ウインターカップを盛り上げた高校生が日本一に挑む!=天皇杯・皇后杯バスケ オールジャパン2010
年上の選手を相手に経験を積んできた福岡第一高
高校推薦枠で出場できるにもかかわらず、九州予選をも制覇した福岡第一高。#6和田直樹(写真中央)のゲームコントロールに期待したい 【(C)JBA】
福岡第一高の井手口孝コーチは、予選に出場した理由についてこう語る。
「インターハイ優勝でウインターカップ出場も決まっており、公式戦が少なかったんです。そこで県やブロックの予選を通じてチームを強化したかった。実際に高校生にとっては、自分たちより年上の選手、チームと対戦することがとてもいい経験になります」
福岡第一高は公式戦以外でも、大学生やトップレベルのチームに胸を借りることがある。「レベルの高い選手でも監督に怒鳴られながら、必死に頑張っている姿を見せたいから」(井手口コーチ)である。
その中で体感していることを選手たちはこう表現する。
「当たりの強さが違います。それに高校生よりも状況判断がよくて、まわりをどう使っているのかがすごく勉強になります」(ポイントガード#6和田直樹)
「高校生より体の使い方がうまくディフェンスも強いので、シュートをいつもより速く打たなければ入らないんです」(シューティングガード#8玉井勇気)
そうした厳しい状況を、なんとか工夫して打開しようとする高校生の姿がオールジャパンで見られるわけだ。緒戦は社会人チームの横河電機(東京)。もしその試合で番狂わせを起こせれば、大谷拓也(大学2年)のいる天理大(奈良)と対戦することになる。
女子には岐阜女子高、桜花学園高などが出場
2008年、オールジャパンで初勝利をあげている岐阜女子高。今年のキャプテン#4中村早希(写真右)はその試合に途中出場して経験を積んだ 【(C)JBA】
「相手が大学生でもやるべきことは変わりませんが、自分たちがやってきたことが正しかったかどうかを見られることで、大学生や実業団と戦う意味を感じます」
それだけに過去のオールジャパン出場は、チームにとって貴重な財産になっている。2006年には学生3位で出場した筑波大(茨城)を相手に12点差(57−69)と善戦。2008年には北海道のクラブチーム・WithSpiritsと戦い、オールジャパン初勝利(100−61)をあげた。その時、1年生ながら試合に途中出場したのが、今年のキャプテン#4中村早希である。
「その大会で先輩から『落ち着いてプレーして』というようなことを言われたのを、まだ覚えています。突っ込んでいこうとするのを先輩に止められたんです」
そうした積極性を大切にしながら試合経験を重ね、年上の選手とも戦えるようになってきたようだ。
「大学生と対戦する時には、パワーや高さに負けず、リバウンドやルーズボールで頑張ること。そしてパスする時にチームメートが強いプレッシャーをかけられているので、いつもよりディフェンスをよく見てプレーするようにしています」
中村を中心に岐阜女子高らしく、ディフェンスを頑張って走るスタイルを思う存分に披露してほしい。余談だが、緒戦の相手である関西外語大(大阪)には、ウインターカップで岐阜女子高が破った相手、精華女子高(福岡)のエース・金原彩姫の姉、金原沙織(4年生)が所属する。そんな人間模様が垣間見えるのもオールジャパンの興味深いところではないだろうか。
ウインターカップで3冠を達成した桜花学園が、早稲田大との戦いに挑む。#4本多真実(写真右)や#15渡嘉敷来夢がチームを引っ張る 【(C)JBA】
「先輩には絶対に勝ちたいです。早稲田大には勝ちにいきます!」
初戦の相手である早稲田大には、桜花学園高のOG丹羽裕美(1年生)が所属する。丹羽と渡嘉敷、両者がマッチアップして火花を散らす可能性が高いのだ。日本女子代表を背負って立つことが期待される逸材、渡嘉敷の高校生活最後の勇姿をぜひ、元日の東京体育館で見て欲しい!
<了>
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