福岡ソフトバンク、交流戦連覇へのカギは?=鷹詞2009〜たかことば〜

田尻耕太郎

余裕のある日程が大きなプラス要素

 昨年の交流戦で初優勝した福岡ソフトバンク。秋山幸二新監督の下でスタートした今季は、ここまで38試合を戦い17勝20敗1分でリーグ4位タイと決していい成績とはいえない。相性のいい交流戦は巻き返しのチャンスだ。

 過去4年間の交流戦は、昨年の優勝をはじめ初年度(2005年)も2位になるなど通算69勝50敗1分と大きく勝ち越している。勝率5割8分は12球団中2位だ(1位は千葉ロッテ)。また、1カード2連戦と、日程に余裕のある交流戦は現在の福岡ソフトバンクには大きなプラス要素となる。
 特に投手陣にそれが表れそうだ。通常のリーグ戦では先発投手は6人。杉内俊哉と和田毅が軸となり、2勝3敗ながら防御率2.36のホールトンが奮闘している。しかし、負け越している投手が3番目に名前が挙がるのが今のチーム事情だ。新垣渚は4戦未勝利で2軍落ち。昨季交流戦でブレークし、チーム最多勝投手(11勝)となった大隣憲司も、5月13日の千葉ロッテ戦(北九州)でリーグワーストタイとなる1試合5被本塁打を記録するなど今季は一発病に苦しんでいる(現在11被本塁打はリーグワースト)。日程の空く交流戦は4人から5人で先発ローテを回すことができる。16日の東北楽天戦(Kスタ宮城)でプロ初先発した藤岡好明が5回無失点と好投したこともあり、不調の選手を無理に使う必要がなくなる。

 また、先発がこれだけ不調の中でもチームが大崩れすることなく踏みとどまっているのはリリーフ陣の活躍があるからだ。特にファルケンボーグと攝津正の活躍が素晴らしい。ファルケンボーグは開幕から13試合無失点を継続中。身長2メートルからの角度ある150キロ超の速球と落差のあるカーブでパ・リーグの打者を翻弄(ほんろう)してきた。日本人はもちろん他球団の外国人投手にもいないタイプなので、まだ対戦のないセ・リーグ各打者が苦戦するのは必至だ。26歳ルーキーの攝津も防御率0.92と抜群の安定感を誇る。ただ、リリーフ陣は攝津の18試合を筆頭に、神内靖と久米勇紀が15試合に登板するフル回転状態。その“ツケ”が回る前に、秋山監督も「日程が空くのはいいこと」と大歓迎している。

“MVP”川崎がアニキに挑戦状!

 福岡ソフトバンクの“開幕”は阪神との2連戦。このカードに人一倍闘志を燃やしているのが、昨季の交流戦MVPを獲得した川崎宗則だ。対戦したい投手を尋ねると、いの一番に帰ってきた答えが「阪神のウィリアムス」。何度か対戦しているが、「前に飛ばすことすらできなくて何度も悔しい思いをした」という。その強い思いは、18日に行われた記者会見にも表れていた。同席した阪神の金本知憲を真横にして「金本さんに負けない大きなホームランを打ちます」と堂々と宣言して見せた。これには金本も「じゃあ、僕は川崎選手に負けないような大きなホームランを打ちますよ」と応酬。それでも川崎はひるまずに「明日からは全打席ヒットを打って、全部勝ちます」と“ダブル10割”を熱く誓った。

 19日の初戦は、福岡ソフトバンクが杉内、阪神は下柳剛の先発が予想されている。杉内は17日の東北楽天戦に先発予定だったが雨天中止によりスライドした。過去の阪神戦は日本シリーズも含め5勝1敗と得意にしている。さらに5月は07年から11連勝中だ。交流戦連覇へのスタートダッシュは「ミスターメイ」の左腕に託された。

<了>
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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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