レッドディザイアついに逆転! ブエナビスタの三冠阻止=秋華賞
初GIの松永幹夫調教師「次走はブエナビスタの出るレースへ」
松永幹夫調教師(右)はブエナビスタ再打倒で真のチャンピオン獲りを宣言 【スポーツナビ】
「本当に馬とジョッキーが頑張ってくれました。いつかはブエナビスタを負かしたいと思っていたので、本当に良かったです」
名手として馳せた騎手時代は“牝馬のミキオ”の愛称を持ち、通算6勝を挙げたJRA・GI(交流除く)はすべて牝馬で制したもの。また、秋華賞の記念すべき第1回目(1996年)の覇者となったファビラスラフインの背にいたのも、松永幹調教師だった。
牝馬三冠最終戦へ向け、この中間は2週続けてコース、坂路でと猛烈追い。このハードトレの成果が、この日のマイナス14キロという馬体重に現れた。
「前走は2着でしたが、負けて良かった……と言うのは、言い方が悪いかもしれないですけど、前回負けたからこそ今回はしっかりと稽古をやれたと思っています。もしローズSを勝っていたら、前回くらいしかやらなかったかもしれません」
前哨戦GIIローズSは追い込み届かず2着。女王打倒の1番手として断然の人気を背負いながら、結果を残せなかった。春からの成長分はあるにせよ、オークスからプラス10キロという体重が、調整の手ぬるさを示していたのかもしれない。
だが、この敗戦を確かな糧とし、ラスト一冠へ向けて攻めに攻め抜いた猛稽古。そして、愛馬は見事期待に応えてくれた。
ブエナビスタに代わって秋の3歳女王となり、注目されるのは今後の目標レース。指揮官はレースこそ明言しなかったものの、それ以上とも思える具体的な言葉でキッパリと語った。
「オーナーと相談してからになりますが、僕個人としてはブエナビスタが使うレースに使いたい。もう1回勝たないことには、本当のチャンピオンになれないですから」
その柔和な表情からは想像もつかない強気な言葉で、“ブエナビスタ再打倒”をブチ上げた松永幹調教師。確かに現時点での対戦成績は1勝2敗。文字通り、今は一矢報いたに過ぎない。
もう1度ブエナビスタを負かし、名実ともに真の3歳女王へ。若き42歳トレーナーと3歳牝馬が、さらなる高みへと突き進む。
無念のアンカツ、冷静に裁決を受け止めたが……
まさかの降着処分となった安藤勝とブエナビスタ、「納得している」とは語ったが…… 【スポーツナビ】
だが、裁決は無情にも安藤勝ブエナビスタの走行妨害。牝馬三冠の夢が打ち砕かれたばかりか、“降着”という最悪のダブルパンチに見舞われた。
「そんなに外へは行っていないと思ったし、普通に回ってきたつもりだったけど……。ただ、出された裁決には納得している」
問題となった4コーナーの動きを振り返り、冷静に裁決結果を受け止めたアンカツ。ただ、そうは言うものの、全部が全部納得できるものでもない。やりきれない思いでジョッキーが続けた。
「あそこは勝負どころで馬が固まってくるところだったし、結果的にああいう風になったから、JRAとしてはこっちに責任を持たせるのかな? まあ、でも決めるのは裁決だから」
この雪辱は、もちろん安藤勝ブエナビスタ自らの走りで果たすしかない。次走はGIエリザベス女王杯(11月15日、京都2200メートル芝)、もしくはGIジャパンカップ(11月29日、東京2400メートル芝)が有力だ。