12月10日、ストロングプロレスの本能を見よ!

安田拡了

ストロングプロレスの復活を訴えている初代タイガーマスク 【リアルジャパンプロレス】

 「プロレスはこうなんだというメッセージを出したいし、ストロングプロレスという宝石を後輩たちのために残しておきたい」と、強さを求めるプロレスの復活を訴えてきた初代タイガーマスク(佐山サトル)。リアルジャパン12・10後楽園ホール大会は、その言葉通り今年の締めくくりにふさわしく、激しいものになりそうだ。初代タイガーが長州力、藤波辰爾と組んで、これまで苦々しい思いをさせられてきた強敵・高山善廣とタッグ対戦することになったからである。しかも、初代タイガーは苦手な高山と闘うというのに嬉々(きき)として燃えまくっている。これはいったい、なぜ!? また、こんな初代タイガーに触発されたのか、スーパー・タイガーほか、リアルジャパンの選手たちが熱くうごめき始めている。

高山、絶体絶命の危機かも!?

リアルジャパンでは初めてタッグを組む3人(左から藤原、初代タイガー、長州) 【リアルジャパンプロレス】

 メーンは初代タイガー、長州、藤波のドリームチームに高山、長井、関本の大型頑強チームがぶつかる。ドリームチームの3人はこれまで他団体(ドラディション)のツアーで絶好調ぶりを見せつけてきたが、リアルジャパンでは初めて組む。
 初代タイガーはこのタッグを発表した時、嬉々とした顔だった。よほど気に入っているということだ。

 「3人で全国を回ってきて、自分が水を得た魚のように動き回れるのがわかった。今まで探していたもの(ストロングプロレス)がここにあったと確信していただける大会になる。高山にも仕返しをしたいし、高山も苦戦するはず。ナチュラルですごい試合ができると自負しています。いまのレスラーに(われわれが)何を主張しているのか、わかってもらえる試合になる」(初代タイガー)

 肉体の大きさ、パワー、テクニックにおいてプロレス界のトップを走りつづけ、三冠、IWGPなど業界のベルトを総なめにしてきた高山善廣には、過去、苦々しい思いをしてきた。なんとか攻略する手立てはないものか。そう思い続けてきた初代タイガーだった。
 そんな時に、ドリームチームが誕生し、ツアーを組んだ。すると、思いもよらなかった強みを発見したのだ。

 名レスラーは本能的な勝負勘で動くものだ。当然、長州や藤波はお互いに何も言わなくてもタッグというものを知り尽くしていて、その場その場の状況をみてタッチをしたり、相手の攻撃をカットしたり、その絶妙なセンスで相手チームを圧倒していった。

 初代タイガーは、この3人のチームをもってすれば、プロレス業界トップの高山をつぶすことができるし、ナチュラルですごい試合に発展するに違いないと踏んでいるのである。

 6人タッグだけに相手チームは高山ひとりではない。テクニック良し、体格良しの長井満也(ドラディション)と、若さと頑強な肉体でぶち当たってくる関本大介(大日本プロレス)2人が脇役で固めている。

 しかし、3人で組めば相手が強ければ強いほど大きなチーム力が発揮されることも初代タイガーはわかっている。

 初代タイガーはあくまで高山狙いでいくはずだ。そして長州と藤波は初代タイガーの高山攻略を巧みな連係で成功させるようにもっていくことだろう。

 勝ち負けは大切だが、個人的には初代タイガー、長州、藤波の、胸のすくような軽妙かつ駆け引きを見てみたい。
 高山善廣、今度ばかりは絶対絶命!?

スーパー・タイガーの全力疾走を見よ!

和田との戦いで、スーパータイガーは本来の格闘技スキルを発揮できるか 【リアルジャパンプロレス】

 前回の試合後、スーパー・タイガーは挑発されてマイクを握った。それをパートナーの鈴木みのるに「マイクを握るくらいだったら、まだやれるじゃねえか。余力を出し切れっていうんだよ!」とののしられた。

 格闘技とプロレスの両輪をやっているとうわさされているスーパー・タイガーが鈴木とパートナーを組んでいるのは、鈴木からプロレスを学びとるのが目的だ。しかし、これまで鈴木プロレスの間とかテクニックなどに目がいっていて、その根本がわからなかったという。

 鈴木の言葉にハッとした。
(俺は大切なものを忘れていた! それはテクニックがどうとかということじゃない。全力を出し切って闘う姿勢だったんだ!)

 これまでスーパー・タイガーは、早くリアルジャパンの柱にならなければという思いで、必死にプロレスを学んできた。バトラーツの石川にも学び、多くのプロレステクニックも身につけてきた。だが、何かが足りない。その何かがわからないまま、悶々(もんもん)としてきたのだ。キャラクターとしての色も大事だ。そういうことも考えてきた。
 「僕がやらなければいけなかったのは全力疾走だった。もちろん、プロレステクニックは必要。だけど、それ以前に全力でぶつかるということ。そういう精神でいかなければ、何も生まれないんだということに気づきました」

 全力の精神。簡単なことだが、いまの若い人たちはなかなかそこに気づかないもの。それも効率主義教育の弊害かもしれない。

 今回、スーパー・タイガーの相手はザ・グレート・サスケ(みちのく)と和田城功(リキプロ)。和田は今回で3度目の参戦。指導を受けてきた長州や保永に恥をかかせるわけにはいかない。だからかもしれないが。のっけから狙いをスーパー・タイガーに絞る発言をしている。「スーパー・タイガーは格闘技がベースにあるが、それがプロレスの技術が出し切れていない。それを出してもらいたい」

 こういわれるとスーパー・タイガーもいきり立つ。もとより全力疾走のつもり。その相手が決まったというべきか!

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