K-1・60キロ級の主役へ石川直生、2010年初戦直前インタビュー
K−1・60キロ級の主役を目指す石川直生が1月4日後楽園で2010年初ファイトに臨む 【t.SAKUMA】
新春一発目のメーンに登場するのは、元全日本キックボクシング連盟スーパー・フェザー級王者の石川直生。現役トップのキックボクサーであると同時に、芸能事務所のオスカープロモーションにも所属しモデル活動も並行している異色のファイターだ。
消滅した全日本キックからKrushへ主戦場を移し、得意のヒジ・首相撲が制限されるK−1ルールにおいても、むしろそれをプラス材料に変え“キックボクサー”としてさらなる進化を遂げている石川。昨年のKrush60キロ級GPでは、1回戦、準々決勝、そして準決勝と劇的なKO勝利を収めながら試合中の負傷により決勝戦へ進めず、目標としてきた大みそかDynamite!!へ出場する夢は叶わなかった。
しかし、気持ち新たに「K−1で60kgと70kgの立場を逆転させる」という2010年のテーマのもと、新年一発目に立つリング。谷川貞治K−1イベントプロデューサーが送り込んできた英国の刺客を満点の内容で撃破し、ナオキックが“K−1・60キロ級の主役”として名乗りを挙げるか。
(インタビュー日:09年12月29日/原稿提供:Krush実行委員会)
判定は見せられない、KO勝ちですよ、やっぱり
昨年11月のKrush60キロ級GP準決勝でナオキックが見せた鮮烈KOシーン、その再現を狙う 【t.SAKUMA】
データのない相手とやるのって、今回が初めてなんですよね。でも、そこは気にしないで闘おう、と。そう思ってたら、最近になってYouTubeに映像があるのを教えてもらったんですよ。3試合あったんですけど、全部タイ人との試合で、KOで勝ってました。どのくらいのレベルのタイ人か分からないけど、デニスが弱い選手じゃないのは間違いないですね。リズムを取りながらフック系のパンチで入ってきて、インファイトで仕留めるスタイルでした。それでいて蹴りもできないわけじゃない。よく言えば(アルトゥール・)キシェンコみたいなタイプですね。狂拳(竹内裕二)みたいな感じもある。契約体重も61kgがギリギリらしいんで、本来は67〜68kgあるでしょうし。
――となると、かなり厄介な相手になりそうですね。しかも、その厄介さをファンが共有しているとは限らないという難しさもあります。
僕もファンとしてプロレスも格闘技も見てきてるんで、お客さんがどんな感覚かは分かりますよ。“石川が、よく分からない相手とやる”っていう。こういう試合で見せるべきなのは、ホームの選手が圧倒的な力で勝つ姿でしょうね。相手が実は厄介だとか、そういうのはこっち側の都合でしかないですから。今回のお客さんは、相手がどうこうじゃなく“石川直生の試合が見たい”と思って来てくれる。そういう人に、判定は見せられないですよね。KO勝ちですよ、やっぱり。
――自分一人の力で試合を作り上げる、という。
小林(聡)さんも、そういう試合をしてきましたからね。テーマがないような試合でも“やっぱり小林は凄い。頼もしい”と思わせてきたじゃないですか。そういう試合を、僕もすればいいんですよね。しかも今回の試合はテーマがあるわけですし。
――デニスはK−1の谷川貞治イベントプロデューサーが送りこんでくる“刺客”です。ここで勝てば、K−1出場も見えてきますね。
会見でも言ったんですけど、今年の僕のテーマはK−1で60kgと70kgの立場を逆転させること。その目標のためにも、スタート地点になる今回の試合で負けられないですよね。
60キロにはこれだけの人材がいる、絶対に盛り上がりますよ
キックボクシング界の60キロ級には、Krushライト級GPを制した“最強”山本真弘など人材豊富だ 【t.SAKUMA】
いや、それはまだ言えないですね。今回の試合に勝たなければ発言権は得られないし、勝つことで見えてくるもの、頭に浮かんでくるプランもあると思いますから。
――当然ですが、まずは今回のデニス戦に勝たなければ何も始まらない、と。
それが大前提ですよね。KOで勝つのがスタートですから。ただ、一つ言えるのは、K−1では60kgという価値観を一から作り直すってことですね。
――今のK−1ライト級の流れに乗る、ということではない?
そうではないですね。僕が最初に『大みそかの舞台に立ちたい』って言った時、闘いたかったのは山本“KID”徳郁選手だったんですよ。でも途中からそういう流れじゃなくなってきた。その後は渡辺一久選手との試合を考えてたんですけど、それは“やりたい”っていうんじゃなく“その相手しかいない”っていう感じだったんですよね。
――現状、K−1ライト級で目立っている選手が渡辺選手だけだ、という。
そうなんですよ。でも、渡辺一久という存在がいても、K−1の60kgはまだ本格的に始まってない状態じゃないですか。だったら別の人間が新しい軸、主役になって、一からジャンルを作っていく必要があると思いますね。渡辺一久みたいなキャラが立ってる選手がいてもK−1の60kgが本格化してないということは、やっぱり正統派というか、強い選手、結果を出せる選手が軸にならなきゃいけないってことだと思います。それプラス、セルフプロデュースができなきゃいけない。のほほんと“仕事”をしてるだけじゃ、物事は動きませんからね。
――試合で魅せて、かつ言葉でも新しい価値観を伝えていくという。
今、それが一番うまくできるのは、僕だろうと思ってますから。僕は“出る杭”でいいんですよ。その僕を叩こうとすることで、60kgが活性化していけばいい。僕という軸があることで、僕の“宿敵”とか“ライバル”として他の四天王(山本真弘、山本元気、前田尚紀)とか狂拳もクローズアップされてくると思うんですよね。これだけの人材がいるんだから、絶対に盛り上がりますよ。
――となると今回のデニス戦は、どこまで“出る杭”になれるか、存在感が試される試合にもなりますね。
その通りですね。それにはまず、倒して勝つことですよね。
俺のキックボクシングの試合を見てくれ!
石川が2010年に魅せる「オレのキックボクシング」――まずはその初戦に注目! 【t.SAKUMA】
ボクシングの練習をしたことが活きてますね。ボクシングといってもパンチの打ち合いじゃなくて、接近戦でのテクニック。首相撲にいくんじゃなく、横に回りこんだりすることが自然にできるようになった。まだ完成形ではないですけど、少なくともルールに縛られてる感じはないです。だから、今の僕はキックルールでも前より強くなってると思うんですよ。
――闘いの幅が広がったというか。
そうです。つかんでも闘えるし、つかまなくてもいける。前よりも面白いキックボクシングの試合を見せられると思いますね。だからこそ、K−1で目立って、その上で『俺のキックボクシングの試合を見てくれ!』って言いたいんですよ。
――あくまでも“本分”はキックボクシングだと。
そこはまったくブレてないです。K−1に出ても、僕は“K−1ファイター”になりたいわけじゃない。あくまで僕は“全日本キックのキックボクサー”なんです。全日本キックという団体はもうないですけど、僕にはその意識がある。ホームリングは後楽園ホールだし、(Krushを主催する)グッドルーザーの大会。後楽園で、グッドルーザーの興行でキックボクシングの試合を見せたいんです。
――前例はないですけど、だからこそ……。
やりがいがありますね。ただ、今は先のことばかり考えてられないですからね。まずは今回の試合でお客さんを満足させます。そこからがスタートなんですよね、本当に。それに、実は僕、1月4日の試合って負けたことがないんですよ。引き分けが一回あるだけで。毎年、1月4日の大会が終わって新年を迎える感覚なんで、2010年も景気のいい始まり方にしたいですね」
タイトル/全日本スーパー・フェザー級王者
79.4.18生/東京都出身/30歳/身長176cm/99.1.19デビュー
得意技:飛びヒザ蹴り、ハイキック/戦績:48戦31勝(17KO)13敗4分
[参考記録/石川直生・1月度の全戦績]
99.1.19後楽園 ○判定 高間秀明(小国)※プロデビュー戦/NJKF主催大会
00.1.21後楽園 ◎KO3R 森下知之(月心会)※全日本キック入団第1戦
05.1.4後楽園 ◎KO1R 森山直樹(はまっこムエタイジム)※全日本フェザー級ランキング戦
06.1.4後楽園 ◎TKO1R 前田尚紀(藤原)※全日本スーパー・フェザー級王座決定戦
07.1.4後楽園 △DRAW ワンロップ・ウィラサクレック(タイ)※日本人キラーと引き分ける
08.1.4後楽園 ◎KO3R ファイヤー原田(レグルス池袋)※試練の七番勝負・第一戦
09.1.4後楽園 ◎KO3R スワフワンレック・シービューガーデン(タイ)※ムエタイ現役ランカーを飛びヒザKO
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