3冠を目指す桜花学園を阻むチームは現れるか!?=高校バスケ「ウインターカップ2009」女子展望

北村美夏
 バスケットボールの全国高校選抜優勝大会、「JOMOウインターカップ2009」(以下ウインターカップ)が12月23〜29日、東京体育館で行われる。大阪での全国高校総合体育大会(以下インターハイ)、新潟での国民体育大会(以下国体)を経て、決戦の地・東京体育館に各都道府県を代表する男女50チームが集結した。22日には開会式も済ませ、あとは試合開始を待つだけ。ここでは、女子大会の注目校や見どころを、組み合わせブロックごとに見ていこう。

桜花学園、2年ぶりの3冠に向け死角なし

高校バスケ界に旋風を巻き起こした、桜花学園3年の渡嘉敷来夢。最後のウインターカップをどのように締めくくるのか!? 写真は昨年度大会のもの 【(C)JBA】

<対戦カード>
・桜花学園vs.(京都精華女子vs.市立長崎商業)
・(県立高崎商業vs.慶進)vs.(埼玉栄vs.県立岡豊)
・就実vs.(和歌山信愛vs.八雲学園)
・明成vs.(県立那覇vs.県立足羽) 

※左はシード校、右は1回戦の組み合わせ

 第1シードはインターハイ、国体でも優勝を飾った桜花学園(愛知、※国体は同校選手を中心とした選抜チーム)。ベンチ登録15人のうち、昨年度のFIBAアジアU−18選手権で優勝したメンバーが3人、今年度のFIBAアジアU−16選手権で準優勝したメンバーが3人と実力者がずらりとそろう。それでもおごることなく試合中もしっかり声を掛け合う様子は、女王の座に向け死角なしといったところだ。
 だが、チャンスは全てのチームにある。県立足羽(福井)はインターハイ1回戦で土壇場で逆転負けした悔しさをぶつけるべく臨む。また、初出場の埼玉栄(埼玉)や八雲学園(東京)、県立那覇(沖縄)の力は未知数だ。どのチームも厳しい都道府県予選を突破しているが、中でも埼玉栄は気になる存在だ。2年前に中高一貫の中学校で全国制覇を成し遂げたメンバーと監督がおり、その再現を狙う。

頂点へのラストチャンスを狙う東京成徳大

東京成徳大学の篠原恵。高校生活最後の今大会に全てをぶつける。写真は昨年度大会のもの 【(C)JBA】

<対戦カード> 
・星城vs.(倉吉北vs.県立金沢西)
・県立福島西vs.(富士学苑vs.県立広島皆実)
・(県立松江商業vs.弘前学院聖愛)vs.(須磨学園vs.土浦日本大学)
・東京成徳大学vs.(奈良女子vs.英明)

※左はシード校、右は1回戦の組み合わせ

 第2シードの東京成徳大(東京)はこの3年間で、2007年のインターハイ以外全ての全国大会で決勝に進んでいる。しかし、優勝の喜びを味わったのは2008年の国体のみ。しかも、そのときは混成チームであり、決勝の相手も桜花学園のメンバーがいる愛知ではなかった。よって、単独チームとして、桜花学園を倒しての優勝を望む気持ちは強い。1年時から試合に出てきた現3年生は望みをかなえるべく最後のチャンスにかける。
 それに対抗するのは星城(愛知)や富士学苑(山梨)などだ。星城は、同じ愛知県の桜花学園がインターハイ優勝校枠での出場となったため、インターハイに続き21年ぶりの出場を果たした。もちろん今大会でもベスト8進出を目指す。富士学苑はU−18日本代表候補選手とU−16日本代表選手を擁し、チーム初のベスト8をつかもうとしている。

公立校の意地を見せたい金沢総合

<対戦カード>
・県立金沢総合vs.(滋賀短大附属vs.県立小林)
・沼津市立沼津vs.(実践学園vs.佐賀清和) 
・県立大分鶴崎vs.(山形市立商業vs.県立津商業)
・大阪薫英女vs.(宇都宮文星女vs.東海大付第三)

※左はシード校、右は1回戦の組み合わせ

 インターハイで久しぶりの全国ベスト4に名を連ねた金沢総合(神奈川)が第3シード。また、2年ぶり出場の県立小林(宮崎)もこのブロックに入った。実は、公立校でウインターカップ優勝を果たしたことがあるのはこの2校のみ。桜花学園と東京成徳大の「2強」と言われる中で、公立校の意地を見せたい。
 公立校と言えば、山形市立商業(山形)も見逃せない。昨年のウインターカップベスト4を経験したメンバーが残り、ノーシードながら“冬の強さ”を発揮して3年連続のベスト4なるかに注目が集まる。さらに、3年ぶり出場ながらインターハイベスト8の大阪薫英女(大阪)も控えており、激しい戦いが続きそうだ。

聖カタリナ女の前に立ちはだかる実力校

<対戦カード> 
・札幌山の手vs.(龍谷富山vs.県立富岡東)
・昭和学院vs.(鹿児島vs.東京学館新潟)
・盛岡白百合vs.(県立大津vs.岐阜女子)
・聖カタリナ女vs.(県立湯沢北vs.精華女子)
 
※左はシード校、右は1回戦の組み合わせ

 チーム初の決勝進出を狙うは第4シードの聖カタリナ女(愛媛)。昨年の国体では桜花学園主体の愛知を倒し、今年の国体でも準々決勝で東京成徳大学主体の東京に2点差と迫っており、夢ではない。ただ、金沢総合のブロックと同じく実力校がひしめき、気の抜けない試合の連続が予想される。
 特にライバルになると目されるのは、精華女子(福岡)と岐阜女子(岐阜)か。精華女子は、福岡県予選で、2005年・2006年とウインターカップを連覇した中村学園女子を破った実力を持つ。岐阜女子も、寮生活のたまものと言える体力とフィジカルの強さを誇り、上位進出に十分な力で大会に臨んでくるだろう。
 また、このような熾烈(しれつ)な戦いの中で、聖カタリナ女の近平奈緒子、札幌山の手(北海道)の長岡萌映子らU−16日本代表メンバーがどんなウインターカップデビューを果たすかも楽しみだ。

<了>
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著者プロフィール

 1983年生まれ。バスケットボール男子日本代表を中心に、高校、大学からJBL・WJBL、ストリートや椅子バス、デフバスまで様々なカテゴリーのバスケットボールを取材。中学・高校バスケットボール(白夜書房)などの雑誌、「S−move」「JsportsPRESS」等のウェブ媒体で執筆。2009年末に有志でポータルサイト・「クラッチタイム」創設

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