“美女スイマー”野瀬瞳、日本新で笑顔のV=競泳日本選手権

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女子平泳ぎのニューヒロイン、野瀬瞳。50メートルの日本新をマークし、世界水泳の切符を手に入れた 【Photo:杉本哲大/アフロスポーツ】

 ゴール直後、会場内に大きなどよめきが起こった。競泳の日本選手権第3日、女子50メートル平泳ぎ決勝は、野瀬瞳(大野城SC)と田村菜々香(きらら山口)が31秒41の日本新記録を出し、同着優勝で世界選手権(7月・ローマ)代表に内定した。

愛らしい笑顔と勝負師の顔

「0.01秒でも勝ちたかった」
 レース直後のインタビュー。“美女アスリート”として知られる愛らしい笑顔を見せながらも、野瀬から開口一番飛び出したのは、勝負師の言葉だった。決勝前から気合いは十分だった。午前の予選で31秒72の好記録を出すと、「予選でこのタイムが出るなら、決勝ではもっと上がると思う。絶対に負けられない」と力強く語った。迎えた決勝では、「最初の25メートルは誰にも負けないぐらい、自信を付けてきた」との言葉どおり、自慢のスピードを生かし、1位で代表権を勝ち取った。

 現在20歳の野瀬は、2歳から水泳を始め、頭角を現したのは九州女高時代。2007年2月の九州カップでは、女子100メートル、200メートルの平泳ぎ2種目で短水路高校新記録を樹立した。しかし、その後は層の厚い平泳ぎ種目で結果を残せず。北京五輪の代表選考会となった昨年の日本選手権では、100メートルで6位、200メートルでは予選敗退に終わり、代表入りを逃した。「去年はダラダラと気持ちが入らなくて」と一時は失意の日々を送った野瀬だが、「このまま終われない」と年明けから再始動を決意した。

「絶対に勝ちたい」と臨んだ今大会

 一念発起した野瀬だが、すぐに結果はついてこなかった。「悔しい思いしかなかった」と振り返る2月の短水路選手権では、同種目50メートルで4位、200メートルで8位、100メートルでは決勝に進めなかった。

 だからこそ、今大会には「絶対に勝ちたい」と満を持して臨んだ。大会初日の200メートル予選から「今まで水泳をやってきた中で一番いい状態」と好調ぶりをアピール。200メートルの決勝では、金藤理絵(東海大)、田村に次ぐ3位に終わったものの、「スプリント系」を自認する野瀬にとって、得意の50メートルと100メートルに向けいいイメージを作った。

 ローマ行きの切符を手にし、これでようやく世界へ挑戦できるスタートラインに立った野瀬。しかし、それだけでは満足しない様子だ。
「明日は、(1分)6秒台を狙って、積極的に行きたい。自信はあります!」
 強気なニューヒロインは、大会最終日の同種目100メートルでも代表権獲得を狙う。

<了>
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