HARASHIMAが高木を撃破、KO-D王者に返り咲く=DDT
HARASHIMAがKO-D王座を奪還 【前島康人】
このカードは2008年12月にも行われ、高木が変形ひまわりボムで勝利。敗れたHARASHIMAは“千葉ごもり”を敢行し、今回の再戦にこぎつけた。
新王者がKUDOを挑戦者に指名
高木(上)も蒼魔刀を発射するなど奮闘したが、ベルト防衛に失敗 【前島康人】
と、ここまで劣勢のHARASHIMAだったが、8.23両国国技館に王者として立つ気概を見せ、気合のケサ斬りチョップ連発からジャーマン。そして必殺の蒼魔刀を浴びせて反撃に転じる。さらに勝負と見たかファイヤーバードスプラッシュを仕掛けるが、なんとしても両国大会のメーンイベントに上がりたい“大人げない”高木が、これまた剣山でカット。一気に流れを取り戻した王者は、「スーパー蒼魔刀!」と叫んでトップロープからダブルニーを突き刺す荒技も披露する。だが、雪崩式シットダウンひまわりボムをねらったところ、HARASHIMAにウラカン・ラナで切り返され、形が不十分だったこともあり脳天から落下。逆に大ダメージを負ってしまった高木に対し、HARASHIMAは一気呵成(かせい)にハイキックから蒼魔刀連弾、最後はロープ間を走る助走付きの蒼魔刀で3カウントを奪取した。
高木は6度目の防衛に失敗し、HARASHIMAが08年5月にディック東郷に敗れ王座転落して以来のベルト返り咲きを果たした。
「勝ったぞー!」と喜びを爆発させたHARASHIMAは、続けて「きょう勝ったら戦いたい相手がいた」と告白。大鷲透が自分のことかとリングインするも、王者はKUDOの名を叫ぶ。とここで、4.5後楽園大会において完全なタナからぼたもち状態で手に入れた「両国大会までの間にいつでも挑戦できる権利書」を持って矢郷良明も登場。誰もが「ここで挑戦か?」と思い、HARASHIMAも「この場でやるか?」と呼びかけるが、矢郷は「NO」の意思表示をすると、そのまま退場してしまった。無駄に挑戦を長引かせ、かつ何しに出てきたのか分からない矢郷の行動に困惑の表情を隠せない王者だったが、KUDOとはガッチリ握手をかわした。これを受け、後日、この両者による王座戦が5.31大阪・豊中大会で行われることが決定した。
バックステージでHARASHIMAはKUDOを指名した理由について「最近元気ないけど、ポテンシャルは高いしベルトを懸けて戦ったことはないから」と“同世代ライバル”との決着戦の意図があることを明かした。さらに「アイツとなら熱い試合ができる」とKUDO戦に早くも闘志をみなぎらせており、若い世代でのリング活性化を呼びかけていた。
リング上では「このまま両国のリングに上がってやる! なぜかって? それは鍛えているからだー!」の絶叫で大会を締めたHARASHIMA。いかなる王者像を築きつつ、両国大会まで突っ走るのか!?
人形戦士ヨシヒコ、飯伏組に敗れる
赤い綿を噴出するヨシヒコめがけて王者組が合体秘技ゴールデン・シャワー 【前島康人】
「ヨシヒコ絶対勝てよ!」の声援が飛ぶなか、試合開始前、ヨシヒコは飯伏とは握手するもののオメガの手は払いのける。そしてリングに登場すると、いきなりのフライングボディアタック。絶好調ぶりがうかがえる。飯伏に足四の字固めをかけられても、「ヨシヒコ耐えろー!」の声援に発奮したか、反転して切り替えしてみせる。その後も急角度バックドロップを決めてみせるなど全開だったが、オメガのドロップキックを喰らうと北側の客席まで吹っ飛ばされてしまう。その弾みで左手の一部が破れ、綿が飛び出し「骨折」。それでも気丈に振舞うヨシヒコは、コーナートップに立った2人に目がけて緑の毒霧を噴射。場外に転落した王者組を確認すると、言葉では説明のしようがないスーパーケブラーダを敢行! 場内は大歓声に包まれる。
しかし、息を吹き返したオメガが、生身の人間には不可能と思われる豪快旋回式パワーボムをヨシヒコに浴びせ、ジャイアントスイングでまたしても北側の客席まで放り投げる。するとヨシヒコの頭からは綿が飛び出てきて「大流血」。そのまま戦線離脱を余儀なくされた。
この苦境をディーノはひとり耐えていたが、息も絶え絶え。間もなく試合は決すると思われたなか、場内が突如暗転。するとヨシヒコがアメリカンなナイスガイに変身し、ハーレーダビッドソンに似た三輪車にまたがって復活の再登場を果たす。体力も回復しているヨシヒコは、Wのノド輪落としを王者組に浴びせ、矢のようなトペ・スイシーダを場外にいた飯伏に喰らわせる。これらヨシヒコの活躍で劣勢をばん回した挑戦者組だったが、“人形”に負けるわけにもいかない王者組は、W波動拳でヨシヒコの胸から赤い綿を出させて、またもや大流血に追い込む。これでヨシヒコはピクりとも動かなくなり、最後は王者組のゴールデン・シャワー(2人同時のファイヤーバードスプラッシュ)が見事に決まり、ディーノ&ヨシヒコともども圧殺してみせた。
右手ももげ、もはや原型をとどめていないヨシヒコをディーノは介抱しながら、「もう1回、鍛えてやり直そう。強化が足りなかった。次は電動式よ」とハイテク戦士の投入を示唆。そうこうしているうちになんとか立ち上がったヨシヒコだったが、バルコニーに突然現れたイタリア軍・ササキアンドガッバーナがライフルで狙撃! まともに銃弾を浴びたヨシヒコは、とうとう息絶えてしまった。リングにはフランチェスコ・トーゴー、PIZAみちのく、アントーニオ本多が上がり、飯伏とオメガねらいだったことを明かしつつ、トーゴー&みちのく組のベルト挑戦を表明。「ヨシヒコはフレンドだった!」と怒りを爆発させたオメガも受け入れ、5.10博多スターレーンでの同王座戦が決定的となった。
大森、奇跡的な“天然”連発で会場大爆笑
DDT追放となってしまった高梨(中央)を抱えて退場する大森(右)と関本 【前島康人】
戦前、パートナーが見つからず途方に暮れていた高梨だったが、関本と「ノーフィアーの」大森の懐柔に成功。自信満々の高梨の要望により、この一戦は“敗者追放マッチ”として行われることになった。
ファンの大歓声に迎え入れられたフランス軍の大森らは、勢いのままに試合を優勢に進める。ただ、空気を読めない大森は、イタリア軍の得意のムーブ「1、2、3、フォー!」の最中にカットに入る暴挙に出てしまう。“空気を読め”と言わんばかりの場内の雰囲気に、その後は事情を察知してか、コーナーでおとなしく待機していた。このように、最初こそDDT独特の空気に戸惑っていた大森だったが、徐々になじんでくると、その力を遺憾なく発揮。強烈なエルボースマッシュ、アックスギロチンドライバーをさく裂させるなど、勝利を引き寄せようと必死に戦ってみせる。
終盤、本多の背後に大森、大森の背後に関本がついての合体ジャーマンスープレックス「眉山」が決まった際は、本多以上にダメージを負ってしまったか、しばらく立ち上がれなかった大森。それでも試合にケリをつけようと、羽交い締めにされた本多めがけてアックスボンバーを繰り出すが、あわれ味方に誤爆してしまう。さらにイタリア軍のデス・パウダー攻撃で戦闘不能に陥ってしまった。試合はそのまま首固めの応酬で本多が高梨をフォール。イタリア軍がベルト防衛に成功し、高梨はDDT追放となってしまった。
試合後、高梨はリング上で必死に追放免除を試みるが、ファンを含め場内は追放ムード一色。高梨は大森に助けを乞うと、大森はマイクを手にエプロンへ。ファンや選手が固ずを呑んで見守っていると、大森は高梨を見つめながら第一声で「アントーニオ本多くん」。初めてのDDTマットで選手名と顔が一致しなかったか、その真顔っぷりを見るに素で高梨と本多を間違えたようで、場内は大爆笑。リング上にいた選手全員もズッコケ、大森は苦笑いするしかなかった。その完ぺきな間(ま)と抜群のセンスに場内は大「大森」コールとなるなか、気を取り直して大森は「次の就職先探すから、きょうは帰ろう」と高梨に告げ、関本とともに高梨を抱えて退場していった。
試合以外の“天然”部分でも絶大なインパクトを残した大森。今後の動向に注目が集まる。
■DDT「MAX BUMP 2009」
5月4日(月・祝) 東京・後楽園ホール 観衆1703人(超満員札止)
<KO−D無差別級選手権試合>
[王者]●高木三四郎
(21分41秒 蒼魔刀→片エビ固め)
[挑戦者]○HARASHIMA
※第27代王者が6度目の防衛に失敗。HARASHIMAが第28代王者に
<KO−Dタッグ選手権試合>
[王者組]飯伏幸太、○ケニー・オメガ
(22分49秒 ゴールデン・シャワー→体固め)
[挑戦者組]●男色ディーノ、ヨシヒコ
※第28代王者組が初防衛に成功
<第4試合 伊仏戦争最終戦 UWA世界6人タッグ選手権>
[王者組]フランチェスコ・トーゴー、○アントーニオ本多、PIZAみちのく
(10分35秒 首固め)
[挑戦者組]●ルイ高梨14世、大森隆男、関本大介
※王者組が防衛に成功。高梨はDDT追放
<第3試合 スペシャル4THスレッド>
○KUDO
(8分35秒 ジャックナイフ式エビ固め)
●MIKAMI
大鷲 透
星誕期
<第2試合 再々試合 勝者蛇界入り8人タッグマッチ>
●ポイズン澤田JULIE、タノムサク鳥羽、ヤス・ウラノ、中澤マイケル
(5分14秒 マイケルの回転エビ固め→体固め)
松永智充、佐藤光留、石井慧介、○美月凛音
※美月の蛇界入りが決定。同時に解散
<第1試合 谷口智一デビュー戦>
●谷口智一
(8分47秒 ローマの祝日)
○ササキアンドガッバーナ
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