NBAスーパースター、レブロン・ジェームズの行方
キャバリアーズでのシーズン
だが公式戦でリーグ最多勝率を残し、レイカーズとともに今季の優勝候補の筆頭に挙げられていたキャバリアーズの姿はない。リーグの若手スーパースター、レブロン・ジェームズ率いるキャバリアーズは、東カンファレンス準決勝でセルティックスに敗れたのだ。
セルティックスは一昨季の王者。だが、大黒柱の一人、ケビン・ガーネットが優勝を境に故障で戦力を落とすなど、圧倒的な強さでリーグを制した2年前ほどの勢いを失っている。
それにもかかわらず、キャバリアーズはセルティックスの前に屈した。ガーネットが前述の評価を覆す本領を発揮したことも、セルティックスが有利な展開に持ち込む大きな要因になった。
だがジェームズの「らしくない」プレーが、キャバリアーズの敗戦につながったことは確か。
1試合平均29.7得点、8.6アシスト、7.3リバウンドで今季2年連続となる最優秀選手(MVP)に輝いたジェームズ。第1ラウンドのブルズ戦では1試合平均31.8得点、8.2アシスト、9.2リバウンドでさすがのプレーを見せた。
しかしその間に前から痛めていた右ひじの故障が悪化。2勝2敗で迎えた対セルティックスの第5戦で、フィールドゴール14本中3本しか決められず、15得点に終わったのを見ると、その影響が出たことを認めずにはいられなかった。そして、もうあとのなくなった第6戦では、27得点、19リバウンド、10アシストとプレーオフ自己6度目の“トリプル・ダブル”をマークしたものの9ターンオーバーを犯し、キャバリアーズのシーズンを終わらせてしまった。
勝つための選択
第6戦の試合後、セルティックスのガーネットがジェームズに声を掛ける。「前を見続けろ。おれもずっとお前と同じ立場だった」
ガーネットはセルティックスに移籍するまでの12シーズンをティンバーウルブズでプレーした。チームはガーネットを中心に何度も選手を入れ替え、優勝できるチームづくりを目指したが、その夢は最後までかなうことがなかった。そしてガーネットはセルティックスに移籍した2007−08シーズン、ついに優勝を手に入れたのだ。
ジェームズはこのオフ、フリーエージェントになる権利がある。ジェームズ自身、同権利を行使するか否かについて「自分は勝つことしか考えていない」と語っており、ガーネットは「お前には明るい未来が待っている。努力し続け、自分と家族にとってベストな決断をしろ」とジェームズに伝えたという。
この夏、ジェームズの行方が落ちつくまで、彼にまつわる報道は絶えることがないだろう。
だが、どんな決断しろ、ジェームズがリーグ制覇だけを見つめている姿に変わりはないはずだ。
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