石川遼、2年連続賞金王への課題は?=15日、国内男子ゴルフ開幕

小川勝

15日、国内男子ゴルフツアーが開幕! 石川遼、2年連続賞金王への課題とは 【Photo:YUTAKA/アフロスポーツ】

 2010年の国内男子プロゴルフツアーが15日、東建ホームメイトカップ(三重県、東建多度カントリークラブ・名古屋)で開幕する。昨年、史上最年少で賞金王となった石川遼(18)と、惜しくも2位に終わった池田勇太(24)は、今年も激しく、日本のトップの座を争うことは間違いないだろう。
ともにマスターズを終えてすぐに、国内の今季初戦に臨む形だが、今季の活躍を占う上で、ヒントになる2人の特徴と課題が、マスターズのプレーにおいて垣間見えた。それを詳しく分析しながら、2人の現状と可能性を考えてみたい。

 石川が賞金王を獲得したことで、もはや日本男子ゴルフの第一人者は石川で、池田は二番手の存在というイメージがあるかもしれない。だが、そうは言い切れない。タイトルを取った石川に実力があることは確かだが、現時点でのゴルファーとしての技術力を総合的に見ていくと、やはり年上の池田に一日の長があると言わざるを得ない。まずはその点から見ていこう。

石川の“壁”は「パー3」

マスターズは、1打差で予選落ちとなった石川。国内開幕戦で悔しさを晴らす!? 【写真は共同】

 ゴルファーの技術力は、実に多くの側面から成り立っている。どれだけ飛距離が出るか。どれだけ真っすぐ打てるか。バンカーやラフから打つテクニックはどうか。芝を読むセンスはどうか。パットの安定性はどうか。数え上げれば切りがない。

 こうしたさまざまな側面を総合的に判断する一つの方法として、パー3、パー4、パー5という3種類のホール別に、その累計スコアを計算して、そのゴルファーがどの長さのホールを得意にしているか、探る方法がある。
 これを計算してみると、石川は、パー3のショートホールに大きな課題を残していることが分かる。09年に出場した日本ツアー22試合で、スコア(バーディーなら−1、パーなら0、ボギーなら+1)を累計してみると、以下のようになる。

 パー3 +15 (28位)
 パー4 −4  (3位)
 パー5 −132(2位)

 カッコ内の数字は、日本ツアー出場選手中の順位だ。パー4とパー5では一流ゴルファーだったが、パー3では普通のゴルファーというのが昨年の石川だったのである。
これに対し、池田は次のような成績だった。

 パー3 +11 (16位)
 パー4 +1  (4位)
 パー5 −106(6位)

 3種類のホールで、石川ほど、大きな違いがないのである。

石川と池田、マスターズの結果を分けたポイント

昨年の賞金ランキング2位に入った池田。今季のマスターズでも、日本人唯一の本戦進出を果たし、調子は上々だ 【写真は共同】

 この傾向が、今年のマスターズでもやはり出た。予選の2日間のスコアを累計すると、次のようになる。

<石川>
 パー3 0バーディー、2ボギー(+2)
 パー4 2バーディー、9ボギー(+7)
 パー5 5バーディー、0ボギー(−5)
 合計4オーバーで予選落ち

<池田>
 パー3 2バーディー、0ボギー(−2)
 パー4 2バーディー、4ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギー(+7)
 パー5 3バーディー、1ボギー(−2)
 合計3オーバーで予選通過。

 マスターズのパー4は極端に難しいため、2人とも累計+7だった。パー5では2人ともアンダーパー。明暗が分かれたのは、パー3だ。池田の−2に対して、石川は+2。予選の2日間でプレーした、延べ八つのパー3ホールをどのように克服したか。これが池田と石川の差だった、と言っていいだろう。池田の追い上げを上回って、石川が2年連続賞金王になるには、パー3ホールの向上が必要になるはずだ。

 池田が昨年、約2496万円の差で賞金ランク2位に終わった最大の理由は、右手首と腰の痛みだった。10月から痛みが出て、シーズン終盤の4試合は45位、46位、19位、23位と大失速。検査をしても原因のはっきりしない痛みで、冬にしっかり休みを取ったことで回復したという。
 つまり池田の課題は、何よりもまず体調の維持だ。それができれば、初の賞金王はもちろん、昨年の石川(約1億8352万円)を上回る年間2億円の突破も現実的な目標になってくるだろう。

<了>
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著者プロフィール

1959年、東京生まれ。青山学院大学理工学部卒。82年、スポーツニッポン新聞社に入社。アマ野球、プロ野球、北米4大スポーツ、長野五輪などを担当。01年5月に独立してスポーツライターに。著書に「幻の東京カッブス」(毎日新聞社)、「イチローは『天才』ではない」(角川書店)、「10秒の壁」(集英社)など。

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