優勝争いは5連覇狙う東洋大、戦力ダウン少ない中大か!?

矢島彩

打線の大幅入れ替えも“勝ち方”知る東洋大

就任2年目となる中大・高橋監督。リーグ5連覇を狙う東洋大を阻止できるか 【Photo:BFP/アフロ】

 大学野球シーズン到来! いよいよ7日から東都大学野球春季リーグ戦が開幕する。優勝争いは5連覇を狙う東洋大と、戦力ダウンが少なく2004年秋以来の優勝を目指す中大が中心だ。

 戦後初の5連覇へ――東洋大のその道のりは険しいものだ。V4メンバー、しかも中軸5人の穴を埋めるのは容易ではない。クリーンアップを打つ林崎遼二塁手(3年=東洋大姫路高)、坂井貴文外野手(3年=春日部共栄高)の活躍が不可欠と言える。両輪そろう投手陣の充実度は6チームでトップ。左腕の乾真大投手(3年=東洋大姫路高)と藤岡貴裕投手(2年=桐生一高)、右腕では鹿沼圭佑投手(3年=桐生一高)、内山拓哉投手(2年=浦和学院高)、さらに昨春の甲子園4強の実績を持つ佐藤翔太投手(1年=東洋大姫路高)の新戦力も加わった。
 大野奨太(現・北海道日本ハム)の抜けた新しい女房役には佐藤貴穂捕手(3年=春日部共栄高)を抜てき。捕手の育成能力が高い同校だけに楽しみだ。東洋大は昨年、亜大が優勝候補という前評判を見事に覆した。旧チームから受け継いだ勝負どころでの強さを発揮。主将・小島脩平遊撃手(4年=桐生一高)は「自分がキャプテンになると前から分かっていた。今までの経験を無駄にはできない」。“勝ち方”を知る後輩たちが、ことしも歴史を紡いでいく。

全日本候補トリオ擁す中大、結束力高い亜大

 元プロ野球選手である高橋善正監督就任2年目の中大は、全日本候補トリオが健在だ。澤村拓一投手(3年=佐野日大高)、山崎雄飛投手(3年=芝浦工大付高)の本格派右腕が仁王立ちし、扇の要に鮫島哲新捕手(3年=鹿児島工高)。経験豊かな捕手が存在するのは中大だけだ。あとは、打線の援護を待つばかりという状況。印象的なのは、昨秋の亜大3回戦だ。同じ4安打を放ちながら5対1で亜大に軍配。中大が本塁打1本だったのに対し、亜大は少ない好機で連続適時打が出た。優勝争いに加われるかどうかの一戦で攻撃力の差が出た。主将の美馬健太(4年=北海高)ら当時のレギュラーが6人残っており、奮起に期待したい。

 対照的なのが亜大だ。野手では中田亮二一塁手(4年=明徳義塾高)、昨秋3本塁打とブレークした中原恵司外野手(4年=武蔵工大二高)が健在。ある選手は「結束力は去年より上」と、中田主将のリーダーシップを買う声も少なくない。未知数なのは投手陣。センバツV腕・東浜巨投手(1年=沖縄尚学高)が開幕投手を務める可能性も出てきた。ルーキーが1シーズンフル稼働するのは難しく、昨秋2勝の北原郷大(3年=穴吹高)ら上級生の台頭が待たれる。

開幕ダッシュ狙う立正大、150キロ右腕復活の国学大、好投手多い青学大

 「開幕ダッシュ」を掲げる立正大は、エース・南昌輝投手(3年=県和歌山商高)の働きに注目が集まる。一方の打線は得点力不足が深刻。経験豊富な赤堀大智外野手(4年=掛川西高)、神野達哉三塁手(4年=埼玉栄高)もついにラストイヤーを迎える。投打がかみ合えば初優勝も射程圏内だ。
 立正大の開幕試合の相手が国学院大だ。先発候補は埜口卓哉投手(3年=つくば秀英高)と村松伸哉投手(3年=光星学院高)。いずれも180センチ台の大型右腕だ。村松は1年時に153キロをマークして以降、自分を見失ったまま。昨秋はブルペンとベンチをつなぐ「連絡係としてよく働いてくれた」(竹田利秋監督高)と振り返っていたが、復活の兆しが見えてきた。
 青学大は3季連続5位に低迷中。エース候補の垣ヶ原達也投手(2年=帝京高)など好投手は多いが、現時点で実戦能力は他大に劣る。だが、旧チームから主体は下級生で、黄金時代(05年春から3連覇高)再興の予感も漂う。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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