トーナメント戦の醍醐味が凝縮された2回戦=高校バスケウインターカップ 第2日
2日目から好カード続出のウインターカップ
激戦となった中村学園女と岐阜女のゲーム。思い切りのいいプレーができたチームがベスト16に残った 【(C)JBA】
岐阜女(岐阜)と中村学園女(福岡)、明星学園(東京)と山形商(山形)、常葉学園(静岡)と金沢総合(神奈川)、足羽(福井)と昭和学院(千葉)……。ここに挙げたチームはどれも、ベスト8に進出してもおかしくない力を持っている。しかし、当たってしまえばどちらかがこの舞台から去らなければならない。それはトーナメント方式の残酷な一面と言える。
しかし、そんな残酷な面があるからこそ、選手たちは目の前の試合に死力を尽くす。その結果、番狂わせなどトーナメントならではのおもしろさが生まれるのだ。こう書くと選手にとってはつらいばかりのようだが、トーナメント戦を勝ち抜く鍵はそんな状況をいかに「楽しむ」かにある。
ベスト16へのキーワードは「ミスを恐れない」
「うちの持ち味は展開の速いバスケットですが、速さを出そうとすると当然ミスのリスクも上がる。なので、少々のミスは構わないから私たちらしくやることを心掛けました」(足羽・林慎一郎コーチ)
「どちらに転ぶか分からない試合であるほど、選手が気持ちよくプレーするのが大事。だから『負けたら責任は全部私が取る』と言って思い切り攻めさせました」(中村学園女・吉村明コーチ)
ミスを恐れると、自分たちのプレーができなくなるだけでなく、それ以上に恐ろしいトーナメントの怖さにのみ込まれてしまう。25日の3回戦、26日の準々決勝とトーナメントが進んでいくにつれ、より勇気あるプレーが勝敗を分けるようになるはずだ。
男女アベック出場の秘訣
初出場の明成は1回戦を突破。2回戦ではインターハイベスト8の樟蔭東に惜敗も、いい流れで男子にバトンタッチした。写真はゴール下に切れ込む明成の陶(背番号7) 【(C)JBA】
今年、男女そろって都道府県代表となったのは、明成(宮城)、東海大三(長野)、土浦日大(茨城)、延岡学園(宮崎)の4県のみ。このうち、明成の女子は16年ぶり、延岡学園の女子は初出場でうれしい男女同時出場を果たしたが、この2チームには共通点がある。
それは、男子が優勝候補にも挙げられる強豪だということだ。延岡学園は北郷純一郎コーチの下、男女合同で練習しており、明成も練習こそ別だが、同じクラスで高校生活を送っているという。
「全国大会の県予選の決勝は、いつも男子より女子が先に行われる。このウインターカップもまず女子が出場権を得たことで、男子に“よし、やろう”という気持ちを持ってもらえたのでは」とは、明成の安達美紀コーチの言葉だ。同校は、ウインターカップ本戦でも女子の方が男子より2日早く初戦を迎えたが、まず高岡一(富山)に77−47で快勝。2回戦ではインターハイベスト8の樟蔭東(大阪)に76−87と惜しくも敗れたものの、一時は2けたリードを奪うほどの健闘を見せ、いい流れで男子につなげたと言っていい。
また逆に、土浦日大は、女子が今夏のインターハイでベスト4と躍進したことが男子にとっていい刺激となっている。昨年のウインターカップ、今年のインターハイと続けて逃していた全国切符を勝ち取り、さらに男女そろって1回戦突破を果たしたのは、励みになる存在が近くにいるということも要因の1つではないだろうか。
<了>
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