中邑が“帝王”高山を破りIWGP王座V4に成功=新日本プロレス
中邑が“帝王”高山を再び破り、4度目のIWGP王座防衛に成功 【前島康人】
今年は月曜日開催のため仕事初めと重なったにもかかわらず、日曜開催だった昨年以上の動員となったことに、菅林直樹社長は「この好調さを今後の後楽園、両国につなげたい」と語り、地方でのビッグマッチとなる大阪、福岡大会でも、「昨年同様、出し惜しみのない豪華カードで好調な波をキープしたい」と新年のビジョンを語った。
中邑が高山とのヒザ蹴り対決に激勝
魂のボマイェ3連弾! 中邑(右)が未来へとまた一つ、歩を進めた 【前島康人】
両者はこれまで3度に渡りシングルで対戦。初対決となった03年6.13日本武道館大会では、デビュー10カ月でNWF王座に挑んだ中邑が11分49秒、高角度ジャーマンに轟沈。2度目の対戦となった03年8.12静岡でのG1公式戦でも7分8秒、高山がヒザ蹴りで圧勝しているが、最後の対戦となった6年前の04年1.4東京ドーム大会では、前年末にIWGPヘビー級王座を獲得し、最年少王者となった中邑がNWF王者・高山との王座統一戦を13分55秒、チキンウイングアームロックで制し、初勝利を挙げると共に2冠統一を果たしている。
これまでのプロレス人生の大きな節目で高山と対戦し、そのファイトスタイルや生き様に大きな刺激を受けてきたという中邑は、昨年の夏の「G1クライマックス」から新必殺技となるヒザ蹴りの「ボマイェ」を習得。この技を武器にIWGP王座を取り戻し、再び新日本の頂点に上り詰めた。
6年前ぶり4度目となる一騎打ちでは、互いの得意技であるヒザ蹴りが随所で爆発。高山が串刺し式にヒザ蹴り、ニーリフト、コーナーに逆さ吊りにしてのヒザ蹴りを繰り出せば、中邑もダウンした高山のワキ腹めがけて低空のヒザ蹴りを連発する。10分過ぎには高山のエベレストジャーマンも飛び出すが、中邑はカウント2でクリア。ヒザ蹴りとボマイェの攻防でダブルノックダウンとなった直後にグーパンチで殴り合うなど、互いの持てるすべてを出し尽くした戦いの末に、中邑がボマイェ3発で激勝した。
リスペクトする先輩から大きな1勝をつかんだ中邑は、高山と抱き合い、「今日という日を生ききった」と、満足のいく試合内容と結果を残せた喜びを噛み締めると、「今を生きるしか未来は作れない」と決意表明した。
高山に対しては「6年前より自分が少しでも成長した、強くなったと思いたい」と惜しみない敬意を示す一方で、試合後にリング上から挑戦表明をしてきた中西学については「レスラーは40代で脂が乗ってくるって言ったけど、それまで何やってたんだ」と、キャリア17年、42歳になるまでIWGPのベルトを巻くことができなかった中西のプロレス人生を否定した。
GHC王者・杉浦が後藤を返り討ち
これがGHCの誇り――杉浦が後藤をみたび下し王座を防衛 【前島康人】
セミファイナルで行われたGHCヘビー級選手権試合では、王者・杉浦貴が昨年6月、8月の敗戦のリベンジを狙う後藤洋央紀をみたび返り討ちにし、足首固めで完勝した。
両者は昨年2度シングルで対戦。初対決となった6.20大阪府立体育会館大会は14分42秒、オリンピック予選スラムで、G1公式戦として対戦した8.15両国は13分32秒、雪崩式オリンピック予選スラムで、いずれも杉浦が勝利を収めている。
GHCヘビー級王座には過去に永田裕志(2回)、蝶野正洋、棚橋弘至が挑戦し、いずれも王座奪取に失敗しており、後藤には杉浦個人へのエリベンジ、そして新日本としての威信回復もかけられていたが、どちらも失敗に終わった。
何が何でも負けられない後藤は、杉浦の顔面へ張り手を打ち込み、気迫を見せ付けるが、杉浦のペースを乱すことはできず。10分過ぎには場外へのリバーススタナーで杉浦の首を痛めつけ、ラリアット連発からバックドロップ、昇天とたたみかけるも、杉浦は冷静にピンチを切り抜けると、後藤の昇龍結界をエスケープし、ついにオリンピック予選スラムを炸裂。過去に2度、この技で苦杯をなめている後藤は意地のカウント1で返すも、直後に足首固めでガッチリととらえられ、無念の敗北となった。
12.6日本武道館での初戴冠から1カ月未満で他団体での初防衛戦を敢行した杉浦は「素晴らしい選手だった」と後藤を評価。今後の王座防衛ロードについては「また新日本の選手を迎え撃ってもいい」と、これからも団体問わずに挑戦者を募った上で、ベルトを守り抜く覚悟を示した。
丸藤が史上初のJrグランドスラムを達成
丸藤(左)が“天才”ぶりを存分に発揮、史上初のメジャー3団体ジュニア王座戴冠を達成した 【前島康人】
これまでヘビー級では佐々木健介がシングル、高山がシングル&タッグの完全制覇を果たしているが、ジュニアはこれが初の快挙。丸藤は過去にもノアの5タイトルをすべて獲得しており、04年&昨年のJ−CUP2連覇に続き、またも新たな称号を手に入れた。
新日本&他団体の16選手が参加した昨年のJ−CUPを制した丸藤は「優勝の副賞」として与えられたIWGPジュニアヘビー級王座挑戦権について「挑戦者ではなく、チャンピオン対チャンピオンという気持ちでいく」と語っており、まさにその意気込み通り、ドームという大舞台で会場全体に響くほどの戦いを見せ、ジュニアの天才ぶりを遺憾なく発揮した。
不知火やフロムコーナートゥーコーナーなど、軽快な動きを見せ付けていた丸藤だが、10分過ぎにタイガーの雪崩式タイガードライバーを食らってしまい、さらにはミレニアムスープレックスまで味わうが、必殺技のデストロイスープレックスは阻止。ソバット、トラースキックでタイガーの動きを止めて不知火・改を決めると、かつて2代目タイガーマスクであった師匠・三沢光晴さんのための秘密兵器として開発された秘技タイガー・フロウジョンで4代目虎仮面をマットに沈めた。
かつて少年時代に通っていた地元・埼玉の「スーパータイガージム」で兄弟子であったタイガーを倒し、J−CUPに参加した15人の魂を背負って見事“チャンピオン対決”を制した丸藤は、「表情に出ていないだけでスッゲー嬉しいです」と喜びを語ると、「オレが新日本のジュニアを盛り上げる。新日本に呼んでくれなきゃ選手権はやらない」と、同王座の防衛戦と挑戦者は新日本マット限定とする意向を表明した。
至宝流出を許した新日本・菅林直樹社長は「さっそく次の挑戦者を決めたい」と王座奪回へすぐにも対策を立てることを明かした。