話題に事欠かなかったウィンブルドン2009=総括

秋山英宏/WOWOW

女子は再びセリーナ・ウィリアムズの時代へ

 女子は、芝でのウィリアムズ姉妹の強さがあらためて印象付けられた。大会が進むにつれて、「ウィリアムズ」を倒せるのは「ウィリアムズ」しかいないのではないか、という確信が深まっていった。
 姉のビーナスは準決勝で第1シードのディナラ・サフィナ(ロシア)に6−1、6−0。観客もあきれるほどの完勝だった。セリーナの準決勝は対照的だった。エレナ・デメンティエワ(ロシア)に6−7(4)、7−5、8−6。第3セット第10ゲームでは相手にマッチポイントを握られながらの逆転勝利。この精神力、ここ一本での集中力は、ほかのどの女子選手も持っていない。
 姉妹が対決した女子シングルス決勝は、ビーナスがひざを痛めていたこともあって、第1セットでほぼ勝敗が決した。しかし、両選手のスピードと力強さは圧巻だった。女子テニスは完全にアスリートのものになった、とあらためて感じさせる試合だった。
 昨年の全米、今年の全豪、そして今大会と、過去1年の4大大会のうち3つを制したセリーナだが、世界ランキングは2位で変わらず。4大大会での優勝がなくてランキング1位にいるサフィナを引き合いに出して、こう言った。
「私のモチベーションは、グランドスラム大会でまた優勝し、2位にとどまること。グランドスラムで優勝がなくて1位になるなら、グランドスラムで3勝して2位の方がいいわよ」。
 現行のランキング制度に対する痛烈な皮肉である。

 ランキングの数字はともかく、この優勝で、再びセリーナの時代が戻ってきたという印象を強くした。最近のグランドスラムでの成績を見ても、フィジカル面、メンタル面の強さからも、「女王」の名に値する選手と言えば、彼女以外に思い当たる選手はいない。

 <了>

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント