元幕下・浜が史上最短で三冠王座獲得=全日本プロレス
因縁にケリ! 船木大流血も、みのるにKO勝ち
デビューからわずか1年4カ月の史上最短記録で三冠王座に輝いた浜
デビューからわずか1年4カ月の史上最短記録で三冠王座に輝いた浜【前島康人】

 21日の全日本プロレス「2010プロレスLOVE in 両国 vol.9」東京・両国国技館では、2大タイトル戦や因縁の金網マッチなどが行われ、看板選手であり社長である武藤敬司がヒザの手術によって欠場したにもかかわらず、8200人を動員した。

メーンイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、元大相撲東幕下六枚目の浜亮太が小島聡を破り新王者に君臨。史上最短となるデビュー1年4か月で三冠初挑戦&初戴冠を果たした。

チャンピオンの責任「自分の体重より重い」

浜は203キロの巨体をいかした攻撃で先輩・小島に勝利。
浜は203キロの巨体をいかした攻撃で先輩・小島に勝利。【前島康人】

 浜は15歳で大相撲の八角部屋に入門し、最高で東幕下六枚目まで昇進するも、13年間の相撲生活に別れを告げて全日本入りし、08年11.3両国大会でデビュー。そのわずか10ヵ月後に大相撲の大先輩である元横綱の曙のユニットsmopでアジアタッグ王座を戴冠した。

 怒涛(どとう)の快進撃はその後も止まらず、今年1月にはタッグマッチながら三冠王者の小島からピンフォールを奪取。2月には武藤からも勝利を奪い、自ら三冠王座挑戦に名乗りを上げた。

「三冠前哨戦」となった3.7後楽園大会でも、小島&西村修組の挑戦を退けてアジアタッグ王座V3に成功。この破竹の勢いが両国の地でついに大爆発した。


 浜は176センチ、203キロの巨体を武器に小島をパワーで圧倒。胴にも手が回らず、タックルでも倒せない相手に苦戦する小島は、浜の巨体を支える左足に狙いを定め、低空ラリアットやストンピングなどでヒザ攻めに出ると、ローリングエルボー、コジコジカッターといった技で攻め立て、15分過ぎには右腕のエルボーパットを投げ捨てての渾身のラリアットもクリーンヒットさせるが、浜はカウント2ではね返すと直後にネックブリーカーで反撃し、ボディープレスで圧殺。さらには現在ヒザの手術で欠場中の武藤敬司社長を彷彿とさせるLOVEポーズからのシャイニングウィザードを披露し、なおもラリアットで迫る小島の猛攻を振り切って、この日2発目となるリョウタハマーで3カウントを奪い取った。


 13年間通い続けた思い出の場所の中心に立ち、3本のベルトを肩に担いだ浜は、「お世話になった先輩」である小島から握手を求められ、リング上で男泣き。それでも王者としての責任を果たすべくマイクを握ると、「これからも全日本プロレスとsmopのことを根強く、末永く、よろしくお願いします」とファンに深々と感謝した。

 試合後、バックステージで諏訪魔たちから祝福の乾杯を受けた浜は、かつてベイダーや橋本真也さんですら腰に巻けたベルトが自分では届かないことに苦笑しながらも、3本のベルトを肩にかけると、「実感がわかない。夢のよう」と、まだ夢心地の様子。それでも、「チャンピオンになれたので、人間的にも成長できるように頑張りたい」と新王者としての抱負を語ると、チャンピオンとしての責任について「自分の体重よりも重いと思う」と改めてベルトの重圧をかみしめ、「メンタル面があまり強くないんで、今後は精神面を強化していきたい」とさっそく新たな目標を課した。

カズがKAIを下しV9に成功

カズがKAIをくだし、9度目の防衛に成功
カズがKAIをくだし、9度目の防衛に成功【前島康人】

 セミファイナルでは世界ジュニア・ヘビー級王者カズ・ハヤシがKAIを退けてV9に成功。次期防衛戦の相手にはBUSHIを指名した。

カズは昨年2月にプロレスリング・ノアの丸藤正道から王座を奪取して以来、数々の強豪を退け、1年以上に渡って8度の防衛に成功。もはや敵なしとなっていたところへ名乗りを上げたのが24歳の新鋭KAIだった。


 F4が解散し、失うものは何もないKAIは、ゴング直後に勢いのあるトペ・スイシーダを放つと、さらに鉄柵の向こう側にある本部席の机にカズを寝かせての鉄柵越えフットスタンプ、ファルコンアロー、さらにはスカイツイスタープレスや必殺技のスプラッシュ・プランチャなどで攻め込むが、カズはスプラッシュ・プランチャをヒザ剣山でブロック。ダメージを最小限に抑えると、ドラゴンスープレックス、顔面ドラースキック、アックドロップ、顔面キックからのパワープラントで勝利を収めた。

試合後、マイクを握ったカズはリング上からV10戦の相手にBUSHIを指名。KAIを「最強のチャレンジャー」と認めた上で、再びKAIが挑戦するその時までベルトを守り続けると宣言し、「これからもこのベルトと共に、プロレスラーとして、人間として成長していく」と長期防衛を誓った。

船木「また試合が組まれたら、今度は新たな気持ちで」

みのるの攻撃に大流血も、船木はKO勝ちで一騎打ちに決着をつけた
みのるの攻撃に大流血も、船木はKO勝ちで一騎打ちに決着をつけた【前島康人】

 船木誠勝と鈴木みのるは全日本史上初の金網マッチによる完全決着ルールで激突。感情ムキ出しでぶつかり合った末、船木があびせ蹴りからの張り手連打でKO勝ちを収めた。

 両者はかつて新日本プロレス、UWF、藤原組、パンクラスと同じ道を歩んできたが、約5年前に絶縁。船木が昨年8.30両国大会で約20年ぶりのプロレス復帰を果たした際も、みのるは拒絶反応を示していた。

 昨年9.26横浜で行われた約15年ぶり3度目となる一騎打ちでは、みのるが暴走した末、船木の反則勝ちという結果に終わったが、その後もみのるは執拗に挑発を続け、逃げ場のない金網マッチでの決着戦を要求。船木もこれを飲むと、みのるが提示した完全決着ルールも受けて立った。


 初披露となる第4弾バージョンの「風になれ」で入場したみのるは、その気合を見せ付けるかのように、船木の顔面を金網に打ち付けると、ロープと金網の間に挟まれた形となった船木を体ごと何度も金網に打ちつけ、顔面から流血させる。さらにゴッチ式パイルドライバー、スリーパー、腕ひしぎ逆十字固めなどで攻めまくるが、などに苦しめられながらも勝利をもぎ取った。

 これで対みのるとのシングル4連勝となった船木は、船木はみのるの首をつかんでスリーパーを振りほどき、ジャンピングハイキックをさく裂。さらに浴びせ蹴りでみのるの追撃を振り切ると、張り手連打でKOした。


 昨年8月にこの地でプロレス復帰を果たしてから半年。1年契約の折り返し地点となるタイミングで迎えたこの一戦を「乗り越えなければいけない課題だった」と位置づけていた船木は「これでやっと次に進める」と、みのるとの遺恨にひと段落がついたことを強調。試合中、「過去のアイツとの戦いがよみがえってきた」と、20年以上に渡る因縁をすべてこの一戦で洗い流し、かつての後輩への思いを「体で教えることができたと思う」と実感した上で、「次にまた試合が組まれたら、今度は新たな気持ちで思い切りぶつかり合いたい」と、過去ではなく、未来に向かってまい進していくことを誓った。

西村が「夢を叶えるため」休養宣言

「夢をかなえるため」と西村が突然の休養宣言
「夢をかなえるため」と西村が突然の休養宣言【神谷繁美】

 来年4月にデビュー20年を迎える西村修がリング上から休業宣言を行った。西村は91年に新日本プロレスでデビューしたが、98年にガンを患い一時休養。06年には新日本を退団して無我ワールド・プロレスリングの旗揚げに参加したものの、翌年10月に全日本に電撃移籍を果たした。

 この日は第5試合の6人タッグマッチに出陣。ブードゥー・マーダーズの新戦力ビッグ・ダディ・ブードゥの圧倒的なパワーにチームが敗れると、1人リングに残り、マイクを握った。


「本日は皆様にお伝えしなければならないことがあります」という語り出しとは裏腹に、いつも通りの長い自己紹介で本題が分からなくなりそうになる中、ようやく西村は「長年目指してきた夢を実現するため、しばらくリングから遠ざかる決意をした」と、この日を最後にしばらくプロレスを休業することを宣言。その「夢」の具体的な内容については「尊敬する先生に相談しているため、今はイエスかノーかを待っている状況」としか語らず、詳細については23日に行われる会見で明らかにする模様だが、「必ずやこのリングに帰ってくることを約束いたします」と、あくまで引退ではなく、夢をかなえた上で復帰することを誓った。

河野が元三冠王者の諏訪魔に大逆転勝利

新世代対決は河野(右)に軍配。諏訪魔に大逆転勝利で意地を見せつけた
新世代対決は河野(右)に軍配。諏訪魔に大逆転勝利で意地を見せつけた【前島康人】

 諏訪魔vs.河野真幸の新世代対決は、元三冠ヘビー級王者の諏訪魔に河野が大逆転勝利を果たした。

 諏訪魔と河野は昨年末の「世界最強タッグ決定リーグ戦」でタッグを結成。決勝まで進出したが、あと一歩のところで武藤敬司&船木誠勝の同期タッグに河野が惜敗。世代交代をアピールすることができなかった。

 恵まれた体格を持ちながら、なかなか結果を残せない河野に苛立ちを感じていた諏訪魔は「河野の本気を引き出す」と一騎打ちを要求した。


 試合開始こそ諏訪魔の強さばかりが一方的に目立ち、まるで新人vs.トップレスラーのチャレンジマッチかのような試合展開となったが、諏訪魔のラリアット、ジャーマンスープレックスといった猛攻を耐え、必殺技であるラストライドを完封した河野が怒涛の反撃を開始。ジャンピングニー、顔面やボディーへのヒザ蹴りなど、徹底的にヒザにこだわり抜いた上で、ジャイアントニー(ダイビングダブルニードロップ)で3カウントを奪取。途中ブランクがあったとはいえ、先に全日本に入門した“先輩”の意地を見せ付けた。

高木裕美

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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