2戦目を迎えるキム・ヨナに注目 ライザチェクは優勝なるか=フィギュアスケート、スケートアメリカ見どころ

青嶋ひろの

フランス杯で歴代最高得点をマークしたキム・ヨナが2戦目を迎える 【坂本清】

 五輪シーズンのグランプリシリーズも、あっという間に第5戦。そろそろグランプリファイナル進出者が誰になるのか、これまでの大会の順位や、すでに2試合が終わった選手のポイントも気にしながらの観戦となりそうだ。

好調キム・ヨナが2戦目

 女子シングルの注目は、やはり韓国のキム・ヨナ。2戦目を迎える世界女王が、今回はどんな演技を見せるかに尽きるだろう。エリック・ポンパール杯(フランス杯)でたたき出した自己最高にして世界歴代最高得点の210.03点。4戦終わった時点で誰にも破られていないどころか、今季総合得点2位の鈴木明子(中国杯176.66点)の得点さえ30点以上も引き離している。
 しかしこの高得点が、多少なりともキム・ヨナにとってプレッシャーになるのではないか、とも思う。彼女は今、試合に勝つこと、自身の満足のいく演技をすること、それに加えて、「あのとんでもない点数にふさわしい演技を見せてくれるだろうか」――そんな期待に応えるというまったく別次元の緊張感を抱えているかもしれない。
 そんなプレッシャーをものともしないくらいに素晴らしい演技をスケートアメリカでも見せてくれたら……今年のキム・ヨナは本物だろう。ひょっとしたら五輪までこのまま突っ走ってしまうかもしれない。「五輪優勝候補ナンバーワン」、「金メダル大本命」のキャッチフレーズを第1戦で得て4週間。彼女がどんな風に過ごしてきたのか、スケートアメリカではキム・ヨナの演技とともに、彼女のメンタルの強靭(きょうじん)さにも注目してみよう。

フラット、村主の仕上がりは?

遅めの調整をしている村主の仕上がり具合に注目 【Getty Images Sport】

 女子の出場メンバーを見ると、キム・ヨナを今すぐにおびやかしそうな選手は見当たらないのが残念。その中で見ておきたいのは、昨年の世界選手権5位で、実質アメリカ1番手のレイチェル・フラット。中国杯では4位に終わったが、地元戦のスケートアメリカでは、昨年何度も見せた若さあふれる滑りを披露してくれることに期待したい。
 また、同じく中国杯で7位と苦戦した村主章枝(Ak)も2戦目。ほかの日本選手たちがファイナル出場に向けてシーズン最初から飛ばしてきたのに対し、村主だけは全日本選手権に狙いを定め、ゆっくりと仕上げる道を選んでいる。この時点で彼女がどこまでジャンプの調子を戻しているか、モダンテイストのプログラムをどこまで滑り込めているか、じっくり見てみたい。

 そのほかには実力的に飛び抜ける選手はなく、女子の表彰台争いは混とんとしそうだ。このなかで少し注意して見てみたいのはエレネ・ゲデバニシビリ(グルジア)とエミリー・ヒューズ(米国)のふたり。ともに4年前のトリノ五輪は10代で経験し、バンクーバーでのメダル争いを期待された選手たちだ。しかし女子選手にとって、10代後半は難しい時期。ヒューズは初の五輪出場(トリノ五輪7位)後、負傷の影響もあって世界選手権出場を2回逃し、ゲデバニシビリ(トリノ五輪10位)も練習環境の変化などがあり、一度は世界選手権で20位まで落ち込んだ。それでも迎えた2度目の五輪シーズン。特にヒューズは今回欠場したサーシャ・コーエンに代わっての緊急出場となる。輝けばそれぞれ魅力的な選手だけに、今季の取り組み具合に注目したい。

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著者プロフィール

静岡県浜松市出身、フリーライター。02年よりフィギュアスケートを取材。昨シーズンは『フィギュアスケート 2011─2012シーズン オフィシャルガイドブック』(朝日新聞出版)、『日本女子フィギュアスケートファンブック2012』(扶桑社)、『日本男子フィギュアスケートファンブックCutting Edge2012』(スキージャーナル)などに執筆。著書に『バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート 最強男子。』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』(角川書店)などがある

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