男子テニスのデビス杯が開幕 いざオーストラリアへ

テニスマガジン

デ杯の1回戦では、フィリピンと対戦した日本チーム。シングルスでフィリピンのマミートに勝利した添田=大阪なみはやドームサブアリーナ 【写真は共同】

 3月5日に開幕した男子テニスの国別対抗戦で、デビスカップ(デ杯)の1回戦で日本は、フィリピンに5−0と快勝、白星発進した。
 5月7日から行われる2回戦では、1回戦を全勝したオーストラリアと対戦することが決まった。アウエーとなるオーストラリアでの戦いは、苦戦を強いられること必至。日本チームは、どのような布陣で今大会に挑むのか。

戸惑いの序盤から

 3時間18分にわたった5セットマッチを制して伊藤竜馬(ミキプルーン)がほえた。団体戦の流れを決める初日の第1試合にフィリピンが投じたトレト・コンラッド・ユーイは、とんだ食わせ者だった。ダブルスこそ世界142位ながら、シングルスは701位。しかし、速く鋭いサービス、軽やかなフットワークとトリッキーなプレーに、日本のナンバーワンは戸惑った。過緊張の中で迎えたファーストセットは、一気に0−5まで引き離されてダウン。互いに譲らないまま突入したファイナルセットの第4ゲームでは5つのブレークポイント中4つをサービスエースでジュースに戻されブレーク失敗。第9ゲームでは40−15からジュースに追いつかれるなど、いつ気持ちが切れてもおかしくない試合をものにした。

 これで流れをつかんだ日本は続く添田豪(ミキプルーン)が、序盤から精力的に攻めるセシル・マミットを相手にセットダウン。第2セットも先にブレークを許す展開となったが、相手の失速とともにゲームの主導権を握った。竹内映二代表監督が「何も指示することがなく、(添田)豪のキャリアの中でもベストの試合の一つ」と手放しで称えるプレーで、2回戦進出に王手をかけた。

 翌日のダブルスは、鈴木貴男(フリー)とペアを組むことになっていた近藤大生(アイシン精機)の体調不良により、松井俊英(ソニー)が4年ぶりにデ杯のメンバーに。気合いがほとばしりすぎた序盤こそ、動きが硬く、フィリピン・ペアの集中砲火を浴びていたが、鈴木のリードにうながされるように持ち味のサービスとパワーショットで応戦した。後がないフィリピンが、前日のシングルス2人、ユーイとマミットを投じたことも追い風となり、疲れで動きが悪くなった2人をストレートで下した。消化試合の最終日を含め、日本は5戦全勝。5月7日から行われるオーストラリアとの2回戦に進出した。

ダブルスはどうなる?

「オーストラリアとはとてもタフな試合になると予想される。岩渕(聡)が引退したことで、なおさら、ダブルスのスペシャリストが必要となった」
 シングルスの選手に負担をかけないためにも、竹内監督はダブルスの強化に重きを置いている。では、どんなペアがオーストラリアと戦うのか。
 経験と実力の両方で鈴木は当確だろう。チームの精神的支柱となっており、昨年のウズベキスタン戦のように、体調不良の選手に代わってシングルスにスクランブル出場できるユーティリティーぶりからも、メンバーとして欠かせない。問題は鈴木と誰が組むのかだ。

 当初は、フィリピン戦のダブルスで近藤をデ杯デビューさせて、雰囲気を体感させるはずだったが、実現しなかった。アウエーで難敵相手に初陣を切るのは現実味が乏しい。有力なのは松井だが、相手ペアに翻弄(ほんろう)されていたのも事実。メンバー入りを強くはアピールできなかった。シングルスの代表からこぼれた選手が、ダブルスに回る可能性がある。

 そのシングルスは、まだ右ひじのケガから復帰したばかりの錦織圭(ソニー)を5セットマッチに使う可能性は低い。世界ランキングでは日本人2位ながらも、デ杯歴6年の添田を主軸に、もう1つの席を同じ21歳の伊藤と杉田祐一(三菱電機)が争う。
「(シングルスを)鈴木、添田で行けば強力だが、伊藤や杉田を育てないと(ゆくゆくは)添田に負担がかかる。デ杯のポストを争うことで、知らないうちに世界に通用するプレーヤーになっていると思う。それくらい、ライバルというのは大切な存在」と竹内監督。初めて5セットを戦い、「グランドスラムの本戦でも戦える自信になった」という伊藤がリードした感はあったが、翌週の京都チャレンジャーを杉田が制し、フィリピン戦のメンバーから外れた悔しさを晴らした。切磋琢磨(せっさたくま)が二人を、そして日本チームを底上げする。

 <了>

※ランキングは、2月22日時点のもの。

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著者プロフィール

1970年創刊の最も長い歴史を誇るテニス専門誌。国内トップクラスのコーチ陣が解説する技術特集は、上級者からビギナーまで全てのプレーヤーにとって、上達のヒントが散りばめられている。グランドスラム4大会をはじめ、試合報道が充実しているのも特徴。

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