金原正徳「日沖に無傷の優勝はさせない」=戦極
戦極フェザー級グランプリ四強へ生き残りを果たした金原。目標は優勝よりも打倒日沖──。 【スポーツナビ】
1回戦でキム・ジョンマン、2回戦でジャン・チャンソンという“難敵”2人を苦難の末に下してきた金原だが、準決勝での対戦相手としてさらなる強豪にしてグランプリの優勝候補筆頭である日沖発を指名。その希望がかなって「戦極〜第九陣〜(8月2日・さいたまSA)」で対戦することとなった。
「第九陣」ではグランプリの準決勝、決勝が1DAYトーナメント形式で行われるが、金原は「日沖選手に無傷で優勝などは絶対にさせません」と優勝阻止に決意の構え。グランプリを勝ち上がるにつれ“台風の目”として勢いを増す金原に話を聞いた。
北岡、青木らのアドバイス受け技術と精神を修正
接戦、苦戦となったチャンソン戦 【t.SAKUMA】
打撃が強く、1発で試合を終わらせてしまうパンチを持った選手でしたので、自分は序盤を寝技で攻めて、中盤から終盤に打撃で攻める展開を考えていました。テイクダウンは割りと簡単に取れたんですけど、そこから先の攻めを作ることができずに、グズグズな展開になってしまって……。
──下からの蹴り上げにも苦労されているようでした。
ああいう動きをする選手と戦ったことがなかったので戸惑ってしまって、ちょっとしたパニックのような状態になってしまいました。
──チャンソン選手の粘りについて、金原選手と立場は違いますが、お客さんの間にも似たような驚きがあったようです。「なぜチャンソン選手は倒れないんだ!?」という。
そうですね。試合中には「行かなくちゃ、攻めなくちゃ」という思いで頭がいっぱいだったんですけど、後から試合の映像を見返してみると自分の雑な動きが目に付きました。そのせいでパスガードに失敗していたり。
──思うように試合が運ばないことであせりが出たのでしょうか。
ああいう場面でこそ冷静になって体制を立て直すような気持ちが必要なのだと反省しています。やみくもにバタバタ動いても体力をどんどん消耗してしまいますから。
──ラウンド間にセコンドから軌道修正を図るためのアドバイスのようなものはありましたか?
1ラウンドは良い試合運びができたので、終了時には「今のまま行こう」と声をかけてもらいました。2ラウンド終了時には「最終ラウンドは心の勝負だぞ」と。
ラウンド間のアドバイスで技術修正を図ることは難しいので、心が折れてしまわないような檄を飛ばしてもらっています。
──そうでしたか。根性勝負という点でチャンソン選手は難敵でしたね。
ええ。パンチだってしっかり入った手ごたえもあったんですけど、倒れてくれませんでした。一瞬ガクリと崩れてもすぐに立ち上がってくる。“コリアンゾンビ”っていうニックネームのとおり、ゾンビみたいな選手でしたよ。
──試合での反省点はすでに修正を開始しているんですか?
はい。技術だけでなく精神面も含めて、一緒に練習をさせてもらっている北岡(悟)さんや、青木(真也)さんなど、いろんな人からアドバイスをもらっています。
──今は主にDEEPジムで練習されているんですか?
はい、武蔵村山から週4日ほど通っています。
──往復が大変なのではありませんか?
いいえ、全然。楽しくやっています。僕が1番弱いんで常に挑戦する気持ちを忘れない練習ができています。
念願の日沖戦「競った、おもしろい試合を見せたい」
1、2回線を勝ち上がり、日沖戦の権利を自力で獲得 【スポーツナビ】
1勝の重みはとても感じていますね。
──グランプリを勝ち進むにつれて世間からの注目度も増していきますが、周囲やご自身の心境に変化はありますか?
周囲からは声を掛けていただくことが少し増えましたね。とてもうれしいことです。
自分自身は……まったく何も変わりませんね。驚くほど何も変わらないんです、すみません(笑)。
──いいえ、人それぞれですから、それはそれで素敵なことだと思います(笑)。さて、グランプリの準決勝ではついに日沖選手と対戦することが決まりましたね。
同じ格闘技選手として日沖選手がどれだけ強いのか知りたかったですし、戦ってみたかったです。
グランプリ1回戦時点で日沖選手の方が言ってみれば格上だった訳ですけど、自分は1回戦・2回戦で日沖選手と違ってすごく強い選手と戦って、競った内容の試合をしてきました。
日沖選手に「たどり着いた」と言ったら変な表現かもしれないですけど、苦労してつかんだ試合、対戦だと思っています。
──グランプリ開催前の下馬評から比べると金原選手の“格”も大きく向上していますので、格差なく堂々と試合に臨めるのではないでしょうか。
周囲もそのように言ってくれているので、あとは試合で見せるだけですね。
自分は日沖選手が1回戦・2回戦で戦ってきた外国人選手のように簡単にはやられません。競った、おもしろい試合を見せたいと思っています。
──なるほど。ところで金原選手は日沖選手と年も戦績も近いですよね。
ジムの先輩の鹿又(智成)さんがプロ修斗に初出場したとき(02年11月15日・後楽園H)パンフレットを見ていたら自分より若い(当時金原20歳、日沖19歳)選手が出ていたんです。それが日沖選手で、試合前には「こいつ強いのかよ」なんて思っていたんですけど、試合では普通に勝っちゃった。「年下でもこんな強い奴がいるのか」と驚いた記憶があります。
その後は皆さんご存じの快進撃ですよね。門脇(英基)さん、戸井田(カツヤ)さん(佐藤)ルミナさんにどんどん勝っているのを見て「ああ、この人は本当に強いんだな」と思いました。
──強さについてはとても評価していらっしゃるんですね。
はい、もちろん。誰がどう見ても強い選手ですよね。
──同世代としてライバル心みたな感情は持っていたんですか?
いいえ、そういう意識はなかったですね。戦っているイベントもそれぞれ違っていたので、戦うことになるとは思ってもみませんでしたから。
──「戦極」で出会って、対戦相手として意識するようになったのでしょうか。
そうですね。