高校生プレーヤーを成長させる「超えたい相手」の存在=高校選抜バスケ ウインターカップ2009 第5日
試合の中でも成長を重ねる伸び盛りの高校生プレーヤーたちは、インターハイからレベルアップした姿をここ1番の舞台でそれぞれ披露した。その中で明暗を分けたのは、明確な「超えたい相手」がいたかどうかかもしれない。
福岡大大濠の執念に呑み込まれた藤枝明誠
藤枝明誠も夏より成長していたが、福岡大附大濠のそれが上回った。写真は藤枝明誠#6藤井祐眞 【(C)JBA】
だが、福岡大附大濠のメンバーも黙っていなかった。「1度負けた相手に2度は負けたくなかった」と#5永野俊輔は言う。インターハイでは劣勢になると雰囲気が暗くなってしまったが、今大会ではメンバー同士が声を掛け合ってビハインドをはね返し、逆転に成功した。藤枝明誠のエース・#6藤井祐眞も「相手の方が気持ちの面で上回っていた」と認めるほどの精神的成長だった。
こうして洛南(京都)との3回戦に続くリベンジに成功した福岡大附大濠は、2006年以来のベスト4となった。しかし、「まだ負けたままのチームがあるうちは復活とは言えない」と永野。その相手とはもちろん、同じ福岡県のライバル・福岡第一だ。両校が対戦するとしたらその舞台は決勝になるが、成長した姿を見せつける場を福岡大附大濠のメンバーは切望している。
大きな存在である先輩を超えられるか
将来が期待される延岡学園#7永吉佑也の高校ラストシーズンは無冠に終わってしまった 【(C)JBA】
明成の佐藤久夫コーチは、「3回戦を勝って卒業生に並んだが、この準々決勝を勝って卒業生を超えないといけない」と選手たちに語りかけたという。明成は2005年の創部以来、出場したインターハイとウインターカップですべてベスト8に入っている。その一方で、決勝進出はまだない。現在は大学で活躍する歴代の卒業生たちの良さを受け継ぎつつ、その先輩たちを超えての“優勝”も視野に入ってきた。
逆に決勝に7度も進みながらまだ優勝はないチームもある。第4シードの北陸(福井)だ。準々決勝は京北(東京)に1点差の辛勝だったが、「最後は気持ちしかなかった」とは北陸#4占部賢人。その「気持ち」には、あと1歩で栄光から見放された卒業生たちの遺していったものも含まれるだろう。OBたちはその悔しさをバネに、日本代表やトップリーグを代表する存在となってみせた。現役メンバーはその歴史を超えて行くべく、明成と同じく“先輩超え”での初優勝を目指す。
このほか、第1シードの福岡第一(福岡)も3ピリオドに一時同点に持ち込まれる薄氷の展開も、そこからの集中力で初出場の東海大相模(神奈川)を凌駕(りょうが)した。福岡第一は2年連続で準優勝という1番悔しさの大きい結果で終わっているだけに、ほかの3チームに劣らない決勝への思いを持って準決勝に臨むだろう。最後は、より強く「これまでの歴史を超えたい」「目の前の相手を超えたい」と思った方に勝利の女神が微笑むシンプルな戦いになるに違いない。
<了>
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