スピード出世――世界記録は「3戦」で戴冠 新鋭・井岡、辰吉らの持つ日本記録更新か
シュメノフ(左)は10戦目でWBAライト・ヘビー級王座を獲得した 【(C)NAOKI FUKUDA】
わずか8カ月で世界王者に
現役選手の中では、シュメノフ(左)がスピード出世の代表的存在 【(C)NAOKI FUKUDA】
このセンサクこそがプロ3戦目で世界王座獲得という離れ業を成し遂げた怪物である。センサクはムエタイ(キックボクシング)で59勝(55KO)9敗の戦績を残し、24歳で国際式ボクシングに転向。初陣でいきなり世界ランカーに1回KO勝ちを収めると、2戦目では2度の世界挑戦経験を持つ日本のライオン古山にも7回TKO勝ち。そして3戦目で世界王者に8回TKO勝ち、堂々の戴冠を果たしたのである。世界一になるまでに要した年月は8カ月、ラウンド数は3試合で計16ラウンド。ただただ驚くしかない。しかも、このあと通算8度の防衛を収め、しっかりと実力を証明してもいる。
タイ人がスピード出世記録を次々更新
タイ人を筆頭に次々と王座獲得の最短記録が塗り替えられている 【(C)NAOKI FUKUDA】
ムエタイが下地になっているタイではこの他、ライト・フライ級のムアンチャイ・キティカセムが7戦目、フライ級のソット・チタラダが8戦目、スーパー・フライ級のパヤオ・プーンタラットとミニマム級のナパ・キャットワンチャイが9戦目で世界王座を獲得している。
また、現役ではWBAライト・ヘビー級王者ベイブト・シュメノフ(カザフスタン)が10戦目で王座獲得を果たしており、スピード出世のトップの座をキープ。WBAスーパー・フェザー級王者の内山高志(ワタナベ)が14戦目で2位、そしてWBAフェザー級王者ユリオルキス・ガンボア(キューバ/米国)が15戦目で続いている。
「記録は破られるためにある」というが、はたしてセンサクの3戦を上回る2戦目、あるいはデビュー戦で戴冠を果たす選手が、いつの日か出現するのだろうか。
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Written by ボクシングライター原功
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