イチローが黒田と対戦 初球に「びっくりした」=マリナーズ遠征リポート Day3

木本大志

クラブハウスにて

10日間で9試合行われる前半の“ヤマ”となる遠征で、まずはドジャースとの3連戦に臨んだ 【木本大志】

 試合前、ルーキーのマイク・カープが、パソコンの前で奮闘していた。画面を見ると、チケットの注文をしているよう。

 ここは、彼にとってのホームタウン。

 チケットをたくさん頼まれたのか? と声をかければ、カープはうなずき、「20枚だよ」と苦笑した。

 1試合につき、選手一人に与えられるチケットは4枚まで。残り16枚はどうしたのかと聞けば、「マイク・スウィーニーとか、マーク・ロウがくれたんだ」と言う。

 新人だから頼みにくかったんじゃない? と返せば、彼は首を振った。

「いや、スウィーニーから声をかけてくれたんだ。『ここはお前の地元だろう? チケットは手配できたのか? 足りなかったおれの分をやるから』って」

 そのときカープは、素直にチケットが足りないことを告げたそう。すると、スウィーニーは回りにも声をかけてくれたという。

「オイ、ロウ、いらないチケットがあったら、カープに分けてやってくれ」

 そうやってかき集めたのが20枚のチケット。

 カープは先輩らの配慮に頭を下げた。

 意地悪な先輩もいる。

 やはり試合前、イチローがクラブハウスで着替えをしていると、ケン・グリフィーが声をかけた。

「おい、きのうボールが当たったところは大丈夫か?」

 前日の試合。3回、照明の中に消えたボールが、イチローの左太ももの内側に当った。

 当たったところをグリフィーに見せるイチロー。するとグリフィーは、あざになっているところをぐっと親指で押した。

 悲鳴に近い声をあげるイチロー。

 当たり前である。

 ただ、これが2人のいつものやり取り。イチローをいじることを、グリフィーも楽しみにし、イチローもどこか、グリフィーのいたずらを期待しているようなところがある。

 不思議な関係でつながる2人だ。

試合直前にトレードの発表

 さて、きょう、かつてマリナーズにいたドジャースのジェフ・ウィーバーと話す機会があった。

 彼に、城島健司とアメリカの捕手のリードの違いを尋ねると、実に詳しく教えてくれた。それはまた、別の機会に紹介したいが、結論から言えば、「ない」だった。

「よく聞くけど、バッテリーを組んでいる時には、感じなかった。まだそれを言っている人がいるとしたら、そこに何かの理由を求めたい人だけだろう」

 それを聞けば、耳の痛い投手も、米メディアもいるだろう。

 試合直前になって、シアトルの地元メディアが集められた。トレードがあるという。

 ジャック・ズレンシックGMは、意外な名前を口にした。

「マイク・モースをナショナルズにトレードした」

 獲得したのは3Aのライアン・ランガーハン。外野ならどこでも守れて、一塁もできるという。

 モースは、あしたから左肩手術のためにチームを離れるエイドリアン・ベルトレに変わって、メジャー昇格が予想されていたが、マリナーズは、先日戦列を離れたエンディ・チャベス外野手の補強を先に行った。

 これで、あさってからの遠征では、誰が三塁を守るのか。プランは白紙になった。

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