新生・大宮が目指す日韓サッカーの融合=スピーディーでアグレッシブな攻撃スタイルへ

土地将靖

2011年までにJ1優勝――「誓い」達成に向けて

チームは1月19日に本格始動。小林大悟(写真)を中心に攻撃サッカーへの転換を図る 【写真提供:大宮アルディージャ】

 素材はそろった。あとは、それを張監督がどう“料理”するのか。昨年12月の就任発表時にプレスリリースされたコメントにあった「サッカーは走りだ」「忍耐・努力・犠牲」といった言葉のインパクトが強かったが、そもそも現代サッカーにおいて「走り」、すなわち運動量は必須要素である。2007年には1年間イングランドのプレミアリーグへコーチ留学しており、「ロンドンで生活しながらアーセナルのサッカーを追いかけていた」(張監督)。新加入のパクは、昨年まで“敵”であった張監督率いる仁川ユナイテッドを「テンポの速いパスワークを中心とした、組織的なサッカーをするチーム」だったと評す。「まだ昨シーズンの34試合をDVDで見ただけ。選手のことも見ていないし、どう戦っていくかはこれから」と、新チームへの具体的なビジョンについては多くを語らない張監督だが、仁川でやっていたサッカーがベースになっていくであろうことは想像に難くない。

 今季の1つのキーワードになりそうなのが「スピード」。昨年テクニカルディレクターに着任し、今季からは強化・育成部の強化部門トップに就任した結城治男強化部長は、張監督招へいの理由として「韓国のスピードのあるサッカーと、日本サッカー(の良さ)を大宮で生かすことができる」という点を挙げた。これまでの大宮のサッカーでは不足していた感のある「スピード」を強調し、アグレッシブさをより明確にしようという姿勢をうかがい知ることができる。

 大宮といえば、もはや代名詞とも言えるのが4バックのゾーンディフェンス。そこは張監督も承知のようで、「4バックは崩したくないという気持ちはある」と、引き続き採用していく意向はあるようだ。ただし、「オプションを2つは持っていたい」とも語っており、試合展開によって、あるいはシーズン序盤の出来によっては、これまでとまったく違った布陣の大宮を見ることになるかもしれない。
 いずれにせよ求められるのは、昨年に引き続いての攻撃サッカーへの転換だ。昨季、樋口靖洋前監督の下で目指したスタイルも、ゴールという結果を見れば34試合で36得点とJ1リーグワースト3位タイに終わってしまった。具体的な戦術や手法は変わったとしても、攻撃サッカーでの“わくわく感”を感じられるような戦いを期待したい。選手たちが「闘争心」を持って攻撃的な姿勢を貫けば、見ている側は自然と「橙想心」を抱くようになっていくのではないだろうか。

 「2011年までにJ1リーグ優勝」
 「2009年までに年間観客動員30万人」
 クラブの掲げる「アルディージャの誓い」は、そうした1試合1試合の積み重ねによって初めて成し遂げられる。1月19日に本格始動した新生・大宮、張監督の下で新たな挑戦が始まる。

<了>

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著者プロフィール

1967年1月28日、埼玉県生まれ。93年、現在のWEB版「J's GOAL」の前身である試合速報テレホンサービス「J's GOAL」にて、試合リポーター兼ライターとして業界入り。2001年よりフリーランスとなりライターとして本格活動を開始、大宮アルディージャに密着し週刊サッカーマガジン(ベースボール・マガジン社)ほか専門誌等に寄稿している。

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