連勝と連敗、明暗が分かれた開幕2連戦=JBL2009−2010 第1週

松原貴実

王者・アイシンはすきのなさを見せつけ連勝

 一方、リーグ3連覇を狙う王者・アイシンは、ホームの刈谷で三菱電機と対戦。80−65(3日)、85−71(4日)で快勝する順調な滑り出しを見せた。
 昨シーズンのMVP竹内公輔は開幕戦で17得点、15リバウンド、2戦目は14得点、18リバウンドの連続ダブルダブル。また2戦目は桜木ジェイアール、ジョシュ・グロス、ダラン・セルビー、朝山正悟もそろって2けた得点をマークし、『すきのないアイシン』を印象づけた。
 さらに足の故障が心配された司令塔・柏木真介も2戦ともスターティングメンバーとして健在をアピール。チームバランス、安定度からいって、今季もまた優勝候補の筆頭に位置することは間違いない。

 アイシンに2連敗の三菱は、エース佐藤託矢とロン・ヘールを欠いての苦しいスタートとなった。だが、シューター内海慎吾に安定感が増したのは明るい材料。ベストメンバーがそろうまでチーム全員でどう乗り切るか。新PG中川和之のリード力に期待がかかるところだ。

日立は、得意の東芝に連敗する苦しいスタート

 川崎で行われた東芝−日立戦。昨シーズン対東芝戦5回負けなしの日立は、49−61で敗れるスタートとなった。
 得点が示すとおり日立を圧倒したのは東芝の執拗(しつよう)なディフェンス。ゴール下にボールが入ると東芝のインサイド陣が体を張った激しい守りを見せ、日立の大黒柱・竹内譲次にまったく仕事をさせなかった。

 さらに2戦目、日立は前半1点リードで折り返したものの、第3Qにわずか4得点と大失速。ストレスが溜まる試合展開に、竹内譲がアンスポーツマンライクファウルとテクニカルファウルを連発。結局62−86と逆転され、屈辱的な連敗を喫したのだ。
 劣勢時のチームをどう立て直すか、今季からメインPGとしてコートに立った佐藤稔浩のコントロール力が今後のカギを握りそうだ。

 一方の東芝は、PG石崎巧が「チームが目指す方向に向かって個々が自分の力を出し切れたと思う」と語った通り、力強く安定したディフェンスが見事だった。次なる相手は高いオフェンス力を誇るリンク栃木だけに、守りの精度を試される2連戦となる。

レラカムイ連敗も、ルーキー・KJ松井が活躍

 札幌で行われたレラカムイ−パナソニックの開幕戦は前半11点のビハインドを覆し、パナソニックが82−78で逆転勝ち。続く2戦目も危なげない試合運びで90−74と快勝した。
 パナソニックはキャプテンの大野篤史が開幕戦で16得点、8リバウンドの活躍と心強い限りだが、こうしたベテランに引っ張られるように濱田卓実、広瀬健太らの若手が著しい成長を見せているのも強みだ。その中で最大の切り札・青野文彦(210センチ)をどう生かしきるかが今後の躍進の鍵を握るだろう。

 黒星スタートとなったレラカムイではあるが、ルーキーながら2戦目に12得点をマークしたKJ松井は楽しみな存在。200センチの大型F井上聡人とともに今後の活躍に注目したい。

 2連勝と2連敗、8チームの明暗がはっきり分かれた開幕2連戦。だが、この先には40試合が待ち受けている。長丁場を通していかにチームカラーを確立していくのか、どんなチームに変ぼうしていくのか、ただ単に勝ち負けだけではなく、そんなチームの成長が見られるのもリーグ戦の大きな楽しみに違いない。

<了>

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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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