそ、“あの馬”にかかる期待はより大きくなった。
 その馬とは昨年の2歳王者・ローズキングダム。競馬の祭典ダービーではエイシンフラッシュと一騎打ちの末にクビ差2着に惜敗したものの、厳しい夏を越した4カ月後の秋初戦・GII神戸新聞杯では、お返しとばかりに同じクビ差でライバルを振り切ってみせた。このレースで3着以下につけた着差は、決定的な3馬身。明らかに力は抜けており、淀三千の菊花賞でも能力を出し切れば王座奪回の可能性は高いだろう。

 もちろん、他陣営も指をくわえて“独走”を許すはずはない。GI皐月賞2着のヒルノダムール、GII京都新聞杯勝ち馬でダービー4着馬ゲシュタルトら春の2番手グループが、逆転王座へ虎視眈々。
 一方で、東のトライアル・GIIセントライト記念を後方一気の豪快末脚で勝ったクォークスター、夏の北海道で古馬相手に長距離レースを連勝したトウカイメロディら、未知の魅力をもった新興勢力も続々と名乗りを挙げてきた。

 健やかな強さを見せた三冠牝馬誕生の秋華賞から1週間――次なる淀の3歳王者決定戦は、下馬評どおりローズキングダムが王座返り咲きの快走を見せるのか、それとも新たなチャンピオンが頂点に立つのか。発走は24日15時40分。

一族悲願Vへ、人馬ともに万全だ

状態は文句なし! 最高潮でいざゲートイン 【スポーツナビ】

 一族悲願のクラシック制覇へ、大きなチャンスがやってきた。
 曾祖母ローザネイから脈々と流れる名家の血。バラの名を持つ一族たちは、日本の競馬シーンを大きくわかせてきた。ただし、GIビッグタイトルにはなかなか手が届かず、トップ戦線では常に2番手扱い。そんな停滞を打破し、一族に初のGIビッグタイトルをもたらしたのが、ローズキングダムだった。

 しかしながら、ローズキングダムが手にしたタイトルは2歳王者決定戦の朝日杯FS。競馬界においてGI中のGIと目される伝統の3歳クラシックは、皐月賞4着、日本ダービー2着。母ローズバドをはじめとした同族の先輩同様、あと一歩のところで逃してきた。
 『王国』の名を冠せられるほど、その素質を見込まれた若きバラの王子。無冠で終わるわけにはいかないだろう。

 無敗のまま2歳王者に就任した昨年冬から一転、今年春は未勝利と苦戦を強いられたが、その要因の1つでもあった馬体減は今夏のリフレッシュ放牧効果で一気に解消された。
 前走の秋初戦・GII神戸新聞杯。見た目に大きく変わった印象はなかったものの、プラス22キロ。太目を感じさせずにこの数字なのだから、いかに心身ともに充実してひと夏を越したかということが分かる。
 レースも真っ向からダービー馬エイシンフラッシュを負かし、3着以下には3馬身の決定的な着差。やはり同世代では能力が抜けている。その上、最大のライバルである皐月賞馬ヴィクトワールピサ、エイシンフラッシュはともに不在。“そして1強”となってしまった相手関係から見ても、三冠レース中で最大の勝機が訪れたわけだ。

 前走後もこの中間は順調に乗り込まれ、21日の坂路最終追い切りは武豊が騎乗し、ラスト1F12秒2の切れ味。理想どおりの上昇カーブを描きながら、本番は最高潮でゲートインできるだろう。
 また話題を人に移せば、同馬を管理する橋口弘次郎調教師は1996年ダンスインザダーク、2003年ザッツザプレンティで菊花賞V。そのダンスインザダーク、ザッツザプレンティを手がけた池平勉厩務員は、このローズキングダムの担当厩務員でもある。
 そして、レースで手綱を握る武豊は1988年スーパークリーク、96年ダンスインザダーク、2000年エアシャカール、05年ディープインパクトで史上最多4勝をマーク。まさしく“菊花賞の勝ち方”を知っている最高のチームで、2010年の菊を獲りに行く。

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