青木真也からSHINYA AOKIになった日=「格闘技通信」発
【保高幸子】
今だからいえるけど、今回はすっげぇ怖かった
そのあと水を口に含んで客席に吹きました。完全にレッドゾーン状態。怖すぎて、ある一定のラインを越えてしまっていた。怖さの極限状況を超えたといったらいいんですかね。今だからいえるけど、今回はすっげぇ怖かった。こんなに怖かったのはJ.Z.カルバン戦以来でしょう。でも今回は、その時とは違う怖さを感じていました。
だって“DREAMの中の青木真也”、“世界の中での青木真也”というプレッシャーに加え、「アルバレス選手に殺されるんじゃないか」というプレッシャーものしかかっていましたからね。ぶっちゃけ、途中で逃げ出したかったですよ。でも、そんなことをしたらまわりにどれだけ迷惑をかけるかわからない。だったらリングで死んだ方がマシですよ。
試合の1時間ちょっと前、あるスタッフが控室に来た時、僕は思わず「怖いよ」と口走ってしまった。そうしたら、そのスタッフは「大丈夫、お前が勝つことを信じているから。その不安にも勝て」と肩を叩いてくれました。もう余計、怖くなって涙が出てきてしまいましたよ(笑)。「よ〜し、もう死んでもいい」と開き直るしかなかったですけどね。
僕は音を信じました
アルバレスを下した青木の目に映るものとは…… 【保高幸子】
それで僕はタックルに入ったけど、切られちゃったじゃないですか。でも、焦りはなかった。タックルを切られることは想定内だったんですよ。心を落ち着かせながら、僕は「何が何でもチャンスが訪れるまでやり続けよう」と決心しました。もうお客さんのことを考える余裕なんてなかった。行くところまで行こうと決断するしかなかったですね。
そのあと僕はアルバレス選手のバックをとりました。その体勢のまま首投げをかけられたら、頭からパカーンって落とされた。それから一度あおって、外の形でヒールホールドを決めようとしました。
「あ、この形だと十段(今成正和)から習ったヒールを狙える。チャンスだ!」
そう思ったんですよ。お客さんからは見えづらい攻防だったかもしれないけど、それからアルバレス選手のカカトをお腹に乗せて内の形にリセットしました。僕らニッポントップチーム(NTT)にはヒールをセットしなおす技術がある。この技術は1年半くらい前から十段に習っていた技術だったけど、なかなかモノにできなかったんですよ。
今回は極まったなと思ったけど、それでもアルバレス選手はタップする素振りを見せない。「あれ、極まっていないのかな?」と不安になったけど、バリバリという音は鳴っている。僕は音を信じました。「これで極めきれなくて、パウンドアウトされても、しゃあないな」と覚悟を決めたんですよ。そうでもしなきゃ、アルバレス選手には勝てない。
北岡さんのアドバイスが耳に入った
勝った瞬間は「あ〜、よかった」って、ようやく解放された気分になりました。アルバレス選手は本当に強かった。はるばるフィラデルフィアからやってきたことには感謝の意を伝えたい。当日の煽りVじゃないけど、ここで巡り合わなかったら、巡り合うことはなかったでしょう。これも一期一会――縁ですよ。
(フィニッシュに至ったヒールホールドに隠された事実とは? 試合後のマイクの真意とは? 青木がまだまだ語ります! 続きは本誌『格闘技通信』2月号増刊をお読みください)
12・31Dynamite!!、1・4戦極、12・27UFCの詳報や毎年恒例の格闘家名鑑をドーンとお届けする格通増刊号!! 巻頭カラーでは青木真也が連載「世間にほえろ!!」で試合後の心境を告白! また、田村vs桜庭、川尻vs武田、北岡vs五味といった年末年始の熱戦から石井慧のUFC視察まで、専門誌最速で紹介! 他にも一挙1036人掲載の格闘家写真名鑑も加え、大ボリュームでお届けする『格闘技通信』2月号増刊は、1月8日(木)に発売です。
『格闘技通信』 2009年2月号増刊
【格闘技通信】
発行(株)ベースボール・マガジン社 田村潔司、桜庭和志の表紙が目印!
(主なCONTENTS)
<12・31 Dynamite!!>
青木真也連載コラム「世間にほえろ!!」特別編
青木真也からSHINYA AOKIになった日「大晦日後の胸中をすべて明かします!」
青木真也vs.エディ・アルバレス ワンチャンスを逃さない大黒柱の魅力
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石井慧のUFC視察に密着
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ブラッド・ブラックバーンvs.長南亮
フランク・ミアvs.アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
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<COLUMN&INFORMATION>
本多編集長コラム「DREAMの一日早い初夢」
<名鑑>
2009年格闘家写真名鑑 今年の名鑑は、総合&組み技編+打撃編 一挙1036人掲載!
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