青木真也のやっぱりムエタイって面白い=ゴング格闘技発
DREAM.10にてミドルを蹴り分けて、青木真也はシャオリンを完封してみせた。10.6 DREAM.11ではヨアキム・ハンセンが持つライト級王座に挑戦する 【(C)ゴング格闘技】
青木真也「やっぱり本職は強い。ひとつの形として完成している」
蹴りを交えた首相撲のスパーリングを3分3R行なった青木とワンロップ。昨年10月6日、ゴン格No.198でセンチャイとスパーした時とは違いワンロップは転がしのテクニックを交えるのではなく、身長差のある青木を固定してヒザを浴びせていく。青木も差し返し度々ワンロップを首相撲に捕らえると、スパーはさらにヒートアップした 【(C)ゴング格闘技/林和也】
日本屈指のグラップラー青木だが、同時に立ち技最強格闘技ムエタイへの深い傾倒も知られている。1月に開催され9時間を超すロング興行となった「ムエローク」を、最後まで感嘆するかのように観戦していたのが印象深い。
「いやー、ムエタイって面白いでしょ?」
ミドルを蹴り続け勝利したシャオリン戦後のマイクは、観客が望んでいた試合内容と齟齬が大きかったため物議を醸したが、“ムエタイは面白い”という主張は、青木が心から発したものに違いない。
「僕は立ち技だから組み技だからって、線引きして競技を考えてはいないんですね。だから純粋にセンチャイ選手の技術はすげえな、どうやってるんだろうっていう興味ですよね」
昨年本誌で“神技を持つ男”センチャイ・ソー.キングスターとスパーリング対談を行ってもらった際の青木の一言だ。ムエタイが持つ技術の奥深さが“格闘技オタク”を自認する青木の心を引きつけて止まないのか。
慣れた感じのムエタイパンツをまとい、ミドル、ヒザ、蹴りをカットする動きで足を振り上げ、青木はアップを進めていく。ジム内を観察しロープの感触を確かめ、出稽古の緊張もあるのだろうがその様子は楽しそうにも映る。
「ありがとうございます。やったね」
ウィラサクレック会長から練習用パンツを贈られ表情を緩めた青木は、格闘家から“ファン”の顔に戻っていた。
ワンロップ「日本人はもっと簡単に倒せるのに、青木選手は強かった」
1.18ムエロークにてワンロップはオットノーイに判定で勝利し、WPMF世界Sバンタム級王座を獲得している。9.13 M−1では引退試合を行う 【(C)ゴング格闘技】
通常体重58キロというワンロップと青木の体重差は約15キロ。“神技”センチャイとのスパーでは幾度か投げを喫したが(スパー時のセンチャイは約65キロ)、その後青木はタイでムエタイ修行も経験しており、この体格差では投げられることはないだろうと思っていた。しかし――
開始すぐ、組みに向かったワンロップは応戦してきた青木をいなすと、前方に手を着かせるようにして2連続で崩すのに成功。だが、青木も序盤に受けたこの崩しによりセンサーが高まったか、その後3分3Rのスパー中、一度も投げや崩しは許さない。
両者のスパーはヒザ合戦の様相を呈していく。青木は距離が開くや前蹴りとテンカオ。ミドルにはミドルを返し、ワンロップに負けじとムエタイ式の攻防を見せる。
だがワンロップが首を巻き込むようにして組むロック(ヘッドロックを首まで下げてきたような組み)には捕まってしまい、「アイー、アイー」とかん高い声を上げながらのヒザを連打でボディに浴びてしまう。
ワンロップは青木の足払いや転がし狙いに崩されず、自らは取らせないのに青木のミドルはほとんどすべてをキャッチしてみせるなど、要所要所で高度な技術を発揮。
体格・力の差を補うのが技術――そんな吉鷹弘氏の言葉が思い返され、大きな青木を相手に自分の土俵であるとはいえ優勢に進めていくワンロップに、ムエタイの凄みを見せられた気がした。
「いやぁ、生物として強いし技術もある。これとドローだなんて石川さん、どんだけ頭いいんだよ。これとドローは凄い」
“強さ”を実感した興奮か、青木は満足げな表情を浮かべていた。
――熱のこもったスパーお疲れさまでした。お互い手を合わせての印象はいかがですか
青木 いや、やっぱり本職は強いですよ。あの首を巻くロックがすごい。総合であれをやると相手に背中を向けちゃうからあまりないけど、あれはやっぱり本職ですよ。
ワンロップ 強かったです。腕の力が強いしバランスもよくて。日本人選手ともよく首相撲をやって普通はもっと簡単に倒せるんですけど、青木選手は倒すことができませんでした。ムエタイとして見てもバランスが良くて強いと思います。
※このほか青木が語る、MMAムエタイ、DREAM王座挑戦、金網戦、北岡悟へのエールとは……この続きは発売中の「ゴング格闘技」10月号をご覧ください!(文=長谷川亮)
「ゴング格闘技」10月号の主なコンテンツ
「ゴング格闘技」10月号は8月22日(土)発売。ゴン格的「武の世界」を大特集! 表紙は、伝統空手を最先端MMAで駆使するUFC王者、リョート・マチダです 【(C)ゴング格闘技】
<主な目次>
●ケージへの誘い。
☆エメリヤーエンコ・ヒョードル
今秋金網デビューへ
ストライクフォース初戦の相手は……
☆川尻達也
ストライクフォース帰りのクラッシャーを成田空港で独占キャッチ!
「アメリカ、アメリカって言いすぎですよ!」
☆石田光洋と渡米、山田武士トレーナー
ストライクフォースで何が起きていた?
「メレンデスの体はヌルヌルしていた。カリフォルニア州のコミッションに抗議文を提出します」
●大特集 ゴン格的「武の世界」。
☆リョート・マチダ×町田嘉三
UFC世界ライトヘビー級王者を育んだカラテの教え
「昔の日本人がやっていたことを実戦しているだけです」
☆長谷川穂積、“リアル”ロングインタビュー
日本歴代2位タイのV9、WBC世界バンタム級“絶対王者”にボクシングマガジン元編集長・原功が訊く「殴り合いは怖くない。ベルトを失うことだけが怖い」
☆須藤元気
誰よりも早く、カラテに着眼していた、須藤元気に訊く格闘技と武道
「マスコミが特集するようになってから始めても、遅いんです」
☆青木真也の「やっぱりムエタイって面白い」
“切り裂き魔”ワンロップ・ウィラサクレックとスパーリング対談!
☆菊野克紀を育んだ鹿児島。
故郷=原点を訪ねて。
「“精力善用、自他共栄”その柔道精神は今も心に宿っています」
☆GSPとは何か? 打撃篇
UFC世界ウェルター級王者ジョルジュ・サンピエール
その完璧なまでの強さの秘密を探る by吉鷹弘
☆谷川貞治FEG代表が競技論と武道を語る
“殺しのテクニック”とは何か?
☆ピーター・アーツ「K−1と共に歩んだ17年間」を語る。
「K−1がどんどん普及するから世界のどこにいてもリラックス出来ないよ。アメリカを除けばね(笑)」
☆数見肇
ライコンドーを離れ、数見道場へ
「護身術としての空手、拳を刃物と化して戦わずして勝つ空手」
☆平直行
僕らが格闘技から武術にいった理由
「武術というのは“団体戦”なんです」
☆[連載vol.7] 人に歴史あり
ビクトル古賀
“サンボの神様”が語る関節技の真髄と華麗なる交遊録
「関節技は、持たない。手を当てるだけだよ」
☆宍戸大樹×吉鷹弘
9.4武志道にムエタイの“破壊王”ボーウィー来襲!
迎撃する宍戸に吉鷹が檄&秘訣を伝授「お前は綺麗すぎる、ブサイクに動け!」
☆現役ラジャダムナン王者撃破記念!
“外国人初のラジャダムナン王者”Since1977藤原敏男ד平成のムエタイキラー”Since2009駿太
「自分の技に“愛”を持て」
☆盧山初雄×高瀬大樹
あの高瀬大樹がローキックに目覚めた!?
「盧山館長、伝説の下段廻し蹴りを教えて下さい!」
☆萩原幸之助&植松直哉
競技スポーツ、護身術、喧嘩、武術……
「格闘技を語り合う」
☆中井祐樹
“ブラジリアン柔術”を追求して見えた“柔術”とは?[前編]
「スポーツにも精神性はある。武道にあってスポーツに無い、そう言い切れるものはひとつも無い」
■戦極 Real Gold
☆MMA×キック異色対談!
ネオ柔道
小見川道大
×
狂拳
竹内裕二
「てっぺん獲っちゃおうぜ!」
☆長南亮×光岡映二
飲み友、練習仲間、セコンド……
「格闘家としての証を残そう!」
☆戦極 超新星対談
井上克也を撃破したパンクラス新王者
真騎士
×
戦極G!杯で優勝したKIDの後輩
大澤茂樹「俺たちのゴールドラッシュ!」
☆10.6 DREAM.11 フェザー級グランプリ2009決勝戦
所英男×中村大介「UWF魂伝承」
☆ダニエル・ギタ
K−1 GP最終予選で3連続1RKO!
遅れてきたルーマニアのモンスター
「もっと力を得るために、選んだ地がオランダだった」
■krush 沸騰、再び!
☆石川直生
2試合連続逆転ハイキック!
神がかったKO勝ちでGP準決勝へ
「言い続けること、思い続けること」
☆野良犬のノンフィクション連載スタート!
『サトシ』著者・会津泰成と特別対談
小林聡「キックを支えて、キックに支えられた人生。それはこれからも変わらない」
ほか、今月は久々の増刊号『ゴング格闘技プラス』も発売中!
8.2戦極、7.20DREAM真夏の2大大会詳報は「PLUS」と併せてお楽しみください!
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