シャラポワが完全復活 進化の秘密はサービスにあった=テニス

テニスマガジン

東レPPOで年半ぶりにツアータイトルを手にし、完全復活を果たしたシャラポワ 【Getty Images】

 験のいい有明で、マリア・シャラポワ(ロシア)が完全復活した。昨年10月に肩を手術して以降はタイトルから遠ざかっていたが、東レパン・パシフィック・オープン(9月26日〜10月2日、以下東レPPO)の女子シングルスを制し、昨年4月以来のツアータイトルを手にした。2003年のジャパンオープンでツアー初優勝を果たした思い出の地で、新しいスタートを切った。

「何年も毎日、テニスを楽しんでいた私にとって、手術後の長いリハビリ期間は、長く暗い日々だった。そのときの努力が実ったと思う。今は負けの苦しみより、勝てる喜びを実感している」

 東レPPOのシャラポワは、勝つ喜びとともに、術後の肩をかばわずにラケットを振り抜ける喜びを満喫していた。コートにボールを入れることなど二の次なのかと思いたくなる全力ショットは、多くのアウトとともにウイナーを量産する。出入りの激しいショットはサービスも同じ。エースとダブルフォールトの数は準々決勝のベネソワ戦が6/8、準決勝のラドワンスカ戦が1/6、7ゲームで終わった決勝のヤンコビッチ戦は4/1。肩の順調な回復が、負傷前と変わらぬ強気な攻めを支えている。

「目標はもっとアグレッシブに戦うこと。以前の自分はベースラインでもネット際でも、どんな場面でもアグレッシブに戦っていた。それがようやく戻ってきた」

 ノーシードゆえ、6日間で6試合のタイトな日程も、シャラポワにとっては格好のリハビリのよう。7ゲームで試合を取り上げられた決勝を除き、試合後の会見は充実した表情だった。

 シャラポワの現状復帰が肩ならば、進化はサービスにある。全米オープン3回戦で敗れて今大会までに生まれた2週間ほどの時間を、サービスの練習に費やした成果は、東レPPOでさっそく表われた。テークバックにリズムが生まれ、エースが1つだったラドワンスカ戦でも、ファーストサービスの確率は66%と悪くなかった。

 ベスト16止まりだった翌週の北京で、今季のツアーを終えたシャラポワ。長いオフをじっくり練習にあて、来シーズンの訪れを心待ちにしている。

東レパン・パシフィック・オープン

<決勝>
シャラポワ 5−2(途中棄権) エレナ・ヤンコビッチ(セルビア/第7シード) 

<準決勝>
シャラポワ 2−1 アグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド/第11シード)
(6−3 2−6 6−4)

<準々決勝>
シャラポワ 2−0 イベタ・ベネソワ(チェコ)
(6−4、7−5)

<3回戦>
シャラポワ 2−1 アリサ・クレイバノワ(ロシア)
(2−6、6−2、6−2)

<2回戦>
シャラポワ 2−1 サマンサ・ストーサー(オーストラリア/第12シード)
(6−0、6−1)

<1回戦>
シャラポワ 2−1 フランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)
(4−6、7−5、6−1)

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著者プロフィール

1970年創刊の最も長い歴史を誇るテニス専門誌。国内トップクラスのコーチ陣が解説する技術特集は、上級者からビギナーまで全てのプレーヤーにとって、上達のヒントが散りばめられている。グランドスラム4大会をはじめ、試合報道が充実しているのも特徴。

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