本誌８月号で所英男はＤＲＥＡＭ、金原正徳は戦極、それぞれ優勝を誓いあった二人。ひと足先に有言実行した金原は、先輩・所にプレッシャーをかけまくり！　対する所は、のらりくらりと優勝宣言？

■金原「一人じゃ決勝のリングに立てなかった」

――本誌８月号に続く対談第２弾。宣言どおり、金原選手が見事、戦極フェザー級トーナメントを制しましたね

所　いやあ、刺激になってますね、かなり。

金原　絶対ウソですよ（笑）。

所　いや、ホントです。金原さん、試合前よくつぶやいてるじゃないですか。「絶対負けないぞ」って。あれをいつも思い出してるんです。走ってて苦しい時も「よし、僕も絶対負けないぞ」って。

金原　（疑いの表情）

所　ホントですって！　やっとベルトとか優勝が現実として考えられるようにもなれたし。なんか北岡（悟）さんとかが獲ってもすごく上の人のイメージがあってピンとこなかったけど、こんな…。

金原　下っ端が？

所　いやいや、身近な（笑）金原さんが獲ると、じゃあ僕も頑張んなきゃなって。

――所選手は金原選手のセコンドについていましたね。日沖選手に代わって決勝進出が決まった時、控え室のムードは？

所　僕は闘う立場じゃなかったんで「よっしゃ！　これはいい流れかも」と思いましたけど、やるほうとしてはダメージもあるし疲れもあるし、散々だったと思います。

金原　でも所さん、アリーナの近くにコンビニはないのに、氷を買ってきてくれたり飲み物を買ってきてくれたりして。優しい先輩なんですよ。

所　ああ、そうだ、あの時の領収書をまだ渡してない。

金原　今さら領収書っすか！　でも助かりましたよ。所さんはいるだけで元気になるし、力になる存在です。試合前に円陣を組んだ時も、所さんにかけ声をやってもらったんですよ。日沖戦の前にやってもらって負けて。で、決勝の前にもう一回やってもらって、その時は噛んで（笑）。でも本当に嬉しかったですね。偉大な大先輩に応援してもらえるなんて。

所　やっぱり優勝者ともなると取材慣れしてますね。トークが上手になってますね。

金原　なに言ってんすか（笑）。本当に偉大な先輩ですよ。

――金原選手にとっては「ベルトはみんなで獲ったもの」という思いが強い？

金原　はい。絶対に一人じゃ決勝のリングに立てなかった。不安がすごく大きかったんですよね。１回負けてるんで、「２回負けたらどうしよう」とか、どうしてもマイナスなイメージしかなかったんですよ。でもみんなが「やっちゃおうよ！」って言ってくれて、僕も「じゃあ力を貸して下さい！」みたいな。それがあったから優勝できた感じですね。

所　見ているほうからしたら「これは行ける！」と。それはみんな思ったんじゃないですかね。やるほうは大変ですけどね。僕は１回ですけど。

金原　２回ですよ、２回。準決勝の相手は高谷（裕之）選手ですけど、一番強いのって結局、闘ってみないとわからないじゃないですか。相性もあるし、その日の体調もあるし。実際、高谷選手は打撃がすごく強い選手かもしれないけど、所さんがパンチでやっつけちゃうっていうイメージもありますし。所さん、全然優勝できると思います。他人事ですけど（笑）。だから今回は楽しもうと思うんです、所さんの試合を。「うわ、あのパンチは痛い！」とか言いながら。

所　そういう時はタオルを投げてください。

金原　そんなこと言わず、一本取っちゃってくださいよ（笑）。

所　そうなったらいいですよね。勝つ時はサクッと勝つと思いますけど、負ける時は痛い思いしますからね。まあ、勝とうと負けようと、もういいです。やりきれば。

（戦極王者となった金原が、ＤＲＥＡＭフェザー級ＧＰ制覇を目指す所との対戦を熱望!?　続きは本誌『格闘技通信』１１月号をお読みください）

（文＝藤村幸代）

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