田村潔司がついに口を開いた――桜庭戦を激白

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大みそか桜庭戦について、田村がようやく口を開いた 【(c)吉場正和/kamipro】

“禁断の真剣勝負”田村vs桜庭戦は、田村の判定勝ちという結果となった。田村vs桜庭戦といえば、終始動き続ける“回転体”の代名詞のような試合だった。しかし今回、田村はこの“回転体”を封印し、優位なポジションでパウンドを落とすことでダメージを与えての判定勝ちを収めた。田村はどんな思いからこの闘い方を選んだのか。正月にすべてのインタビュー取材を断った田村が、ようやく口を開いた。


──大晦日の桜庭戦で右の拳を骨折したらしいですけど、これはパウンドを打ったときにケガしたんですか?

田村 いや、仮病です(笑)。

──ああ、毎度おなじみの(笑)。

田村 うん、毎度おなじみの。だから誰一人として心配してくれないんだよ。「またかよ!」って感じで。

―─「ちょっと田村さん、また包帯なんか巻いちゃって、今年はトーナメントありませんよ」みたいな(笑)。

田村 そうそう、子どもがお腹痛くなるようなもんだよね(笑)。

──と、こんな軽口でインタビューがスタートしてしまいましたけど、大晦日の試合が終わって気分的に解放されたがゆえのテンションですか?

田村 そうだね。いろんな束縛から解放されたのと、大きなケガもなく無事に終わったことにホッとしてるかな。

──拳の骨折は大きなケガじゃないんですか?

田村 これは仮病だから(笑)。ま、冗談はさておき、折れるぶんには俺的にはそんな大きなケガじゃない。

──骨折なら確実に治るから、ということですか?

田村 そうそう。靭帯が切れたりするのは嫌だけど、折れるぶんには大丈夫。

「重みやプレッシャーというのは口では表現しようがない」 【(c)乾晋也/kamipro】

──試合前はやはり桜庭戦ということで、かなりのプレッシャーだったと思いますけど。

田村 もちろんそれはあったけど、重みやプレッシャーというのは口では表現しようがないね。

──試合前、桜庭さんのほうから挑発的な発言がありましたけど、あれによって田村さんのこの試合に対する考えは変わりました?

田村 記者会見やって、その直後にガンツにインタビューしてもらったけど、あれが正直な気持ちかな。俺が思ってる感情と向こうの感情に温度差があった。ただ、しばらくして冷静になって考えると、そこまで深く考える必要もないと思ったし、どこまで本心で言ってるかわからない部分もあったから、自然体になったかな。

──向こうが“いい試合”をやる気がないなら、こっちも勝負に徹するとか、そういう考えにはなりませんでしたか?

田村 そういう感情的な部分は、その日によって浮き沈みがあるから。試合前日まではそう思ってても、試合直前になったら違う気持ちになることもあるし、それはもうそのときの感情だけだね。

──当日の感情はどうだったんですか?

田村 当日はもう冷静だったね。ギリギリまでいろいろ葛藤があって、レガースを履くか履かないかでも、セコンドの立嶋(篤史)選手が最後、俺が花道からリングに向かうときに一声かけてくれて。それがなんと言われたかは話すつもりはないけど、その一言で気持ちが引き締まったし、ふっ切れたね。

──今回の試合は田村さんにとって大きな意味があったと思いますけど、いい試合を見せることと勝つこと、どちらかといえば、どちらが重要でしたか?

田村 それは割合でいったら、勝つほうが重要だったかな。それはもう一本勝負だからそうなった部分もあるし。

──勝つことが重要だったのに、不利になる要素があるレガースを履いたのはなぜだったんですか?

田村 それは、試合前の気持ちとして「履きたい」という気持ちになったとしか言いようがないね。直前まで悩んでたけど。

──ヘンゾ・グレイシー戦のときにUWFメインテーマで入場したときとは、意味合いがまったく違いますか?

田村 そういう意味合いはあんまりないね。ホント、そのときの気分だよ。

三本勝負やエスケープありルールの方がいい試合ができたと振り返る田村 【(c)吉場正和/kamipro】

──小太刀のお守りを持っての入場は事前に決めていたんですか?

田村 いや、あれも当日。

──当日、小太刀が必要だと思ったわけですか?

田村 いや、必要じゃないっていったら必要じゃないんだけど。対戦相手に敬意を示した感じかな。

──それぐらいのつもりで臨みますっていうことですか。

田村 気分的にはそんなに追い込まれてはいなかったけどね。

──では、初めて小太刀を持って入場した、パトリック・スミス戦のときとは意味合いが違いますか?

田村 全然違うね。

──パトスミ戦とか、初期は神頼みのために持ってきてたんですよね?

田村 そう、神頼み。

──では今回は?

田村 今回はね、神頼みといえば神頼みなんだけど、お互いにケガなく無事終わりますように、という祈りも込めて。だから勝つに越したことはないんだけど、それだけでお互いの価値観だったり、強さだったりを評価してほしくない気持ちがあったな。ちょっと期待やプレッシャーが大きすぎたというか、もうちょっとお互い肩の荷を降ろした状態で試合すると、前みたいな試合になったのかな。

──そういうプレッシャーが田村さんの闘い方に影響を与えましたか?

田村 それは影響するよね。まあ、Uインター時代にサクとやった試合があるから、あの試合と比較されるとね……。あのときの試合は自分で言うのもなんだけど、偉大すぎるから。それといまの試合を比較されるとキツいなっていうのもあるし、一本勝負だからどうしても固くなっちゃうし。だから30分三本勝負とかがよかったんだけどね。

──そうすれば、ギャンブルもできるということですか?

田村 そうね。たとえば所 英男vs中村大介戦もよかったけど、三本勝負でやれば、あれ以上の試合になったと思うんだよ。だから、たまには三本勝負もおもしろいんじゃないかと思うんだけど。

──もしくはエスケープあり、とか。

田村 そうね。そのほうが試合内容としては、いいものができたと思う。

このあとも、賛否両論渦巻いた桜庭戦の試合内容について田村自ら徹底分析。そして最後には桜庭に対して驚愕のアピール(?)も飛び出したこちらのインタビュー。続きは『kamipro』No.131をチェック!!

【1月10日 神奈川・U−FILE CAMP登戸にて収録】

(聞き手/堀江ガンツ 撮影/吉場正和 試合撮影/乾晋也)

『kamipro』No.131

【(c)kamipro】

1月22日発売 特別定価940円(本体895円+税)
発行/エンターブレイン

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