女子決勝はシーズン3度目の2強対決に=高校選抜バスケ ウインターカップ2009 第5日

北村美夏

桜花学園と東京成徳大 互いが望んだ決勝に向けて

 女子準決勝、男子準々決勝が行われた「JOMOウインターカップ2009」の大会5日目。女子決勝のカードは、夏の全国高校総合体育大会(以下インターハイ)、秋の国民体育大会(以下国体)と同じ、桜花学園(愛知)と東京成徳大(東京)というカードとなった。桜花学園としては、インターハイ・国体に続く高校バスケット界3大タイトルの制覇、すなわち3冠がかかる。一方の東京成徳大は、続けて準優勝に終わった悔しさを晴らすべく、今シーズン最後のリベンジのチャンスに燃える。高校女子を引っ張ってきた両チームに、決勝に向けてのチーム状況と予想されるゲームのポイントを聞いた。

先行逃げ切りに持ち込みたい東京成徳大

攻守にわたって貢献した東京成徳大学#6篠原恵。明日は自分より大きい相手とのマッチアップとなる 【(C)JBA】

 東京成徳大は準決勝、1ピリオドこそ山形市立商(山形)の確率のよいシュートに対して後手に回ったが、2ピリオド以降ディフェンスプレッシャーを強め逆転。リバウンドで圧倒して差を広げ、決勝に向けて徐々に調子が上がってきたという印象を残した。一方で一発勝負の決勝で完全燃焼できるかという懸念もあるが、「決勝になれば選手たちも目の色が変わるだろう」と、下坂須美子コーチは選手に信頼を寄せている。

 下坂コーチが決勝のポイントとしてあげたのは、“どちらが先に主導権を握るか”だ。「負けた試合はどれも、昨年のインターハイ以外すべて先行されている。明日の決勝では先行逃げ切りが理想」と話した。そのカギとなるのは司令塔である東京成徳大#4金子実由紀と桜花学園#6岡本彩也花のマッチアップと見る。
 周囲の注目は、桜花学園#15渡嘉敷来夢と東京成徳大#6篠原恵というインサイド対決に集まりがちだが、「渡嘉敷には30点はやられてもしょうがない。それよりもガードの岡本が得点すると相手は勢いに乗るので、抑えたい」(下坂コーチ)というわけだ。

オフェンスリバウンドを警戒する桜花学園

常に2人、3人に囲まれる桜花学園#15渡嘉敷来夢。個人として高校8冠達成なるか 【(C)JBA】

 一方、迎え撃つ桜花学園は、インターハイ準々決勝でも対戦した札幌山の手(北海道)に前半で30点もの差をつけて準決勝を突破した。ただ、第3ピリオドにもう1歩突き放すことができず、井上眞一コーチは「選手たちは身体が重そうだ」と心配していた。

 井上コーチは東京成徳大の下坂コーチとは対照的に、インサイドを決勝のキーにあげた。「相手の篠原のところがうちのウイークポイントになるかもしれない。オフェンスリバウンドを取られるようだと、向こうに流れを持っていかれる」と警戒する。
 夏のインターハイでは、東京成徳大#5山本千夏とマッチアップする選手に「命を懸けても守れ」と指示した井上コーチだが、最終的にはやはり両チームが“2強”と称されるゆえんでもあるハイレベルなインサイドの攻防を制した方が結果を出すと考えているようだ。

 上に名前の挙がった3年生は、いずれも2008年の第19回FIBAアジアU-18女子バスケットボール選手権大会の優勝メンバーだ。それだけに仲が良い。先に決勝進出を決めた東京成徳大の篠原は、準決勝を直前に控えた桜花学園#15渡嘉敷に「頑張ってね」と声を掛けたという。
「高校の公式戦で戦うのは最後だから、決勝は楽しみたい」と渡嘉敷。歴史に残る好ゲームを期待したい。

<了>
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著者プロフィール

 1983年生まれ。バスケットボール男子日本代表を中心に、高校、大学からJBL・WJBL、ストリートや椅子バス、デフバスまで様々なカテゴリーのバスケットボールを取材。中学・高校バスケットボール(白夜書房)などの雑誌、「S−move」「JsportsPRESS」等のウェブ媒体で執筆。2009年末に有志でポータルサイト・「クラッチタイム」創設

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