洛南、桜花学園など、高校バスケの強豪がオールジャパンに挑む

渡辺淳二

スコアラーとして洛南3連覇の原動力となった比江島慎。オールジャパンでもスーパープレーを見せるか!? 【(C)JBA】

 東京体育館で7日間にわたって、熱戦が繰り広げられたウインターカップがフィナーレを迎えた。男子は洛南(京都)が3年連続4回目の優勝。京都府として出場した秋の国民体育大会に続く2冠だ。女子は桜花学園(愛知)が2年連続16回目の優勝を飾り、全国高校総体(インターハイ)との2冠を達成した。

「冬の王者」となったこの2チームだけでなく、いくつもの魅力的なチームが高校バスケの醍醐味(だいごみ)を存分に表現してくれた。この中から元日に開幕する「第84回天皇杯・第75回皇后杯 全日本総合選手権大会」(以下オールジャパン)に出場するチームがある。

ウインターカップ決勝でタイムリーに3ポイントシュートを決めた水島沙紀。U−18日本代表メンバーの一人だ 【(C)JBA】

 男子は今夏の全国高校総体を制した延岡学園(宮崎)、東北予選を勝ち抜いた明成(宮城)、近畿予選を勝ち抜きウインターカップをも制し、今季2冠を達成した洛南の3チームが出場。
 一方、女子は今季2冠の桜花学園(愛知)に加え、ウインターカップには残念ながら出られなかった東海代表の星城(愛知)と九州代表の小林(宮崎)の2チームが出場する。
 彼ら、彼女ら高校生チームが、大学や社会人のチームに胸を借りて立ち向かう。

桜花学園、先輩後輩対決の行方は……

ウインターカップで2年連続16回目の優勝を飾った桜花学園。彼女たちの勇姿がオールジャパンでよみがえる 【(C)JBA】

 1回戦から実に興味深い、対戦カードがある。ウインターカップで連覇を遂げた桜花学園と山形銀行(社会人1位)との対戦だ。というのも、山形銀行の山田かがりヘッドコーチは桜花学園(※当時は名古屋短大付)の卒業生。高校時代には、1990年ウインターカップで史上初の4連覇や、2年連続3冠などタイトルを総なめにした高校界屈指のスーパースターだった。その後、シャンソン化粧品で活躍し、日本代表としてアトランタ五輪にも出場した経歴の持ち主だ。昨シーズンまで桜花学園のアシスタントコーチを務めていた山田ヘッドコーチが、後輩たちの挑戦をどう受け止めるかがとても楽しみである。

 そんな名選手を数々輩出してきた桜花学園の中で、今まさに注目を集めるのが2年生センターの渡嘉敷来夢である。身長190センチの高さに加えて、走る力も兼ね備えた、日本代表を今後、背負って立つ選手である。その実力は、第19回FIBAアジアU−18女子選手権初制覇の原動力となったことでも実証済みだ。そんな渡嘉敷が、ウインターカップが始まる前日にこう語っていた。
「U−18の大会では、ドライブインで得点することを意識して、自分でも頑張れたと思っています。リバウンドは周りに頼ってしまいましたけど。まずはウインターカップですが、オールジャパン1回戦での山形銀行との試合も楽しみです。山形銀行は、(山田)かがりさんが行ったチームなので。でも……」

 心配なのは、自身が抱えている足のけがの状態だ。ウインターカップに強行出場しただけに、オールジャパンのコートに立つのは難しい状況ではある。それでも、渡嘉敷がチームのためにどんな貢献を見せるのか。または彼女が苦しんでいる時に、周りがどう奮起するのか。ウインターカップでも発揮されたチームワークに大いに期待したい。

明治大vs.洛南は実現するか!?

セネガル人留学生たちと対等以上に戦い、ウインターカップを大いに盛り上げた洛南もオールジャパンに姿を現す。写真は主将の佐藤将斗 【(C)JBA】

 女子では1回戦シード枠の小林も、“先輩チーム”と対戦する可能性がある。小林の初戦となる2回戦の相手は、筑波大(大学5位)か近畿代表の大阪人間科学大(大阪)。筑波大には、宮本理沙(2年生)が在籍しており、筑波大が初戦を突破すれば、小林卒業生と現役生との“先輩後輩対決”が実現するかもしれない。

 また男子では、明治大(大学5位)に洛南を卒業した岩澤裕也(3年生)や、昨年の洛南のキャプテン田村晋(1年生)が在籍する。洛南はシード枠のため2回戦からの登場となるが、明治大が中国地区代表のツースリーを破れば、洛南も先輩との対決ができるわけである。そうした、先輩と後輩との再会を実現させられるのも、オールジャパンが秘める魅力の一つではないだろうか。

 高校生から、大学生、社会人、そしてトップレベルまでが一堂に会するオールジャパンは元日に開幕。初日のみ、東京体育館と代々木第2体育館の2会場で。2日目〜3日目は東京体育館で、そして準々決勝が始まる4日目以降は、代々木第一体育館に決戦の舞台を移して行われる。
 栄冠はどのチームの頭上に輝くのか。そして高校生たちは、どんなプレーを表現してくれるのか!? 今年度のオールジャパンも見どころが満載である!

<了>
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著者プロフィール

1965年、神奈川県出身。バスケットボールを中心に取材活動を進めるフリーライター。バスケットボール・マガジン(ベースボール・マガジン社)、中学・高校バスケットボール(白夜書房)、その他、各種技術指導書(西東社)などで執筆。

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