山本優弥「対戦したい」、恩返しの大みそか魔裟斗戦へ=K-1MAX一夜明け
7.13K-1MAXの激闘から一夜明け、トーナメント、リザーブを勝ち上がった6選手が会見で喜びを語った 【スポーツナビ】
一方、会見には谷川貞治K−1イベントプロデューサーも同席。目標としていた地上波放送の平均視聴率15パーセントをジャストでクリアし笑顔を見せたものの、80秒KO負けに散った山本“KID”徳郁に話題が移ると「非常に心配です」と表情を曇らせた。
「自分を生かしてくれるのは周りの人たち」
「応援してくれる人たちのおかげ」と感謝の言葉を口にする優弥 【スポーツナビ】
日本人最後の砦を守り抜き、ただ一人勝ち残った日本人としての大役を果たして一夜明けた今も、優弥は決しておごらず。ひたすらに感謝の気持ちを忘れない。
2月日本代表決定トーナメントは小比類巻太信に決勝で敗北。通常ならこの時点で世界トーナメントの出場権は絶望なのだが、ここから運命は劇的に優弥に味方する。小比類巻の負傷欠場で代役のポストを得ると、4月トーナメント開幕戦では韓国のイム・チビンにワンチャンスをつかんでの値千金バックハンドブローで逆転勝利。そして、前日のドラゴを宣言どおりの“大和魂”で振り切り、アップセットを演出してみせた。
本人が語るのは謙遜でもなんでもなく、確かに優弥を中心にとんでもないパワーが渦巻いているのかもしれない。そのパワーを、優弥は周囲のサポートへの感謝の気持ちで表現したのだ。
だが、準決勝の対戦相手であるジョルジオ・ペトロシアン、そしてアンディ・サワーも認めたように、ただ勢いがある、ただ運があるだけでは世界トップ4には勝ち残れない。確かな実力があってのことだ。
「ペトロシアンは魔裟斗選手もやりたくないというくらいの選手だから、すごいやりづらいのかなと思う。でも、僕なんかがそんなことを言っても仕方ない。K−1MAXを良くするためにも日本人が優勝しないといけない。誰が来ようが、死に物狂いでやるだけです」
応援してくれる人たちへの一番の恩返しは優勝して魔裟斗戦
恐るべき実力者ペトロシアン(右)に対しても、優弥が大和魂を見せるか 【スポーツナビ】
「少し欲が出てきたとすれば、魔裟斗選手との対戦ですね。応援してくれている人たちに喜んでもらえることは、僕が勝つこと。優勝して魔裟斗選手の最後の試合で対戦することになれば、一番喜んでもらえると思う。色んな人に恩返しするためにも、魔裟斗選手に自分の姿を見てもらうためにも、優勝して魔裟斗選手と大みそかに対戦したいですね」
ドラゴ戦の前には魔裟斗とスパーをしてアドバイスをもらい、成長も認めてもらった。自分をサポートしてくれる人たちへの恩返し、そして魔裟斗へ恩返しするためにも、ここまで来たらトーナメント優勝あるのみだ。
一方、優弥の対戦相手となるペトロシアンは、初代王者アルバート・クラウスに何もさせずに完勝。初出場ながら優勝候補ナンバーワンの呼び声どおりにベスト4進出を果たした。ただ、そのテクニックは認めるものの、谷川貞治K−1イベントプロデューサーは「専門家だけでなく、もっと一般ファンにもアピールできる試合を」と苦言を呈するとともに、「そういう試合ができれば、とんでもない選手になるし、それができる選手だとも思う。魔裟斗くんとはまた違ったタイプの10年に1人の選手」と、イタリアの超新星に大きな期待をかけている。
ペトロシアンはこの谷川プロデューサーのゲキに「自分の技をもっとアピールしたいが、K−1にまだスペシャライズされていない面もある。困難なことではあるけど、もっとK−1スタイルに変えていけるよう頑張りたい」と、さらなるパワーアップを約束した。
2タイム王者対決 サワー、ブアカーオとも王座返り咲き宣言
2タイムス王者対決のサワー(左)vs.ブアカーオ、ともに王座返り咲きを宣言 【スポーツナビ】
また前日の試合後、魔裟斗が最後の相手にサワーを“指名”したことについて、「自分も魔裟斗と再び戦えることを楽しみにしている。でも、まずはチャンピオンにならないといけない。魔裟斗にリベンジの機会を与えられるよう、頑張ってチャンピオンになるよ」と、こちらも大みそかでの“再会”を約束した。
対するは04年&06年王者ブアカーオ。下降説を文字通り一蹴する完封劇で、こちらも3年ぶり王座返り咲きへ1つ階段を上がったが、谷川プロデューサーは「まだチャンピオンになったころの“怖いブアカーオ”には戻っていない」と、さらなる奮起を期待する。
これを受けて「谷川さんの言うように、自分がチャンピオンになった時のような興奮をまたみなさんに味わってもらいたい」と語ると、「これからまた厳しい練習を課し、面白いと言ってもらえる試合をして、もう1度チャンピオンになりたい」と、完全復権へ気合を入れなおした。
決戦のファイナル(準決勝、決勝)は、10月26日(月)神奈川・横浜アリーナで行われる。日本、イタリア、オランダ、タイの4カ国、新旧勢力入り乱れての頂上戦。これを制し、2009年K−1MAX世界最強の男となるのは――。